第六話 七曜の魔法使い
突然だが、最近仕事が少し楽になった。
と言うのも数週間前に美鈴がこの館に入ってきた事が大きい。今までは、毎日ではないがレミリア達が寝てる時間帯も起きて門番をしていた時もあったからな。
美鈴が門番をしてくれるお陰で休憩を取る時間が多くなった。その分仕事の進みが早くなり、自由に出来る時間も取れる様になっている。美鈴さまさまだな。
だが少し困った事も出てきた。それは⋯⋯
雪「⋯⋯」
美鈴「ぐー⋯⋯ムニャムニャ⋯⋯」
美鈴が門番中に居眠りを始める事だ。何でも人が来なさすぎて暇で寝てしまうらしい。門番中は眠くなるのは分かるが、それでも本当に寝るのは如何なものだろうか?
雪「⋯⋯美鈴」
美鈴「ぐー⋯⋯」
呼び掛けても起きる気配の無い美鈴を見た俺は、中指を内側に丸め親指で押さえ、美鈴の額に持ってくると
ベチッ!
親指を離し、所謂デコピンを当てる。
美鈴「痛ぁ!」
雪「おはよう。良く眠れたか?」
美鈴「えっ、あっ、雪さん! お、おはようございます⋯⋯」
雪「なあ美鈴。暇なのは分かるが門番中に寝るのはどうかと思うぞ?」
美鈴「だ、だって誰も来ないんですよ?」
雪「そんな毎日の様に来られても困るだろう。ほら、仕事は終わりだ。飯は作ってあるから食べてゆっくりしておけ」
美鈴「あ、もうそんな時間ですか。それでは雪さん、また後で」
雪「ああ」
美鈴は俺に頭を下げてから館に戻っていく。俺は庭の手入れを少ししてから館に戻った。
─────
雪「⋯⋯暇だな」
今は夜中の二時。レミリア達の夜食を終え、俺はいつも通り門番をしている時だった。美鈴は仕事を終えているので部屋で寝ている。
?「た、助けて!」
門番をしていると館の前の森から紫色の髪をした少女が駆けてきた。
雪「おい、どうした?」
?「助けて! 今魔女狩りに追われているの!」
雪「魔女狩り? ああ、今人間達で流行っている訳の分からない私刑の一種か。と言うことはお前は魔女なのか?」
?「そんな事より、私を匿って! すぐに魔女狩りが「来ないわよ」⋯⋯え?」
雪「お嬢様、どうかしましたか?」
突然割り込んできた声に振り向くと、そこにはレミリアが立っていた。
レミリア「来るわけないわ。ここは吸血鬼の館よ? ヴァンパイアハンターならともかく、魔女狩りをしてる人間が吸血鬼殺しの武器を持ってる訳ないもの」
?「た、確かにそうかもしれないけど⋯⋯万が一って事があるじゃない」
レミリア「万が一もないわよ。それにもし来たとしても雪が撃退してくれるから心配ないわ」
まあ魔女狩りなんて言ってるがただの人間だからな。強力な能力持ちだったりしなければ人間に負ける筈はない。
?「なら良かった⋯⋯それにしても魔女狩りが来ない、か⋯⋯ 」
少女は安堵したと思うとブツブツと何かを考えて始める。そして暫くすると
?「一つお願いがあるのだけど、私をここに住まわせてもらえないかしら? 魔女狩りのせいで家が燃やされてしまったのよ」
と言ってきた。チラとレミリアを見るとまるで分かってたかの様にクスリと笑う。
⋯⋯能力でコイツが来るの分かってたな。だからあんなタイミング良くここに来たのか。
レミリア「そうねえ⋯⋯別に構わないけど、ただ住まわせるのもねえ」
?「なら、私が今まで培ってきた魔法の力を貴方に貸すわ。これでどう?」
レミリア「それなら良いわよ。自己紹介が遅れたわね。私はレミリア・スカーレット。この館の主よ。そして⋯⋯」
雪「ユキ・コヅカだ。この館の執事をやっている」
?「レミリアにユキ、ね。私は『パチュリー・ノーレッジ』。よろしく頼むわ」
レミリア「ええ。それじゃあ私はパチュリーに館の案内をしてくるわ。ユキは引き続きお願いね」
雪「分かりました」
そしてレミリアとパチュリーは館に入っていく。
その後に図書館にいたフランから聞いた聞いた話だが、大図書館に案内されたパチュリーはその本の量に興奮して持病の喘息を起こして倒れたらしい。何をやっているんだろうなアイツは⋯⋯。
はいどーも、作者の蛸夜鬼です。今回は如何だったでしょうか?
早速次回予告になりますが、次回は遂に紅魔館のキャラが全員揃います。これが何の意味を示すかは東方を知ってる方なら分かると思います。
それでは短いですが今回はこの辺で。また今度お会いしましょう!