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第4話

スミレには隠れファンがたくさんいた。しかし、その中から誰かを選ぶということはしていなかった。それにも関らず…


「いい人いないかなぁ~~~。」


彼女の教室に行き、彼女の前の席に座った時、そんなことをボヤキ出した。自分で彼氏を作らないくせにとオレは呆れて


「なんだ、彼氏欲しかったの??」


「うん…青春を一人で過ごしてるのはいやだよ~。」


「なんだ、早くいやぁいいのに。」


「え???」


ガタっと机に両手をつけて彼女は立ち上がった。彼女は前のめりになって、その長い髪がオレの頬に当たった。


「???どした?」


「え???なんで早く言えって…?」


「…仁志、今フリーよ?」


スミレは大きくため息をついて、ガタっとまた席に座って顔を伏せた。


「ヒトシ君か~。いい人そうだもんね~。」


「紹介したろか?」


「う~~~ん…。まだいいかなぁ…。」


なんじゃそら?どうなっとんじゃ???わけの分からない行動なんてどうでもよく、オレはイスの前脚を浮かせて後脚のみで何秒座っていられるかという将来何の役にも立たないことに熱中していた。


「ねぇ?聞いてる?」


「聞いてるよ。20%ぐらいの力で。…おっと!」


「プ…。じゃ、イスのバランスに80%も使ってるわけ?」


「そりゃそーでしょー。スミレの相手なんて20%でつとまる。わわわわ…。」


「なにそれ。失礼しちゃう…。私はいつも100%だっていうのにさ…。」


「ここのイスが一番ちょうどいい。自分のイスだとこうはいかない。わ!」


バカだ。今思えばただのバカ。中学校、高校の延長だ。こんなことに無駄に労力を割いていた。

彼女の呆れた顔も面白かった。


「タケちゃんのバイト先でさ~。」


「なに?」


「あれあるでしょ?お弁当の廃棄」


「あるよ。この前もステーキ弁当くったったわwww」


「あたしも欲しいなぁ~。」


「欲しいか!?このいやしんぼめ!」


「もらいに行ってもいい??」


「いいけど…遠いじゃん。反対方向じゃん。」


「大丈夫。大丈夫。じゃぁ、夜の12時ころいくね!!」


「ほんとかよ…。無理すんなよ。こなかったら明日持ってくるからサ…。」


「会いたいくせに!」


「会いたいけどサ。」


「ええ???」


「来なよ。でも無理すんなよ?」


「…うん…。」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



そしてその夜。ヒトシとバイトしてると…といってもバックヤード入りっぱなしだが。

真夜中12時ころになると電車もなくなり、店内には誰もいない感じになる。


そこに、スミレの元気な声が聞こえたので俺たちはバックヤードから出てレジに並んだ。


「カランカランカラーーーン」


「いつからセブ〇イレブ〇の入り口に鐘がついたのやら…」


「お留守ですかぁ~~~???」


「俺とヒトシの二人だけだよ。」


「開けっ放しは物騒ですよ~~。」


「全然人の話聞いてねぇわ。ヒトシ、バックヤードで漫画でも読もう。」


「ちょっと待って、ちょっと待って。」


「なになに?」


「お弁当ちょうだいよ…。」


「…しーーーーー!静かにしろ…。防犯カメラにすべて映ってる…。俺たちは他人。会ったこともない。トイレに行くふりして、バックヤードにこい。」


と、ハリウッドのスパイ映画を気取ったしゃべりをして彼女に司令を出すと、スミレは大根丸出しでうなずきもせず、商品を見ているふりをしてトイレに向かった。

トイレとバックヤードの通路はカーテンで区切られてはいたがつながっている作りだった。

策略が図にあたり、スミレはバックヤードに侵入完了した。ミッションコンプリートだ。


彼女に廃棄処分の弁当が入ってるカゴを出した。


「つっても、もう今日はステーキ弁当はございません。」


「え~~~~???」


「牛カルビとか、牛丼ならあるでよ。」


「じゃぁ、それにしようかしら?でもお高いんでしょう?」


「今ならこれにサンドイッチもつけてゼロ万円!!」


「えーーーーやっすぅぅーーーいいい!!!」


すると、仁志が小声で


「あ…カルビ…俺食べようと思ってたのに…」


「おまぁ…空気読めよ…。」


スミレの前で袋詰めしてやり、裏口からでて彼女の自転車のカゴに入れてやった。


「ねー、タケちゃん。送ってって??」


「なんでだよ。仕事中だよ。ようやく、仕事やってるふりして精勤手当1万円もらってんだからよ~。」


「あらすごいじゃん。でも女の子一人を闇夜の中、帰す気?」


「そうは言ってもね~。二人いないとダメなのよ。ゴメン。」


「じゃ、終わるの待ってる。」


「は???」


「何時に終わるの?」


「5時だから、あと4時間はあるぜ?」


「立ち読みしててもいい?」


