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第5話

スミレとの約束の日。楽しみに学校に来ると友人の三平に声をかけられた。

モテメンだが色事が好きで校内でもナンパするようなやつだ。オレは軽く軽蔑していた。

この日もニヤニヤ顏で近づいてきたので、どーせ昨日の女の話しでもされるんだろうと思っていたが意外な質問だった。


「おまぁ、やっぱスミレと付き合ってるん??」


はぁ?


「誰がタブーとなっていることをばらしたのであろう…?……いや。ウソ。なんで?」


「いやぁ、この前、友達が、タケノリとスミレ朝帰りしたの見つけたって聞いたからさ。

 wwwwww何、お前ら、wwwwチャリでホテルいったのwwww」


おいおい。なんだ…。


「いやいや…この前スミレ、ウチのバイト先まで来たから、帰り道送ってったんだよ…。」


「ごまかさなくてもいいって。なんかスミレ眠そうだったから、あれはオールナイトだっつってたぜ?」


「いや…違う…バイト先で、朝の5時まで待っててくれたんだよ…。」


「5時まで…?普通、待たねーーだろ~~~!」


「そこが俺にもよくわからないけど…多分、夜道が怖かったんだと思うよ…。とにかくそういうことなんだよ…。」


「そうなの?なんか、そんな話広がってるよ?しかしさ~、そこまでスミレ待ってたんなら、なんかのサインでしょ!家まで送ってんだからさ~。部屋に上がってて~!タケちゃん、スキスキ~!ってことじゃねー?」


「…ジロリ…。」


「…スマン…。」


スミレの耳にはもう入っているだろうか…?

不快な思いをしていなければいいが…。

探して、ウワサが流れてること伝えなくては。


と彼女の学科がある通路に入ろうとした時。後ろから京一郎がバツの悪そうな顔をしながら


「あのさ~…キョーコちゃんと最近同棲はじめたんだけど…。」


「ウソ!?マジ!?おまーすごいねぇ~。」


「それなんだけどさ~。お前、まだスミレちゃんに彼女いるのいってないの?」


「ありゃ?どうだったかな?言ってたと思ってたけど…。」


「キョーコちゃんも知らなくてさ…。」




--------------------------

京一郎の回想シーン


「あたしたちは、こうして同棲はじめたのにさ」


「うんうん」


「スミレたちって全然進展ないよね?このまま、あの二人卒業しちゃうんじゃない?」


「え?」


「あたしたちで、無理やりつっくけちゃわない?」


「だれと?」


「タケノリってさ~、度胸がないっつーかさ~。お互い好きって分かってんのにさ~。」


「え??」


「男同士ってさ~、そういう話ししないの?プライドあるとかって感じ?」


「タケノリ…付き合ってる人いるけど…。」


「………はぁーーーーー????」


--------------------------




「…はいはい…」


「なぜか、すっごい怒り出して、スミレどうすんの?スミレどうすんのってさ…。」


「…えー。…えー…。」


「スミレちゃんと二股だったの?」


「いぇ…スミレには一切手は出しておりません…。向こうが近づいてきて胸を肘に触れさせる程度でして…。」


なぜか、すでに京子の弾劾裁判がはじまったかのような話し方。

ガチガチの緊張だ。背中に氷を一粒おとされた感覚…。


キョーコに会ったら…なにかをされる……!



その時だった。いやな視線を感じた。

とてつもない精神的圧迫プレッシャーだった。


その方向には京子が立っていた。

ものすごい勢いでこちらに向かってきた。

今にも殴られるんじゃないか?そんな思いだった。


「あんたさーーーー…。」


「…ハイ…。」


「付き合ってる人いるんだって…???」


「…ハイ…。」


「なんで??」


「…なんで?っていうのは…あの…その…」


もう、しどろもどろだ。なんて答えていいかも分からない。なにが罪さえも分からない。

見かねて、京一郎がフォローを入れてくれた。


「キョーコちゃん…、タケノリも何も悪気があって言ってなかったわけじゃない…。」


ホッ…。そうだよ。別に友人全部に公表しなくたっていいじゃねーか…。

しかし京子は京一郎を「ギロリ」を一瞥し


「そうでしょうね!!!」


「   」


「あンた、スミレの気持ちはどうすんの?」


「え?」


「どうするのか聞いてるの!」


「どうするもこうするも…わたし、彼女の気持ちを知りませんし…。」


「…テメー!女がいながらスミレの豆までまもうとしてやがったのかヨ!?あたし、スミレの話ししてたよなァー!アア!??」


もう、その頃になると観客が集まっていた。みんな(…豆とは…??)とは思っていたが突っ込める雰囲気でもないし、この一大事件の収拾がどうなるのか興味津々の野次馬たちだった。


