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東方 白狐伝  作者: 蛸夜鬼
肆章 竹取物語の巻
31/124

第六話 雪の憤怒

 今回は雪のキャラ崩壊。そして東方の世界観に会わないグロ表現があります。閲覧にはご注意ください。

隊長「き、貴様は何者だ!」


雪「お前達に答える義理は無い。紫!」


紫「はいは~い。さあ二人とも、逃げるわよ」


 紫を呼ぶと隣にスキマが開き、中から紫が顔を出す。永琳達が驚いているが今説明する時間は無い。


雪「二人とも彼女に着いて行け。安全な場所まで連れていってくれる」


永琳「ゆ、雪は!?」


雪「コイツらの足止めだ。安心しろ、“あの時”の様にはならないさ」


 振り向いて永琳に優しく微笑むと永琳は小さく頷き、輝夜の手を引いてスキマに入っていく。


隊長「に、逃がすな! 撃てぇ!」


 勿論コイツらが見逃す訳もなく、号令と共に光線が放たれた。俺は能力で氷の壁を創り出しそれを防ぐ。それと同時に三人はその場から消え去った。


隊長「な、何をした!」


雪「答える必要がない」


 俺は月人の隊長らしき男を睨む。それと共に、心の底から沸々とドス黒い感情が芽生え始める。


雪「どうせお前達は⋯⋯」


 俺は、友人を傷付けるのは嫌いだ。


 俺は、友人が傷付いてる姿が嫌いだ。


 俺は、友人を傷付けようとする奴が─────


雪「⋯⋯今、ここで死ぬんだからな」


 ─────殺したい程までに、大っ嫌いだ。


 綺麗事だと言われようが、偽善と罵られようが、この考えは変わらない。


 不当な理由で友人を失うのが怖い。それを阻止するのならばこの手を穢そうとも構わない覚悟で俺は立っている。


雪「さあ、始めようか」


 俺がそう呟くと同時に月人達は各々銃ではなく刀や槍を取り出す。


 銃が効かなければ近接武器か⋯⋯悪くない判断だ。相手の数は七人。そこまで多くないな。


 すると隊長が向かってくる。その手には刀が握られていた。隊長はそれを振り上げ、斬り込んでくる。


隊長「死ね、穢れた妖怪風情がぁ!」


雪「お前がな」


 俺は片手に氷の篭手を纏わせると刀を掴み、刃を根元からへし折る。そして手の中にある刃をガラ空きの顎に突き刺した。


 刃は顔を突き抜けそのまま頭頂部に突き出る。隊長はそのまま何も喋らずに倒れ伏した。


隊員達「「「う、うわぁあああああ!」」」


 それを見た月人達は散り散りに逃げ惑った。


 おいおい⋯⋯今時の防衛軍は根性が無いな。俺が所属してた頃は隊長が死んでも戦意は喪失しない程度の根性はあったぞ?


