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東方 白狐伝  作者: 蛸夜鬼
拾壱章 大結界異変の巻+一編
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第八話 地蔵の閻魔様

 これは、俺がまだ昔の日本で旅をしていた頃の話だ。そうだな⋯⋯紅魔館は知っているだろう? そこの執事として働くよりも少し前くらいだったか。


 あの時は確か⋯⋯太陽の光が照り付ける夏の日に山道を歩いていたんだったな。歩いているだけで汗が出てくるほどの暑さでな⋯⋯ん、能力で冷気を纏えば良いんじゃないか、だと? もし人とすれ違った時に汗一つ垂らさず平気な顔をしていたら妙に思われるだろう。特に、その時代はそういった妙な事に敏感な者が多かったんだ。妖怪と勘違いされたら堪ったもんじゃない。


 ⋯⋯話を戻そうか。あまりの暑さに気が滅入った俺は、近場の木陰で小休止を取ったんだ。一人旅だから特に急ぐ必要もなかったからな。


 そしてそよ風を木陰で感じながら休んでいると、道を挟んだ目の前に泥塗れで苔生した石塊を見つけたんだ。何だと思って近付き、少し苔を払うとやっとその正体が分かった。


雪「⋯⋯地蔵、か」


 恐らく、殆ど人の手が入らなかったんだろう。その苔生した石は風化した地蔵だったんだ。何故人通りの少ない山道に地蔵が置かれていたのは謎だったが、今考えれば山に住まう妖怪の被害から護ってくれるように作られたものだと思う。


雪「⋯⋯ふむ」


 その地蔵を見た俺は少し考え、折角だからとその地蔵の苔を払い、能力で作り出した水で泥を洗い流した。ついでに笹の葉で包んであった⋯⋯途中で食べようと思っていた団子を地蔵の前に置くと手を合わせたんだ。


 どうしてそんな事を、か⋯⋯なに、ただの気紛れだ。人々を護る為に作られた地蔵なのに、人々から忘れ去られて風化していくのはあまりにも可哀想じゃないか。その後、俺は立ってまた旅を続けようとした⋯⋯その時だ。


映姫「そこの方、少し待ってくれますか」


雪「む?」


 その地蔵から声がしたんだ。何事かと思って振り向くと、緑色の髪をした白装束の少女⋯⋯そう、お前が良く知っている四季映姫が立っていた。


雪「お前は⋯⋯まさか、そこの地蔵なのか?」


映姫「はい。風化し、私という存在が消えかかっていた所を貴方によって救われました⋯⋯礼を言わなければなりません。ありがとうございます」


雪「いや、気紛れでやったものだから別に礼を言われるものじゃない。だがまあ、助けられて何よりだ」


映姫「⋯⋯欲が無いのですね」


雪「ん?」


映姫「いえ、人間にしろ妖怪にしろ、下手に出ると礼を形で要求してくるものですから。珍しいと思いまして」


雪「別に礼を要求するほどのものじゃないからな」


 寧ろこの程度の事で礼を要求するとはどれ程卑しい者なんだと思ったな。お前だってそう思うだろう⋯⋯なに、自分だったら休暇が欲しい? また説教されるぞ。


 まあ良い。そこから少し映姫との会話が盛り上がってな。日が落ちそうになる程度の時間まで色々と話していたんだ。俺は旅の途中だったし、友人も癖の強い奴らばかりでな。落ち着いて話を出来る奴は少なかったんだ。ああ、そうだな。映姫との会話は中々新鮮だった。


雪「む⋯⋯日が落ちてきたな。そろそろ行かせてもらうとしよう。旅の身なんでな」


映姫との「そうでしたか。では、お気を付けて⋯⋯そうですね⋯⋯次はいつか裁判所で会いましょう」


雪「⋯⋯? では、またな」


 映姫の言葉の意味が分からず、俺はそのまま旅を再開した。あの時は何を言っているか分からなかったが、まさか閻魔になるとは思わなかったな。



─────



雪「あの後結局、ふとした時に幻想郷で再会したんだ」


小町「はぁ~、成る程ねぇ。貴重な話を聞かせてもらったよ」


 ここは人里にある居酒屋。偶には、と思い人里で飲もうと思ったんだが⋯⋯そこで小町と出会い、話の流れで映姫との出会いを話す事になったわけだ。


小町「それにしても、映姫様と出会って説教を食らわないなんてね」


雪「そりゃあ、無闇に説教をするわけないだろう。それに説教を食らったとしてもアイツはその者の為になることを話しているだけだ。苦にはならんさ」


小町「そんなものかねぇ⋯⋯」


映姫「小町! やっと見つけましたよ!」


小町「ゲッ、映姫様!」


 すると怒った表情の映姫が居酒屋に入ってくる。まさか小町、またサボっていたな?


映姫「今日は業務があると言ったでしょう! 何故お酒を飲んでいるのですか! 貴女はサボりすぎる!」


小町「す、すいません!」


雪「はぁ⋯⋯ここは払っておくから行ってこい。いくら何でも業務中に酒を飲んだら駄目だろう小町」


小町「うぅ⋯⋯」


映姫「ほら行きますよ!」


雪「⋯⋯映姫」


映姫「何ですか、雪さん」


 小町を追い出し、自分も店を出て行く映姫に話し掛ける。すると少し不機嫌そうな顔ながら彼女は振り向いた。


雪「いやなに、今度一緒に飲まないかと誘おうとしたんだが。愚痴も聞くぞ」


映姫「⋯⋯考えておきます」


 そう言って映姫は去って行く。この時はつれない態度だったが、結局数日後に一緒に飲みにいった。結構イケる口のようでな。少し酔いも入って延々と愚痴を聞かされる事になった。まあ、映姫のように真面目な奴には良いガス抜きになったのではないだろうか。

 はいどーも、テストから解放されました。作者の蛸夜鬼です。大変お待たせして申し訳ありません。


 話は変わりまして、今更ながらポケモンシールドを買ったんですよ。折角、伝説の一体が毒タイプ複合なんだからと思って毒統一で頑張ってるんですけど⋯⋯アーマーガアとエレズンの色違いが出た上、今日もホルードの色違いが⋯⋯なんかポケモンで運使い果たしてそうで怖いです⋯⋯え、小説書けって? そこは言わないお約束ですよ。


 それでは今回はこの辺で。また今度、お会いしましょう!

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