第二話 倒壊した博麗神社
雪「これ、は⋯⋯」
境内に降り立った俺は、目の前の惨状に絶句する。
かつての古めかしいが確かに暖かみのあった博麗神社の本殿は、見るも無惨な瓦礫の山へと変貌している。
ジリジリと身を焼くような日差しが降り注ぐ、雲一つ無い晴天の中、霊夢は一人その瓦礫の山を漁っている。
霊夢「⋯⋯あら、雪。残念だけど今日は休業中よ」
すると俺に気付いた霊夢は、いつもの様子でそう話し掛けてくる。だが目は赤くなり、頬は微かに濡れている。強がっているのは明白だ。
雪「見れば分かる。随分と大胆に改築するみたいだな」
だからこそ、今の霊夢を支えているプライドを傷付ける訳にはいかない。俺は気付かない振りをして、冗談交じりに返した。
雪「それで、今は何を?」
霊夢「まだ無事な家財だけでも探そうと思って。まあ殆ど壊れちゃってるけど」
そう言って指差した先には、神社の倒壊に巻き込まれた割にまだ使えそうな家財が積まれていた。だが一部破損しており、買い替えた方が良いのではないかと思える。
⋯⋯この異変が終わったら、せめて家財だけでも揃えてやるか。この状況は、あまりにも可哀想だ。
霊夢「で、雪は何でここに来たの?」
雪「文々。新聞でここの状況を知ってな。どうやら地震のせいらしいが⋯⋯」
霊夢「そうなのよ。だけど話をした人みんな知らないって言うし⋯⋯」
そう霊夢が言ったところで、雪が降り始める。見上げてみれば、先程の晴天から打って変わり空を雪雲が覆い始め、豪雪とも言うべき雪を降らし始めている。
霊夢「⋯⋯なんで雪降らしてるのよ」
雪「いや、俺のじゃないぞ。少し前からこうやって雪が降るようになってな。お前の周りで起きてる晴天と同じだと思うぞ。言ってしまえば気象異変だな」
そう話すと霊夢は頭を押さえため息を吐く。
霊夢「この忙しい時にあれやこれや起きて⋯⋯あー、もう! 腹立ってきた! どこのどいつか知らないけど、とっちめて迷惑料込みで再建費用ふんだくってやる!」
いつもの霊夢に戻ってきたか。だがやる気を出したは良いが、手掛かりも無しにどうするつもりなのだろうか。
雪「やる気なのは何よりだが、どうするつもりだ?」
霊夢「今まで通り、怪しい奴らを片っ端から薙ぎ倒してくに決まってるじゃない。そしてその容疑者が目の前に一人⋯⋯」
そう言って霊夢はお祓い棒を俺に向けてくる。
雪「⋯⋯冗談だろう?」
霊夢「ほら、犯人は現場に戻ってくるって言うじゃない?」
雪「どこで覚えたそんな言葉」
確かに今まで、霊夢は異変解決の際は怪しい奴を片端から倒していたが⋯⋯まさか俺が標的にされるとは⋯⋯。
雪「はぁ⋯⋯心配して来て損したな」
そう言ってため息を吐くと、俺は霊夢へと構える。
雪「お前との弾幕ごっこは久しいな。腕は上げたか?」
霊夢「今までどれだけふざけた異変解決してると思ってるの?」
雪「フッ、それもそうだ」
そう返すと、霊夢は周囲に弾幕を浮かべる⋯⋯来るか。まさかこの異変で最初に相手にする奴が霊夢になるとはな。
そんな事を考えつつ、俺は向かってくる霊夢を迎え撃った。
はいどーも、作者の蛸夜鬼です。投稿が一日遅れになって申し訳ありません。
いやほら、長期休みでダラダラ過ごしてると何日の何曜日か分からなくなる現象があるじゃないですか。そのせいで日にちを勘違いしてまして⋯⋯いや本当に申し訳ないです⋯⋯。
えー、次回は霊夢との弾幕ごっこから始まりますかね。本当は今回の話に書くつもりだったんですがちょっと時間無くてですね⋯⋯もっと余裕持って書かないと駄目ですね。
それでは今回はこの辺で。また今度、お会いしましょう!