プロローグ
処女作でまだまだつたないですが最後までお読みいただければ嬉しいです。
目が覚めると、うっすらとした雲が空を覆っていた。
とは言え、降っているのは雨ではなく雪である。季節は冬だからまぁ当然といえば当然だが、それよりも住んでいる所が北海道だからすごく寒い。確か今日の最低気温今日はマイナス10度ほどだったはずだ。
ところで、今日は一月一日(元旦)である。
つまりは、お年玉で懐があたたかくなる日だ。
「おーい、巡~。ごはんできたよ~」と、そんな声が聞こえてくるが俺はまだ眠いので寝る事にした。 だが、それからも毎分のように同じような言葉が聞こえてくるが当然無視する。
それからしばらくして、誰かが階段を上ってくる音が聞こえたと思ったらいきなり部屋のドアが開き、そこから入ってきた何者かに布団を取られてしまった。
「巡、なんで起きてこないの?もう7時だよ」
(なぜそんな時間に起きなきゃならんのか説明してほしい。)とは言えない。
なぜならそれは、こいつがきれると碌な目に合わないからだ。
「むぅ、なんか失礼なことを言われた気がする。」
こいつの名前は、東堂 冬華。
俺の幼馴染だ。こいつとは、生まれた時からの付き合いで、幼稚園から現在通っている高校まで同じだったりする。家は隣で家族ぐるみで付き合いがあり、冬華の部屋から俺の部屋に直接行き来することが出来る。
「まだ何もいっていないだろ。」
しまった、つい口を出してしまった。
「まだ?まだって何かな、もしかして何か文句でもあるのかな?」
は~やっぱりこうなったか、めんどくさいなぁ。
さて、そろそろ起きないと余計に大変な目に合うから起きるとするか。
「いや、何でもない。着替えたら下に行くから先に行っててくれ。」
冬華はしぶしぶ部屋から出ていった。さっさと降りてこい。という言葉を残して。
俺は、着替えるとすぐさまリビングへと向かう。
リビングにつくとおせち料理が並んでいた。さてと、我が家は隣の東堂家と一緒に様々なイベントをするため、新年も共に祝うのが恒例行事となっていた。
「はぁ、すっかり冬華ちゃんにお世話になっちゃて、しっかりしなさい巡。」
そういってお雑煮を頬張っているのはうちの父さんだ。名前は、仙道 修で大手メディア運営会社の社長である。
ここで一気に今まで紹介できていないメンバーの紹介をしてしまおう。
まずは俺からだな。名前は仙道 巡。北海道の公立高校に通う高校2年生だ。趣味はアニメを見たり、小説サイトの小説を読んだりすることである。そうそう、これはまだ誰にも言っていないんだが、俺はどうも冬華のことが好きなのかもしれない。
らしいというのは高校に入って、俺は今まで以上に冬華を意識することが多くなっているからだ。それにふいに近寄られるとドキドキするからだ。まぁ、この話はこの辺にして、
次は父さんだな。名前は仙道 修で、大手メディアの社長だ。テレビには何回も出ていて、有名だと思われる。
母さんの名前は仙道 椿だ。母さんについては特に情報はない。というよりかは全くのなぞといえるだろう。
次は冬華の家族を紹介しよう。
母親の名前は東堂 茜。うちの母さんとは同級生らしくよく高校から帰ってくると、リビングでうちの母さんとお茶をしている。
父親の名前は東堂 一。全国に広がっているあるカフェのオーナーでこっちは父さんの友達らしい。昔はおじさんや父さんと一緒にキャンプに行ったこともある。結構良い人だと思う。
この辺で紹介を終わろうかな。なんかさっきから冬華がすごい目でこちらをにらんでいるからな。
うん。
「ねえ、さっきからどうかしたの?なんか心ここにあらずって感じだったけど。」
むぅ、なんか心配?してくれたようだ。
「いや何でもないよ。少し考え事してただけだから。そんなことより早く食おうぜ。」
そう言って俺は自分の席に着いた。
「ねぇ巡、後で一緒に初詣に行こ!いいでしょ、巡?」
まぁ、こいつのことを好きだと自覚してから変な虫がつかないようにできるだけそばにいたため、今更断る理由もないかと思って承諾した。
「まぁ、いいけどいつから行くんだ?」
「んーとねぇ、今8時だからあと1時間あとくらいかな。」
「そっか。わかったよ準備しとくわ。」
そういって俺は席を立った。
~~近くの神社~~
神社につくとそこは人であふれかえっていた。
「ねぇ、巡。」
「ん?な、何だ?」
冬華がいきなり話しかけてきたので驚いたが、何とか返答できた。
「こういう状況のことをアニメとかだと(人がゴ〇のようだ)っていうんでしょ?」
・・・・・・・・は?
いやいやいや、そもそもなんでそんな発想に至ったのか説明してほしいわ。
そしてそんな言葉をどこで覚えてきたんだ?
こいつは自分からアニメとか見るタイプじゃないし。それに関しては直接聞いたほうが早いか。
「おい、冬華お前そんなセリフ一体どこで覚えたんだ?」
「そんなの決まってるじゃん、アニメを見て勉強したんだよ。」
「え?お前アニメ見るの?今まで全然そういうの興味無さそうだったのに。」
「なに?私がアニメ見たらそんなにおかしい?」
(なによ、そんなに私がアニメとか見るのが珍しいの?私は巡がおすすめしてきたから見たのに。)
(う~~~、何でこんなに会話が続かないのかなぁ。もっと巡と話したいのに・・・)
私が巡に対して恋心を抱いていると分かったのは、高校1年生の時だった。そのとき詳しくは覚えていないのだけど、信号待ちをしていたら、いきなり私に向かって車が突っ込んできてそれを巡に助けられたんだっけかな。確か、そのあたりから巡のことを異性として見始めたんだと思う。それが私の初恋だった。
それから何もない時でもできるだけ一緒にいるようになった。
「・・か ・ ・ ・ とうか ・・・おい冬華。 」
「へっ、なに?」
「何じゃねえよ。順番まわってきたぞ。」
「あぁ、うんわかったよ。」
賽銭箱に5円玉をいれて、二礼二拍手をしてから、巡と冬華は、それぞれの願いをねがった。
(冬華と今年内に付き合えますように。)
(巡と今年中には付き合いたいです。)
二人それぞれが1礼して、それぞれの家に帰宅した。
~~~自宅にて~~~
冬華と初詣に行ってからもう8時間近く経ち、あたりが暗くなってきたとき冬華の部屋から大きな悲鳴が聞こえてきた。
俺は、なり振りかまわずに冬華の部屋へと入っていった。
「おい、大丈夫か?なんかひめいがきこえたんだが、」
「め、巡。う、後ろ 」
そういわれて後ろを見ると、
赤黒い色をした、オオカミ?がそこにたたずんでいた。
それを見つけてからそのくらいの時間がたったのだろうか。少なくとも俺には、数時間はそこにいた気がしてくる。
オオカミは動かない。俺たちは動けない。
そしてしびれを切らしたのか、ついにオオカミはゆっくりとだが着実にこちらへ向かってきている。
そして巡の視界は一瞬にして真っ黒になった。それが巡の見た最後の記憶だった。
そして残された冬華は・・・・
「いやーーーーーーーー」
下半身だけになった巡の姿と自分に迫り来るオオカミの姿を見ながらも、叫ぶことしかできなかった。