「どーなんだよ!!?」


「…いえ…そんな気は毛頭有りませんでした。スミレは大事な友達で…。」


京子は、それはそれは大きなため息をついた。


「…ッチ!…ハァ…もう行っていいわ。…」


「…ハイ…。」


「スミレに会ったら、ちゃんと付き合ってる人がいるっていいなよ!!!」


「…ハイ…。」


京子は京一郎の手をつかんで、通路を足早に行ってしまった。

立ち尽くすオレに数人の男たちが囲んでいた。


「…じゃ、スミレとは付き合ってねーの??」


「…ハイ…。」


「…なんだそりゃ…。」

「オメーら付き合ってると思って遠慮してりゃーよ…。」


そう捨て台詞を吐いて、男たちは囲みを解いた。オレはオドオドしながら、スミレを探すと職員室から出て来た。レポートか何かを提出していたんだと思われる。彼女と目が合うととても嬉しそうな顔をしていたが、こちらは京子に怒られて心臓が未だドキドキしていた。


「お、お、お…スミレ…。」


「あ、タケちゃん!今日だよね?映画の日。」


「そ、そ、そ。とりあえず、学校をでようか…。」


「ウン。」


二人で仙台の街の中へ…

スミレがなにかを話しているが、まったく聞こえず…


さすがに、バカでデカいニブいだけの男でも…

京子の話からすればスミレがどう思っているか分かった…。


しかし、スミレの気持ちに答えることはできない…

でも、スミレとの関係もくずしたくない…


それにしても、モテない今までの人生、2人の可愛い女の子が俺に気があるなんて正直ウレシい…。

こんなの100年に一度あるかないかのラッキーイヤー!


いやいや…そんなこと言ってる場合じゃぁない…。

どうすれば…どうすれば…。

そうゆうことが頭をグルグルと駆け巡る…。


【3択ー1つだけ選びなさい】


答え①:言ってないなら男らしく言う!

答え②:別に言う必要は無い。今までの関係を続ける。

答え③:かわせない。現実は非情である。(?)



「(答え①)スミレ…あのさ…」


「なぁに??」


仙台駅前のペデストリアンデッキの中央でオレたちは立ち止まった。


「俺…スミレに…言ってなかったことがある…ような気がする…。」


「ええ??なに改まって!!


…あたしが言いたかったことと一緒かな~~♪


…まぁ…。だいたい想像がつくけど、話してみたまえ。」




「………………」



「…タケちゃん…??」



「………………




…俺…付き合ってる人がい…る…」




「………………



…え?


……その人…なんて名前…?」



「…サキ…。スミレの…知らない人…。」




「…そ…



…そなんだ…



…なぁんだ~~~!早く言えよな~~~!……俺たち、親友だろ~~~~!???」



「ウン…ゴメン…。」



「なんだ。俺っちのこと、女あつかいしてたから言えませんでしたってか~。あたしが男だったら早く言えたって感じ?」


「いや、もう、言ってると思ってて…その…」


「いいさ。いいさ~。じゃ、映画見に行こ!ね!」


「お、おう…」


二人で入る、初めての映画館。

スミレはとにかくカラ元気って感じでしゃべりまくる。


そのカラ元気さをつっこうもうかと思うくらい

がんばってるのが丸見えで…


とても切なく感じた。


映画自体は楽しげなコメディ映画だったが深くは覚えていない。

スミレがとなりで声を殺して泣いているのを感じた。


俺も寝たふりでもしていれば傷つけずに済んだのかもしれないが…

なぜか、動くこともできなかった…。


映画が終わり、スミレはすぐに


「トイレ…」


といって、行ってしまった。


トイレ前でスミレを待った。


「じゃ、行こうか!」


と、彼女は元気そうに言った。


「うん。どうする?前に言ってたインドカレーでも食べに行く?」


「う~ん…。今日はいいや。辛いもんの気分じゃないし。帰る。」


「そか。じゃ、また学校で…。」



といって別れた。

しかし、もう前のようには、なれなかった…。

というか、スミレは俺を確実に避けていた。


前は休み時間に、お互いにお互いを探したのに…。

今は探してもどこにもいない…。

でも、何を話せば…。


たまにスミレと京子を見かけて、手をあげてもスミレはこっちを見てくれなかった。

あげた片手がむなしく下がる。



『答え―③ 答え③ 答え③…』

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