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セカイを変えるⅦの王  作者: 零型機動隊
プロローグ
4/5

狂酔の魂と物語の王

人物の容姿


―――しもべ―――


哀絡溯削(あいらく そそぎ)…一話に出てきた転生者

   容姿としては銀色の髪に赤い目

   服装は黒のタンクトップにファスナーを開けた紫のハーフジップ

   灰色のジーパンに胸には十字架を思わせるようなペンダント

   現年齢は十六歳 アデルと共に神父の仕事をしている

                 

柳 劉明(りゅう りゅうみん)…2、3話に出てきた中国人の青年 

   容姿は黒い目に黒い髪、髪が邪魔なのか

   仕事時は髪を後ろで結ぶ、

   すなわちポニーテールのような髪型をしている

   服装は上下どちらもシンプルな服

   現年齢は28歳。焔の少女を王とする


・アリス・テルメリン…4話に出てきた転生者

   容姿は白い肌に白い髪に白い目と言った白尽くし

   髪型は長く背中の中央くらいまで伸びている   

   服装は白いワンピース。瓦礫に体をつぶされたとき血で赤く染まったが

   彼に何かをされた際けがの回復と同時にワンピースも純白に戻った 

   ディラン・ウィンスキーに心酔しており、彼のことは先生と呼ぶ

   彼のためならば誰を殺すことすら厭わないと考えている。

   親が魔術師であることから彼女も魔術でありランクはヴァイス 

   得意とする魔術は「洗脳」らしい


―――王―――


・フラン…3話の花畑と墓標の世界にいた焔の少女であり柳と契約した王

  容姿は金髪のツインテール、黒いワンピースを着ており全身には火傷跡がある

  年齢は14歳

  柳にフランと名乗ったが偽名らしい

  望む世界は「普遍」であり、今が平和が続けばいい。らしい

  自身を普通の人間と名乗るが、柳が絶対に勝てないと悟るレベルには強いらしい

  他人が作った結界を解くことが出来るなど謎が多い


・ディラン・ウィンスキー…4話でアリスと契約を結んだ壮年から中年くらいの男性

  容姿は茶髪に太くしっかりした眉に口を囲むような茶色の髭

  年齢は48歳

  小説家として働いており、コアなファンがついている人気作家らしい

  戦い事態に興味はなくあくまでアリスの作った物語を見たいがためにアリスを助けた

  勝利した際の望みはあるらしいが

  契約の際唱える「望み」をアリスは聞いていないので不明である

                 

ここは地球とは異なる場所、ビルメスク王国のとある一戸建ての古い家


そこに1人の男と少女がともに住んでいた


キッチンで朝食作っている少女がいた。というかアタシのことなんだけど

「先生、起きていますか?朝食できましたよー!」

階段を駆け上がり男のいる部屋に向かう


ドアの前まで立ち男を呼びかけようとするその刹那、

元気よくドアが外側に開かれ頭を強く打つ。少女が観測する世界は回り、

男の為に作った手料理が両の掌から零れ落ちる。


男はそんなもの構うものかと気にもせず大きな声を出す。


「ははは!勿論起きているとも!仕事が終わらない限り眠れないからな!

一日中机に向き合い書を執筆するというのは疲れるねホント!

さて、朝食を食べるとするか、

ーーーーーー何で頭を抑えているんだ?私の朝食はどこだ?」


先生、あなたの下ですよ、下

っていうか私のことも少しは信用してくださいよ!


「すみません、先生。掃除した後また作り直しますね!二十分ほど待っていて下さい」


「うむ二十分かかるか、では朝食は抜くとしよう。

そのぶん夕食を多く用意しておいてくれたまえ!」


そう言って先生と呼ばれた男は部屋に戻っていく


「…まったく、先生はもう少しアタシに興味を持って欲しいよ。ホント」


先生はこの国で売れっ子の小説家だ。売れっ子っていっても一般人に知名度はなく

コアなファンが多いタイプの売れっ子らしい。

先生は小説を書く際、ある「題材」をいつも設定しており

その題材を言葉に表し、誰もが先生の本を見たとき()()を感じ取れるように足掻いている。

ーーーーーこれはアタシが初めて先生の小説を見たときに感じとれたこの本に込められた魂だ


アタシは先生のアシスタントとしてここで働いている

正確にはアシスタントというよりは先生の身の上管理で

家の掃除やご飯を作っている。つまるところ家政婦みたいなものだ


アタシが先生のアシスタントになったのには理由がある

アタシは過去に一度死んだ。両親(おや)の魔術抗争に巻き込まれ、瓦礫の下敷きとなり死んだのだ


え?じゃあなんで今生きているのかって?ききたいか?そうです!実はアタシ転生者なんだ!