雪「というか、逃がすわけないだろ」


 俺は月人共を見失わない内に巨大な氷の壁を創る。奴等は逃げられないと悟ったのか武器を構えるが、ガタガタと震えておりとても滑稽だ。


雪「さあどうした? 永琳達を追ってた時は非常に楽しそうだったのになぁ?」


月人A「ヒィッ⋯⋯!」


雪「ほら、永琳達を追ってた時の様に強気に来れば良いじゃないか。それともお前らは無力な相手には強気になる屑なのか⋯⋯いや、永琳を殺そうとした時点で屑だったな」


 この時の俺は狂っていたのか、いつもなら口に出さない言葉を喋り始めた。それも、楽しそうに満面の笑みで⋯⋯。


雪「⋯⋯もう良い。来ないならこちらから行かせてもらおう」


 そう呟き一番近くの月人へと近付く。その月人は恐怖により後退りながら刀を滅茶苦茶に振り回し始めた。


 そんな攻撃が当たる訳もなく、俺は刀をへし折ると月人の頭を掴み⋯⋯


雪「燃えろ」


 全身を狐火で包み込んだ。狐火の火力を調整して長い間火達磨で燃やされる様にしておいた。月人はゴロゴロと転がって火を消そうとしているが無駄だな。


月人A「アァアアアアア!? 熱い、熱いぃいい!!」


雪「ハハハハッ、綺麗じゃないか! 火は浄化の力を持つとされているんだ。お前の嫌いな穢れも燃やされているんじゃないか?」


 暫くすると月人は死んだのか動かなくなる。それと同時に狐火は消え、そこには人だった巨大な炭が残った。


雪「次はお前だ」


月人B「ムウッ!?」


 そして近くで腰を抜かしている月人の顔を引っ掴み持ち上げる。更にその口を開くとドポドポと水を流し込んでいく。


月人B「ンンッ! ンーッ!」


雪「知ってるか? 聖水って言ってな。水にも浄化の力があるんだ。まあ大体は偽物だしこれもただの水だがな」


 そんな事を喋りながら水を飲ませていく。途中で吐き出しそうになったが、それすらも操って無理矢理飲ませていった。


 すると水をずっと飲んでるせいでコイツの腹がブクブクと膨れていき、苦しそうに藻掻いている。


雪「さて、あと何秒後に破裂するかな?」


月人C「や、止めろぉおおおおお!」


 すると今度は背後から槍を持った月人が走ってくる。俺は左手をそいつに向けるとパチンッと指を鳴らした。


 指を鳴らしたと同時にその月人の周りに吹雪が舞う。勿論ただの吹雪じゃない。高速で氷の刃が飛び交い、触れると即座に切り身が出来上がる特別製だ。


雪「そこで大人しく見てろ」


 俺はそう言って水を飲ませている月人に視線を戻す。


月人B「ングッ⋯⋯!」


 しかし、それと同時にコイツの身体が破裂した。辺りに血肉が飛び散り、一番近くにいた俺は顔まで鮮血に染まる。


雪「チッ⋯⋯もう弾けたか」


 唯一残った顔を投げ捨てると、先程閉じ込めた月人に顔を向け、開いた左手を突き出す。


雪「お前も⋯⋯さよならだ」


 そして突き出した左手を握ると、吹雪は一気に狭まり月人を切り刻んだ。その月人は悲鳴を上げる間もなくバラバラになる。


 すると今度は背後から殺気を感じ取った。振り向くと二人の月人が俺に攻撃を仕掛けていた。どうやら一人では適わないと思い二人で挑んだ様だ。


雪「だが甘いな」


 次の瞬間、月人の足下が突如として凍り付き奴らの足を止めた。そして俺は手を上げ、空中に何十本もの氷柱を創り出すと⋯⋯


雪「じゃあな」


 手を下げる。それと共に氷柱が地面へと落下して奴らを串刺しにする。


雪「さて、後はお前だけだが⋯⋯」


月人D「ヒッ!」


 残った一人に視線を向けると、ソイツの股ぐらからは異臭のする液体が漏れ出す。


月人D「お、お願いします⋯⋯殺さないでください⋯⋯」


 ソイツはあらゆる液体で汚れグチャグチャになった顔を地面へと擦りつける。


 殺さないで、か⋯⋯そうだな。


雪「安心しろ。死にはしない」


月人D「えっ!?」


 俺の言葉に月人は希望を見つけた様な表情を浮かべ顔を上げた。


月人D「あ、ありが「運が良ければな」⋯⋯えっ?」


 俺はポカンとしている月人の胸ぐらを掴むと空高くぶん投げる。そして手を指鉄砲の様にすると霊力を溜める。


 俺は、コイツらが来るまで何もしていない訳じゃなかった。何が来ても対処出来るように、幽香に頼んで特訓を積んでいたんだ。


雪「運が良ければ死なないさ。運が良ければな⋯⋯」


 俺は幽香との地獄の様な特訓のお陰で彼女の技を一つ覚える事が出来た。それは⋯⋯


雪「⋯⋯マスタースパーク!」


 マスタースパーク。幽香は日傘の先端に妖力を溜めて放ったが、俺は指先に霊力を溜めて放つ。


 指先に溜まった霊力は白い光線となって月人に向かっていく。そして光線は月人を消し飛ばすとそのまま夜空の彼方へ消えていった。


 むう⋯⋯やはり力加減がまだ分からんな。


雪「まあ良い。お前は運が悪かったようだ」


 ああ楽しかった。さあ、永琳の所へ⋯⋯。


 そう思った瞬間、俺は足を止めた。


 俺は今⋯⋯何て?


雪「っ! うぇえええ⋯⋯!」


 突然として吐き気が込み上げた。その場に蹲ると胃の中身をぶちまける。


雪「何で⋯⋯楽しいなどと⋯⋯」


 確かに、俺は友人を傷付ける奴は殺したい程までに大嫌いだ。


 だがそれを⋯⋯殺しを楽しいと思わない。思う筈が無いのに⋯⋯


雪「なのに⋯⋯どうして?」


?『それ──前が思───だ─?』


雪「っ!?」


 突然、頭に謎の声が響く。まるで“俺の声”のような⋯⋯。


?『本───達が傷付く──嫌──て建───? お前───殺────大好────なあ? 前──殺人────しよ』


雪「何だ⋯⋯何を言ってる?」


?『お───まだ干────くい───いみ──だな───今度会おう─。じ──な』


 暫くして、謎の声は聞こえなくなる。今度会おう? 一体誰だったんだ⋯⋯。


雪「⋯⋯」


紫「⋯⋯結構無残に殺ったわね」


 すると後ろから紫の声が聞こえる。振り向くと彼女がスキマから顔を覗かしていた。


雪「紫か⋯⋯」


紫「そこに川があるわ。その返り血を洗っておきなさい。服は私が用意しておくわ」


雪「⋯⋯悪いな」


 俺は紫に言われた通り川の方向へと歩いて行く。


 あの声は、そしてさっきの俺は⋯⋯一体何だったんだ⋯⋯。

 はいどーも、作者の蛸夜鬼です。今回はいかがだったでしょうか。


 いや、その前に投稿が遅くなったのを謝るのが先ですね。皆さん、本当に申し訳ありませんでした。


 実は高校の文化祭の道具を買い出しに行ってて⋯⋯結構時間が掛かってしまったんです。


 あと今回の話を書いてて少し気分が悪くなったりして⋯⋯今後グロ表現は抑えたいところですね。


 さて、今回出てきた謎の言葉⋯⋯皆さんは分かりますでしょうか? ヒントは雪の⋯⋯です。


 皆さんで予想してみたらどうでしょうか? 感想で答えても今後の展開のネタバレになるので正解かどうかは言えませんが。


 さてさて、今回の後書きは長くなってしまいました。


 それでは今回はこの辺で。また今度お会いしましょう!

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