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東方 白狐伝  作者: 蛸夜鬼
弐章 諏訪大戦の巻
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第二話 諏訪の神

雪「っ⋯⋯」


 微かに吹く風の音で、俺は意識を取り戻した。


雪「ここ、は⋯⋯?」


 俺は清潔そうな白い着物を着ていて、畳の部屋の布団で寝かされていた。少し身動ぎすると身体中に痛みが走った。


 どうやら身体中が傷付き、治っていない様だ。誰の仕業か知らないが包帯が巻かれている。深呼吸すると、意識を失う前の出来事が少しずつ思い出される。


 自らを冷凍休眠させた時、俺は適当な時代で氷が砕け、目が覚めるようにしていた。つまり今は人類がある程度の文明を築いている⋯⋯そういう事だろう。


雪「しかし、今はどの程度の時代なんだ? 流石に縄文や弥生では無いだろうが⋯⋯」


 するとパタパタと誰かの足音が聞こえる。足音はこの部屋の前で止まると、障子を開いた。


稲穂「あ、起きたんですね」


 部屋に入ってきたのは、青と白の脇が出た巫女服を着た少女だった。


雪「⋯⋯お前は?」


稲穂「私はこの洩矢神社の風祝をしている、東風谷 稲穂です」


 神社⋯⋯うん、どの辺りの時代か分からんな。と言うか風祝? 神主の類か何かだろうか?


雪「ふむ、稲穂だな? 俺は⋯⋯」


諏訪子「稲穂ー。その白狐起きて⋯⋯るね」


 自己紹介しようとすると、目玉の様な物が付いた変な帽子を被った幼女が現れる。何だコイツ、月読と同じ力を感じるが⋯⋯まさか神か?


雪「お前がこの神社の神か?」


諏訪子「うん! 私は洩矢 諏訪子。この諏訪の国の土着神だよ!」


雪「やはりか。さて、俺も自己紹介をしておこう。俺は狐塚 雪。白狐だ」


諏訪子「そっかー。やっぱり白狐だったんだね。予想通りだよ」


 諏訪子は自分の予想が当たって嬉しそうに頷くと、ゴソゴソとポケットから氷の欠片を取り出す。


雪「これは?」


諏訪子「君は最初、コレに包まれながら土の中に眠っていたんだ。もし何か知ってるなら話してほしいな」


雪「ふむ。まあ別に隠す様な事でもないからな。良いだろう、話そうじゃないか」


 俺は二人に古代都市に住んでいた事を話す。ああ、勿論転生者というのは隠しているぞ? 


 で、二人は話を聞くと楽しそうだったり驚いていたりと、様々な表情を見せてくれた。


雪「最後に俺は自分を冷凍睡眠状態にして、生き残った訳だ」


諏訪子「ほえ~。随分と大変な狐生を歩んできたんだね」


稲穂「今からずっと昔の出来事⋯⋯全く想像が出来ませんね」


諏訪子「だけど記憶を持ってないなんて不思議だね。誰かが気紛れに創り出したにしても変だし⋯⋯」


雪「別に気にしてないから良いんだけどな⋯⋯さてと」


 俺は未だに痛む身体を動かして立ち上がろうとする。しかし慌てた二人に止められた。


諏訪子「ちょっ、そんな怪我してるんだから動かないでよ!」


稲穂「そうですよ! せめて怪我が完治してから⋯⋯」


雪「しかし、初対面のお前らに世話になるわけにも⋯⋯」


諏訪子「良いから良いから! 一人くらい増えたってウチは大丈夫だから!」


稲穂「それに行く宛もありませんよね?」


 ⋯⋯ここは二人の厚意に甘えるとするか。稲穂の言う通り行く宛も無いからな。


雪「分かった。せめて傷が癒えるまで世話になる」


諏訪子「んっ! よろしく、雪」


稲穂「良しっ! では私は夕食の準備をしてきます! 腕を振るうので期待しておいてくださいね!」


 稲穂はそう言うと慌ただしく部屋を出て行く。


 ⋯⋯遙か古代の都市生活から和風な神社生活か。早めに慣れるとしよう。


 しかし問題はこの時代の情報が足りない事だな。その為にも⋯⋯


雪「諏訪子」


諏訪子「ん? どしたの?」


雪「この時代の事を教えてくれ」

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