第四話 異変解決前の一時
魔理沙「おーい霊夢!」
霊夢が瓦礫から家財を掘り出していると、箒に乗った魔理沙が空からやって来る。
霊夢「あら魔理沙、相変わらず騒がしいわね。まあ良いわ、素敵な賽銭箱はそこよ。ボロボロだけど」
魔理沙「心配してきてやった奴にお賽銭要求すんのか!? 随分な言い草だぜ、まったく⋯⋯ところであれ、何だ?」
そう言って魔理沙が指差すのは、地面に倒れ込む俺だ。今は腹を押さえながら仰向けに寝転んでいる。魔理沙は俺に近付き、突く。だが俺が反応しないのを見ると、口を開く。
魔理沙「⋯⋯返事が無い。ただの屍のようだ」
雪「勝手に殺すな」
魔理沙「いやぁ、お約束だろ?」
目を開け、睨めば魔理沙はケラケラと笑う。何でそんな言葉を知ってる⋯⋯誰から教わったんだ? 紫か?
魔理沙「で、何でそんな事になってるんだ?」
雪「霊夢との弾幕ごっこでな⋯⋯顎を蹴られ腹を蹴り上げられたんだ」
魔理沙「えっと~⋯⋯覇天風神脚っだっけか」
雪「そうそれだ。容赦がなくてな⋯⋯腹が痛くて動けん」
未だジクジクと痛む腹を押さえ、寝転がったまま答える。空へと顔を向ければ、曇り空が広がり少なくない雪が境内に降っている。
雪「弾幕ごっこのあと、霊夢と異変解決に行く事にはなったんだが⋯⋯回復するまで待ってもらっている」
霊夢「ちょっと、雪が邪魔なんだけど」
そんな話をしていると、霊夢が雪が降り積もった瓦礫の山を指差しながら駆け寄ってくる。俺は能力を使い、瓦礫に積もった雪を退かしてやる。
雪「これで良いか?」
霊夢「十分よ。それにしても、やっぱり除雪に便利よね、雪の能力⋯⋯っていうか、まだ回復しないの? 人外の割に貧弱よね、雪」
雪「心外だな。お前の蹴りの威力の方がおかしいと思うんだが?」
そう言いながらゆっくりと上体を起こす。ふむ⋯⋯まだ少し痛むが、大分マシにはなったか。あまり激しく動かなければ大丈夫だろう。
雪「無理しなければ十分動けるな。それで霊夢、異変解決とは言うがどうするんだ」
霊夢「もちろん、片っ端から“話”を聞くに決まってるじゃない。雪にやったみたいに」
魔理沙「シンプルで分かりやすいな! 三人もいるんだ。分担するか?」
霊夢「あら、何言ってるの魔理沙?」
魔理沙「え?」
キョトンとした魔理沙へ向けて、霊夢はお祓い棒を向ける。ああ、第二の犠牲者が目の前で生まれようとしているな⋯⋯。
霊夢「アンタも容疑者の一人に決まってるじゃない」
雪「そういう訳だ。頑張れよ魔理沙」
魔理沙「ちょ、何でだよ私何もしてないぞ!?」
霊夢「犯人はみんなそう言うのよ!」
霊夢がそう叫ぶと共に、弾幕を放つ。魔理沙は箒に乗って素早くそれを回避し、慌てながらも反撃を開始した⋯⋯新聞を見たり、異変解決のためにここに訪れた者みんな霊夢の犠牲者になりそうだな。
雪「さて、どうするか」
霊夢と魔理沙の弾幕ごっこを眺めながら、異変解決へ向けてどう動くか考える。まあ一番確実なのは気象異変が起きている者達に話を聞きに行くことか。霊夢のように百発百中の勘があるわけじゃないんだ。地道に行くとしよう。ついでにこんな地震を起こした大馬鹿者も見つかれば良いんだが⋯⋯。
雪「となれば⋯⋯」
まずは紅魔館へ向かうとしよう。知る限りでもレミリアと咲夜に気象異変が起きていた筈だ。それに知識人のパチュリーもいる。話を聞くとともに彼女に頼るのもありだろう。
そう考えた俺は一度声を掛けようと二人へ顔を向けるが⋯⋯弾幕ごっこに夢中で声は届かなそうだな。恐らく二人も弾幕ごっこが終われば各々調査に向かうだろうし⋯⋯。
雪「仕方ない。一人で向かうとしよう」
はいどーも、作者の蛸夜鬼です。先週は投稿出来ず申し訳ありません⋯⋯疲れ切った体で書くもんじゃないですね。色々とあまりにも酷すぎて書き直す羽目になっちゃいました⋯⋯。
いやしかし、緋想天はあまり長くしない構想だったんですがそうも言ってられませんねこれ。書いてると、萃夢想や儚月抄に比べて話数が多くなりそうです。
それでは今回はこの辺で。また今度、お会いしましょう!