第二話 未来都市
今回は次回への繋ぎ的な話です。では、お楽しみください。
永琳「あれが都市よ」
雪「なんだアレは⋯⋯幾ら何でもデカ過ぎじゃないか?」
永琳の案内で最初に見つけたのは、何十メートルもあるデカい壁だった。聞くと妖怪襲撃の対策で建てているらしい。
永琳「背負うのはここまでで大丈夫よ。ありがとう」
雪「そうか。ではここで⋯⋯」
永琳「待ちなさい。お礼をしたいから私の家に来てくれないかしら?」
雪「⋯⋯分かった」
俺は永琳と巨大な門へ向かう。門にはやはりと言うか、門番が立っていて永琳を見つけると顔を明るくする。
門番「や、八意様! ご無事でしたか!」
⋯⋯様?
雪「なあ永琳。もしかしてお前、結構偉い立場の人間か?」
永琳「もしかしなくても偉い立場ね。この都市の設計や科学技術は私を中心として発展させたのよ」
雪「驚いたな⋯⋯」
門番「むっ、誰だ貴様! 人間⋯⋯ではないな。まさか妖怪か!」
永琳と話していると門番がアサルトライフル(の様な物)を向けてくる。
永琳「止めなさい。彼は妖怪に襲われていた時に助けてくれた恩人よ。それに妖怪じゃないわ」
門番「そ、そうなのですか?」
門番は俺と永琳を交互に見つめ、暫くすると何かを取り出す。それは赤色の腕章の様な物だった。
門番「これを着ければこの都市をある程度自由に移動出来る。着けてくれ」
雪「そうなのか? 悪いな」
門番「いや、八意様を救って頂き感謝する」
門番はそう言って軽く頭を下げる。
永琳「さあ雪、行きましょうか」
雪「分かった。それじゃあ、門番の仕事頑張ってくれ」
そう言って永琳と共に壁内へ歩いて行く。そして⋯⋯
雪「何だコレは⋯⋯」
目の前に広がったのは、空飛ぶ車の様な乗り物やモノレールらしき物。高いビルの屋上等にはホログラフィの看板⋯⋯俺が生きてた現代では考えられない未来都市だった。
永琳「雪、何してるの? こっちよ」
雪「ん、ああ⋯⋯すまない⋯⋯」
~白狐移動中~
永琳「ここが私の家よ。さあ、上がって」
都市の技術力に驚きながら永琳に着いていくと大きな屋敷に着く。屋敷を囲んでいる塀には『八意』と掘られた表札がある。
雪「デカ過ぎだろ⋯⋯ここに一人で住んでいるのか?」
永琳「ええ。上の人達がくれたのよ。こんな大きな屋敷は要らないと言ったのだけどね」
永琳はそんな事を言いながら屋敷に入っていく。俺も続いて屋敷に上がったのだが⋯⋯
雪「ウッ⋯⋯!」
強烈な薬品の臭いが鼻を突いた。キツい⋯⋯白狐になって嗅覚も上がってるから更にキツく感じる⋯⋯というか部屋汚いな。
永琳「どうしたの?」
雪「いや、何でもない⋯⋯ただ、薬品の臭いがな⋯⋯」
永琳「ああ、ごめんなさいね。私は薬も作ってるのよ」
雪「そ、そうか⋯⋯ところで、礼をすると言っていたがどうするんだ?」
そう聞くと永琳は少し考える素振りを見せる。そして
永琳「⋯⋯貴方、この都市に住まない?」
と言って来た。俺が⋯⋯この都市に?
永琳「外だと何かと危険でしょう? この都市なら不便は無いと思うし、私の権限なら出来るわ」
雪「しかし⋯⋯俺は人間じゃないぞ?」
永琳「狐だし変化の術くらい使えないの?」
雪「⋯⋯使える」
永琳「なら問題ないわね。早速申請してくるからゆっくりしてて」
雪「おい、俺はまだ住むとは⋯⋯」
俺は永琳を引き留めようとするが、永林はその前に屋敷を出て行ってしまった。
雪「はぁ⋯⋯まあ、良いか。さて⋯⋯」
俺は永琳の強引さにため息を吐き、ゴミやら書類らしき物が散らかった部屋を見て
雪「⋯⋯片付けてやるか」
部屋の掃除に取り掛かった。
どーも、作者の蛸夜鬼です! 今回はいかがだったでしょうか?
永琳は頭は良いけど整理整頓が苦手そうなイメージだったので屋敷の部屋を汚部屋にしました。もしも「えーりんは整理整頓出来る人だ!」って人がいたらすみません。
さて、次回は時間が飛んで約十年後くらいの話です。早いって? タグをご確認ください。
ではでは今回はここら辺で。それでは次回、またお会いしましょう!