「いいけど…防犯カメラあるから、君とマジ遊んだりできないからね?ここでは、客と店員。いいね?」


「いいよ。ちょうど読みたいのあるから…。」


とスミレは本コーナーで立ち読み開始した。


「ヒトシ、スミレ、帰んないで、俺終わるの待ってんだってよ。」


「マジ??スミレちゃん、俺と帰りたいのかなぁ?」


「なんでそう思った?」


「スミレちゃんとタケノリって付き合ってんの?」


「付き合ってないよ。俺、彼女いるし。」


「浮気ですか?」


「そーゆーんでもないんだよなぁ…。スミレは…。一緒にいるのが当たり前っつーか…。…そー言えば、深く考えたことなかったわ。あいつも卒業したら地元帰っちゃうだろうしなぁ…。あいつもどう思ってんのかなぁ…。」


そうこうしてると、夜も白み始め…店長が来て、俺たちお役御免となった。着替えてレジ前にいる店長に


「お先しま~す」


と言うと、スミレがオレの背中に張り付いて


「お先しまーす」


「誰?」


オレは店長の手前とぼけた。この爆弾女とも思った。店長はニヤニヤしながら


「なに、タケノリくんの彼女?」


とからかった。するとスミレは敬礼のポーズをして


「そっす!」


「違います。彼女じゃないっす。誰なの?」


「スミレっす。」


「いや、知らんし。お客さァん…勘弁してはくれませんかね?」


と、どうしてもスミレを認めようとしなかったが、店長は一人納得して


「なんだ…彼女か…うーん青春だねェ…」


「いや、彼女じゃないっす。」


「彼女っす。いつもお世話さんっす。」


「お前ね…捜査を攪乱かくらんするこというんじゃないよ。」


「タケノリくんにはもったいないかわいい子だね。」


「もったいない子っす。」


「だから、誰なんですか!あなたは!」


寝てないからか、ハイテンション気味のスミレ。


こちらは、いい迷惑。仕事中に彼女らしきひとを連れ込み、あまつさえ、防犯カメラには、一連の行動が映ってる。店長、カメラチェックしてるのみたことないから大丈夫とは思うが…。外にでて、


「なに今の?」


「いいじゃん。いいじゃん。じゃぁ、帰りますか…。」


と言って、スミレと自転車を押しながら人通りの少ない道を二人で歩く。何も自転車に乗ればいいのに…。と思うかもしれないが、話しながら歩きたかったんだ。


「彼女だって!かわいいだって!」


「…まー間違われても光栄ではあるけどね。」


「ふふ。」


「つか、明るくなったから、送る必要もなくね?」


「ちょっとちょっと!そしたら、なんであたし5時間も待ったのよ。」


「それもそうか…。ははは。」


「…あ…」


「どした?忘れ物?」


「オナラでちゃった…。」


「wwwwwwwww!お前、また…!ヤメロ!もう…wwwww。」


「だってぇ、しょうがないでしょ?今まで我慢してたんだから~!」


「だまってればわからないでしょーよ!」


「でも、ウケたんだからヨシ!」


「キョーコちゃんだったら幻滅してるよ。」


「大丈夫。キョーコちゃんの前でもしてるから。」


「してるんかいwwwww」


「家族みたいな人の前ではしてもいいだもーーん。」


「…そうか…そうだな~。家族みたいだもんな~~。」


「ふふ」


「双子の兄妹って感じか。」


「双子なのに、片方そんなバカでっかいの?」


「俺はバカだけどデカくはねーぞ?」


「ブーー!!逆でしょ?逆!!…ひょっとして下ネタでした?」


「…よくわかったな。この俺の体の謎を!!」


「wwwwサウザーーwwww。」


しばらく雑談していて、ふと先ほど気になったことを聴いてみることにした。


「…スミレ、卒業したらどうする?」


「どうしよう…?就職して…」


「実家に帰るの?」


「帰ってもいいし…別なところで…お嫁さんになってもいいしね。」


「なるほどね。女性はそういう道もあるだろうね。俺も次男だから…別に土地に縛られてはいないけど…」


「タケちゃんチのほうで就職してもいいかもね!」


「ふぐすま、田んぼとカエルしかいねーぞ!」


「青森も、リンゴしかいねーぞ!」


何でも冗談にしてしまう俺たちだ。この長い道のりすらも短く感じ、もうすぐ彼女の部屋に着いてしまうことがもったいなく感じられた。


「………あのさ…タケちゃん…あの…。」


「ん?どした??」


「卒業式さ…一緒に写真とらない?」


「あー、いいとも。着ぐるみ??」


「うんそう!着ぐるみ!」


「いいじゃんいいじゃんwwww」


「あと、今度二人で映画行こうよ!」


「二人で?別にいいけど。おもろいのあるかな?」


「あるある!コメディ映画!」


「へー!いいじゃん。行こうか。」


と言ってバイトのない日を選んで映画を見に行く約束をし、彼女のアパートの前で少しの間話し込んで名残惜しく別れた。

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