姿形は生前と変わらないから転生っていうのも違う気がするけど、

他に例える言葉もわからないし、転生したって事でいいやってお気楽に考えている


そうして次に目を覚ました時、私の体はまたしても瓦礫に潰されており

下半身の感覚が完全になくなっている。

このときアタシは世界を憎んだ。二度目の生すらアタシにはあたえてくれないのか。と

痛みが続く、痛い痛い痛い痛い痛痛痛痛痛!死にたい死にたい早く死にたい!

こんな辛い世界もういらない!そう強く思った。


ーーーそのときに瓦礫の向こうからやってきた男がいた。男はアタシの前まで来ると

アタシを見下ろすように立ち止まった。


ーーーそうして男は口を開き大きな声で唱えた


「私はディラン・ウィンスキー!これから君に二つの選択権を与える。

一つは私のために生き、私のために君の作った物語(■■■■)を見せてくれたまえ

二つは、世界を憎んだままここで死に果てるか。

ーーーーーさて、どちらを選ぶ?」


男の声はとても優しかった。

目が霞んで姿は確認できないが男の声を聞いて心を落ち着かせることができた


男の声を聞いた時、アタシは直感的に思ったことがある

なぜそう思ったかは分からないが

アタシは「彼のために生きる為にこの世界に来た」。そう思わせるほどにアタシは男に惹かれていた


だからこそアタシはさっきまで生に足掻き、死を願ったことすらも忘却し

自分のために生きる「自分」ではなく、彼のために生きる「自分」として

アタシは生きることを選択した


途端、男は細い腕からは想像できない筋力を発揮し

アタシの体を踏み潰していた瓦礫()をいとも簡単に退かし、アタシを救い上げる


そうして男は私の下半身に手を伸ばし、聞いたこともないような言葉を紡ぎ始めた


「ーーー■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」


詠唱が終わるのと同時に傷が再生を始め、三十秒後には下半身の感覚も完全に回復し

傷ひとつない状態まで回復した


男は治療が終わると、アタシを背負いながら歩き始めた


歩きながら男は背中にいるアタシにたった一言語った


「では、楽しみにしているぞ。君の作った物語(■■■■)がどれほど私を導いてくれるのかを!」


「…あぁ、あなたの為に見せてあげよう。アタシの作り上げた物語を」


そこでアタシは眠りに落ちたーーーー



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



目が覚めると、アタシは木製のベッドの上にいた

この部屋にはアタシ以外いない

少し心細いと思い部屋を出て彼を探し始める。

自分がいた一階を探索し始める

私が一番最初に感じたのは

部屋が綺麗すぎるという事

部屋が綺麗という事は逆に言えば誰かがここで生活しているという跡がない事

次に二階に上がる前に階段前のトイレを見てみる

トイレの型は汲み取り式で現代で生きてきたアタシはこれを使うのは嫌だなと思った

トイレから出て階段を上がる。

階段を上がっている最中、大きな笑い声が響き始める

アタシは声のする部屋の方まで駆け足で移動しドアの前に立つ。

トントン、とノックの音を響かせ中にいる彼に呼びかける


「…あの、開けていいか?少し話がしたいんだ」

ーーー嘘だ、別に今する話などない。

ただ彼を見て、彼の声をまた聞いてみたかっただけだ


………………沈黙が続く、先程までの笑い声は止まり、なんの反応もないことを確認する


「開けるぞ!開けていいんだな!……えいっ!」


力強く開ける、そうして暗闇の部屋の中を正面を見る。

途端、鼻に今まで嗅いだこともない異臭が入り込んでくる

目が慣れ、暗闇の中の部屋が視認できてくる。

そこでようやく気付く。


「臭っ!!…なんだこの部屋!?汚いなぁ、一体どれくらいの間掃除していないんだ、これ?」


でもこの部屋には生活感を感じる、つまるところこの家で彼の世界はこの部屋だけなのだろう


部屋の奥を見ると薄い茶髪にスーツを着込んだ男が椅子に座っていた


異臭や部屋の汚さを確認し、それでも尚部屋に踏み込み

奥にいる男の下までいく。そこでようやく気付く

ーーーこの男、寝ている!


(つまりなんだ?いまさっきの笑い声は寝言?あんなでっかい寝言聞いた事ないぞ

この男、少し変わってるなぁ…)


寝ている男の手元を見てみるとそこには、複数の紙が置いてあった

少し見てみようと左手を伸ばすと…


ーーーーーいつから起きていたのか、男が伸ばしたアタシの腕を掴んだ


「何をしているのかね少女よ。私の執筆した本が読みたいのなら

まず私に聞きなさい、勝手に見ようとするのはダメだよ」


男の正論に、アタシは腕を戻す


アタシは抑えられた腕を見る

男の力はとても強く、握られた部分は赤く変色してしまっている

掌の方まで視線を移動させ、ここでようやく左の掌の異変に気付く


(なんだこれ…見たこともないような文字が浮かんでいる...)

男はアタシが掌を見ていることを察すると


「嗚呼、その掌の紋様を見ているのか!それは契約の証だ!

