表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方 白狐伝  作者: 蛸夜鬼
拾弐章 東風之社の巻
117/124

第八話 博麗神社とは

 神奈子に案内されつつ暫く歩けば、本殿の中に座る諏訪子の姿が見える。


諏訪子「およ? どうしたんだい神奈⋯⋯あれ、雪?」


雪「暫くだな、諏訪子。少しお前らに話があってな」


諏訪子「話?」


 暫くして、お茶を持ってきてくれた早苗も交えて話を始める。


雪「まあ、話といってもそんな大層なものじゃない。お前ら、博麗神社の信仰を寄こせと霊夢⋯⋯博麗の巫女に話したらしいな」


諏訪子「うん」


神奈子「そうだな」


雪「単刀直入に言おう。それをやめてもらいたい」


 俺の言葉に、諏訪子は分かってたように苦笑いをしながら頬を掻き、神奈子は残念そうに息を吐き、早苗は目を見開く。


雪「まあ聞いた話から推測すれば、幻想郷で唯一だった博麗神社を押さえれば幻想郷の人間の信仰を受けられると考えたんだろうが⋯⋯」


神奈子「そんなところだな。雪にはお見通しか」


雪「まああれだけ話を聞いておいて推測出来ないほうがどうかと思うが⋯⋯」


神奈子「まあ私は魔法使いに敗れたし、早苗も博麗の巫女に押されていた様子だったし⋯⋯幻想郷のルールに則ってやめるつもりではあったのだがな」


早苗「私の力不足でした⋯⋯まさか博麗の巫女があんなに強かったなんて⋯⋯」


 まあ霊夢の見た目は年端もいかぬ少女だが、あれでも幻想郷の守護者だからな。早苗には悪いが来たばかりの、それも戦いに触れたことすら無いであろう現代人に負ける道理がない。


雪「と言うかだ。博麗神社といっても巫女が巫女でな。布教なんてしないから信仰なんぞ殆ど無いぞ? それに妖怪や妖精が集まっているからな。人里の者が近付く事など殆ど無い」


 まあ俺や紫に言われて、霊夢も少しは気にかけるようになったらしいがな。紫から聞いた話によると他の神を勧請することも考えたらしい。


雪「まあ今日戦って分かったと思うが霊夢自体も強い。率直に言ってしまえば信仰を集めるために博麗神社を狙うのは悪手。そして無駄に近いな」


神奈子「むぅ⋯⋯やはり甘くは無かったか」


早苗「そう、ですか⋯⋯」


 俺の言葉に神奈子は唸り、早苗はガックリと項垂れる。その時に俺は諏訪子と神奈子へ目を送ると、二人は三人だけで話したい事を察してくれたのか、小さく頷く。


諏訪子「ねー早苗。折角だし台所からお茶菓子持ってきてくれない? 雪とは久しぶりに会ったからさ、色々積もる話もあるし、ずっとお茶だけってのもね」


早苗「あ、はい。分かりました。何でも良いですか?」


諏訪子「そだねー。適当に持ってきてよ」


 早苗は諏訪子の言葉で台所へと向かう。さて、この場には俺と守矢神社の二柱の神のみとなったわけだが⋯⋯。


諏訪子「⋯⋯それで、さっきの事とは別の話をしたいようだったけど」


雪「ああ。博麗神社についての本当の事を、お前達には話しておこうと思ってな」


神奈子「本当の事?」


雪「ああ。各所の有力者には話している事だ。あの博麗神社がどういった役割をしているのか、だな」


 俺は一つ咳払いをすると、改めて二人に向き直る。


雪「博麗神社⋯⋯あれはただの神社ではない。簡単に言ってしまえば、霊夢⋯⋯巫女を含めて博麗大結界の要石のような役割をしているものだ」


 厳密に言えば重要なのは博麗の巫女と神社周辺の木々なんだが⋯⋯まあ巫女と神社が重要と言っておけば分かりやすいだろう。


雪「あれを取り壊されでもしたら博麗大結界に綻びが生じ、外界も幻想郷も大混乱が起きるだろう。だからあの神社が信仰を集める必要は⋯⋯あるんだがそれほど重要でもない」


諏訪子「あるにはあるんだ」


雪「一応神社だからな。そういう訳で、あの神社に手を出すのは御法度だ。別に道すがら寄る分には構わないし、何なら分社だって建てても構わないが⋯⋯もし手を出したら無事じゃ済まないだろうな」


神奈子「と言うと?」


雪「⋯⋯幻想郷を最も愛する賢者が、そいつを全力で殺しに行く」


 かつて幻想郷のルールに不満を持った妖怪達がクーデターを起こそうと、手始めに霊夢が留守の間に博麗神社を壊そうとした事件があった⋯⋯あったんだが、それにいち早く気付いた紫がその妖怪達を一片の容赦も無く、美しいほどに純粋な殺意をもって殺したんだ。あの時の紫は、俺でも背筋が凍るほどに恐ろしく感じた。その話をすると、二人は顔を青ざめゴクリと息を呑む。


諏訪子「雪がそんなに言うなんて⋯⋯」


雪「流石にお前らがそんな馬鹿な真似をするはずもないし、もし何かの手違いでそうなってしまったら何とか紫を説得するつもりだが⋯⋯まあ約束は出来ないし、もしそれが故意なら俺も流石に擁護出来ん」


神奈子「う、む⋯⋯気を付けるとしよう」


雪「と、まあ⋯⋯ここまでは賢者の友人としての話で、ここからは俺個人としての話になる」


二人「「えっ?」」


 二人は空気が一変したのを感じると、また顔を青ざめた。どうやら以前⋯⋯というか数百年以上前だが、同じような事があったことを思い出したらしい。俺が怒っているのが分かっているようで何よりだ。


雪「お前ら、俺が皆に説明するまで騒ぎを起こすなど再三言った筈だが?」


諏訪子「そ、それはー、そのー⋯⋯」


神奈子「いや、雪。それは本当にすまない。だがこれには⋯⋯」


雪「言い訳は後で聞く。ひとまず⋯⋯お前ら、そこに直れ」


二人「「は、はい⋯⋯」」


 ⋯⋯その日、妖怪の山に大きな怒声が響いたという。説教を終えた後、俺は後日宴会があるから準備するようにと伝え、この日を終えた。

 はい皆様、お久しぶりです。作者の蛸夜鬼です。


 えー、Twitterや活動報告でも謝罪しましたが、ここでも改めて謝罪させて戴きます。


 大変、申し訳ありませんでした!


 詳しい事は活動報告に書かせて戴きましたので、休載等の理由はそちらをご覧ください。今日から活動再開しますので、よろしくお願い致します。


 それでは今回はこの辺で。また今度、お会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