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デッド・オア・キス  作者: 夕凪渚
2章 メリエース大陸〜第2のマギアビースト〜
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11話 『フェミリーの正体』

「うーーん! いい朝だ!」


「眩しい」


  翌日の朝。エーベルトとフュールは朝日を浴びるため家の外へ出ていた。今の日差しはひときわ強く、2人を眩しく照らしていた。


「あれ? フェミリーさんは?」


「フェミリーなら朝ご飯の支度」


  フェミリーは家の中でせっせと朝ご飯の支度をしていた。


「なぁフュール。フェミリーさんで思い出したんだが」


  エーベルトがそう言うとフュールが首を傾げた。


「なに?」


「その、フェミリーさんがマギアビーストだっていうことだよ。それをどうするんだ?」


 エーベルトが言うと、フェミリーは無表情のまま言った。


「直接尋ねる。そうした方が早い」


「お前正気か? いきなり『マギアビーストですか?』なんて聞けるわけないだろ?」


「そんなストレートには聞かない。案がある」


「案?」


  エーベルトが言うと、フュールはエーベルトの耳元で言った。


「昔の話を聞く。それで少しでも反応があれば一気に(たた)み掛ける」


「一気に畳み掛けるって⋯⋯大丈夫なのか?」


「大丈夫。あっちが本当にマギアビーストだったとしても私が打ち勝つ」


  そう言って拳を作るフュール。確かにフュールはマギアビーストだ。もし、フェミリーがマギアビーストだとして、攻撃などしてきたらエーベルトには何も出来ない。そこでフュールがいれば心配ない。しかし、フュールは今魔力封印されているため、力が出せないはずなのだ。


「朝ご飯出来たわよー。って、日光浴でもしてた?」


  と、突然後から声がし、振り返るとフェミリーがエプロン姿で立っていた。


「は、はい。すぐ行きます!」


  そう言ってエーベルトとフュールは家の中へと戻っていった。



 ▲



「ごちそうさまでした!」


「ごちそうさま」


  エーベルトとフュールが同時に手を合わせて朝食を食べ終えた。


「2人ともやっぱりよく食べるわねぇ。結構量があったと思うんだけど」


  フェミリーがそう言いながら食器を台所へ持っていく。エーベルトは苦笑した。


  そう。さっき呼ばれて部屋に戻り、テーブルを見ると、そこには朝食とは思えないほどの量で彩られていたのだ。それをエーベルトとフュールがほとんど食べてしまった。


「は、はい。お腹すいてたので⋯⋯」


「私も」


  2人がそう言うと、フェミリーは「へぇー」と言っていた。ちなみにフェミリーはあまり食べない方で、少し残していた。


「なぁフュール。畳み掛けるってどのタイミングでいくんだ?」


  エーベルトはフェミリーが台所にいるのを見計らって小声でフュールに問う。


「自然な流れでいく。そうすれば上手くいくはず」


  そう言って拳をぎゅっと作る。


「分かった。じゃあお前に任せるぞ」


  それから数十分が経った。


  今、リビングにはエーベルト、フュール、フェミリーの3人が揃っている。聞くのなら今がチャンスである。


「フェミリー」


「はい? なにかしらフュールちゃん?」


  いきなり名前を呼ばれ、笑顔でフェミリーは返した。


「私とフェミリー、昔会ったことがある気がする」


  フュールが言うと、フェミリーは怪訝そうにフュールに言った。


「⋯⋯昔? いつのことかしら? フュールちゃんとは会った記憶が無いわ」


「それは嘘。絶対に会っているはず。100年以上前に」


  フュールが最後の言葉を言った瞬間、フェミリーの動きが止まった。――昨日と同じ不穏な空気を纏いながら。


「100年以上前? 何を言ってるのか全然分からないわよフュールちゃん」


  言ってくすくすと笑う。フュールは一気に畳み掛けた。


「それはこっちのセリフ。100年以上前、会っているはず。()()()()()()で」


  フュールが言うと、またもフェミリーの動きが止まって、眉をピクつかせた。明らかに動揺しているようだった。


「マ、マギアゲール? なんのことかしらねぇ⋯⋯」


「私はマギアゲールに参加していた。そう、兵器、()()()()()()()として」


「⋯⋯」


  その言葉を言った瞬間またもフェミリーの動きが止まる。止まったかと思いきや、背中をぷるぷると震わせていた。


「⋯⋯フェミリー?」


  フュールが怪訝な顔でフェミリーに尋ねると、突然フェミリーが大声で笑い出した。


「ふ、ははははは――ッ! バレてしまってはしょうがないわね!」


  すると次の瞬間、フェミリーの体が発光しだし、辺りを光一面にしてしまった。


「く⋯⋯! ま、眩しい」


  そして数十秒後、その光は無くなった。


「い、今のはいったい。って――」


  エーベルトがそう言おうとしたが、言葉を詰まらせてしまった。理由は単純。それはフェミリーの装いにあった。


「フェミリーさん⋯⋯。その姿は⋯⋯」


「ふ、はははっ! これが私の魔装(まそう)よ! どう? 似合ってるでしょ!?」


  そう言って高々に笑うフェミリー。


 そう。今の彼女の装いは金属質のパーツに身を包んだドレスの装いだったのだ。手には槍のような物を持っている。


「魔装⋯⋯! やっぱりマギアビースト」


  フュールが警戒する様子で言った。


「そうよ! 私がマギアビーストのフェミリー・ローレイラよ!」


  「⋯⋯本当にフェミリーさんが、マギアビースト?」


  エーベルトがそう言うと、フェミリーはエーベルトの目の前まで歩いていき、顎をクイッと上げた。


「そうよぉ? どう? 今の気持ちは。ずっと探し求めてたんでしょ? 」


「は、はい。あ、そうだ」


  そう言ってエーベルトはフェミリーから距離をとった。


「何をするつもりかしら? まさか魔力封印しようだなんて考えてないでしょうね?」


「⋯⋯!」


  エーベルトは無言のまま肩をビクつかせた。理由は単純。図星だったからだ。


「どうやら図星だったみたいね。言っておくけど封印なんかさせないわよ?」


「なぜ、ですか?」


  エーベルトは額に汗を垂らしながら聞いた。


「魔力封印がどうやるのかは知らないけど、そんなの勝手にさせるわけないじゃない。それか条件付きでさせてあげてもいいわよ?」


「条件?」


  エーベルトよりも先にフュールが聞いた。


「そう条件。私と魔法(マギア)で勝負して勝ったら魔力封印させてあげてもいいわよ? ただし負けたら――」


  そこで一旦言葉を切り、ニヤリと唇の端を歪める。エーベルトは唾を飲み下した。


「――私の奴隷になってもらうわ」


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