 君は深い眠りについていたので私の方で強制的に契約を結ばせてもらったって訳だ

 ...嗚呼だが一方的とは言わないでくれたまえよ!君はあの時、選んだのだからね!

 私のために生きることを!!」


契約の証?昨日の「問い」と何か関連性のあることなのか?

アタシは彼のために生きることを決めた

じゃあ聞かなくてはならない。そうしなければアタシは彼のために何をすることもできない


「契約とはいったい何だ?教えろ。あたしは一体何の契約をした?そして何をすればいいんだ」


男はアタシの顔を瞬きすることなく真顔でのぞき込み


「そうだな。昨日は説明不足だったかもしれないな!では教えよう。

 この契約が一体何を示すのかを―――」



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


十五分後


「なるほどつまり王と(しもべ)が一セット、それが七グループ存在し

 そいつらが命を懸けて戦い生き残った一組がこの世界を自らの思うまま

 自由に書き換えることができる。ってそういうことだな...」


「嗚呼理解が早くて助かるよ!つまるところ君がすることは名目的に私の(しもべ)として

 この戦いに参加し私に魅せてくれることだ。君の作り上げた物語(■■■■)を――

 そのために君は今ここで生きている!」


腕をもう一度見せてくれと男は言う


「君の番号は四番。つまり君は(しもべ)として可もなく不可もない!位の位置だな

 そして私は六番目―――まぁ私はただの物書きだからな!

 むしろ私より下が一人いることに驚いたよ!」


「なるほど。この紋様は王と(しもべ)がどれだけ優れているか表しているって訳か

 つまりアタシは敵対する王と(しもべ)を殺し貴方を勝利に導けばいいという訳ですね。」


この言葉が男の耳に入り脳に届く

脳に届き男は言葉を認識する。その瞬間男の表情は今まで見たこともないような真顔を浮かべた

だがそれも一瞬男は大きな声で笑い始め


「ハハハハハハハ!いや違うとも違うとも!そんな殺し合い(コト)は重要ではない

 私は勝利などには拘らない!最初に言ったはずだ。私は君の作った物語(■■■■)が見たい!

 その為に私は君を生かし、此処まで連れてきたのさ!

 この戦いですらも私の探し物を探すためだけの舞台装置に過ぎない!

 君の作る物語(■■■■)に彼らが邪魔だと思うのなら殺せばいいっ!

 物語(■■■■)を作る上でどうでもいいのなら放っておけばいいっ!

 私は殺し合いを見たいのではなく、君の作った物語(■■■■)が見たい訳だからね!」


素晴らしい!やはりアタシは彼のために生きたい。そう思った

だからこそアタシは彼に負けないくらい大きな声を出した


「ああ!分かった見せてやる!アタシの作った物語(■■■■)を!

 邪魔な奴は王だろうと(しもべ)だろうと無辜の民だろうと

 貴方というただ一人の観客()にアタシの作った物語(■■■■)を見せるために

 アタシはだれをも殺すことを厭わない!」


アタシは告げた。貴方のために素晴らしい物語を作ってみせると


「...でもその前に、この部屋掃除していいか?」


男は悩む顔を見せることなく即答する


「ああいいとも!ご勝手になんでもしてくれたまえ!ここはもう君の家でもあるのだから!

 ――さてそれと君の名前。まだ知らなかったね!別に君の名前に興味はないが教えてくれないか?」


アタシは自らの白い髪、白いワンピースを風に揺らしながら

白色をした眼で男に名前を答える


「アタシはアリス。アリス・テルメリン!よろしくな先生!」


「先生?なぜ私が先生なのだ?私が小説家だからか?」


「まぁ、それもあるけどなんか先生からは「先生」って感じがするからかな。しいて言えば」


男はその返答に納得し


「まあ、別に何と呼ぼうといいとも。私は渾名など気にせんからな!ハハハハハ!」


「そうか、じゃあ先生よろしくな!」


ぐぅぅぅぅぅぅ!!


とても大きな、先生の声より大きな音が鳴る


「ついでにご飯作ろうか?...先生」


「うむ、腹が減っては仕事にも集中できぬとても美味しい料理を楽しみにしているよ!アリス君!」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


まあ、長い回想になったがつまるところそういう経緯だ


アタシがここにきてから三か月経つがまだ一組が揃っていないらしい

先生が言うにはもうすぐ揃うとまるで分り切っているようなことを言うが

アタシには具体的には教えてくれない。まあ先生はそういう人だってわかってるから別にいいけど

―――さて、掃除も終わったことだし先生の手伝いでもするとするか


そういってアタシは先生のいる部屋に向かい走っていった

この(みち)が永遠に続くように、といつまでも先生の後ろを歩めるように、と

願いを込めながら

ビルメスク王国...小説家ディランが住んでいる王国

  人と人ならざる者が共存しており、自然も伐採されたのかあたり一面に木々は見渡らない。

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