転生(尚、「運値」は反転している模様。)
俺の名前は「厄子 海渡」。
ごく普通の・・・いや、ちょっとだけちょっとだけ
運の悪い、こを除けば普通の男子高校生だった男だ。
名前を見てもらえばわかると思うが、「厄子」の「厄」は厄災だったり悪い意味の字であり、それが意味する通り、俺の人生は「運」とは無縁だった。
そして、俺の忌まわしい性質によって・・・
偶然目の前を通りかかった5歳くらいの少女が、偶然持っていた犬のリードを離してしまい、偶然その犬が俺の方のに突進してきて、偶然突き飛ばされた先に自動車が走ってきて...
・・・気付くと俺は、どこか知らないところでポツンと一人、立っていた。
「あ、れ? たしか、俺は車に轢かれて・・・」
状況が呑み込めず、たっぷり数十秒フリーズし、ようやく再起動した。
辺りを見渡す。
道は石畳、そこを通る人達の格好はそれぞれで、冒険者のようなものもあれば普通の村民のようなものもある。 う、うーん。
周囲の建物をみると、いかにも・・・
一言で言わせてもらうと、「異世界転生モノでよく使われる中世ヨーロッパの街並みと人」って言えば伝わるか。
・・・決して、処女作のくせに街並みとか人の服の描写が面倒になったとかじゃない。
読者が一番分かりやすい表現をしただけだ。
それはさておき、だ。
俺の関心は、馬車っぽいけど馬車じゃない乗り物に向けられていた.
人が乗るところは同じなのだが、問題はそれを引く生き物の方だ。
その生き物には、頭のてっぺんから、それはそれは立派な角が生えていた。
ま、まさか!
ゆ、ユニコーン!
伝説上の生き物に、生きているうちに会えるとは!
あ、そういや俺一回死んでたわ。
じゃあ、あの乗り物は何と呼ぶのだろう・・・
馬車じゃないし、いや、そもそもユニコーンって日本語でなんというんだっけ・・・?
そんなかなりどうでもいい思考を打ち切るように、この世界に来て初めての災難が轟音と共に、やってきた。