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必然少年性

ノートを見つけた

作者: 蒼屋表

 イギリス人、現在日本在住、僕です。将来の夢を小説家としているのに関わらず、文章を書く練習とかをしてこなかったので、その練習です。お話を書くのは難しそうなので、日記みたいなものです。

 文章の基本は5w1h?誰書いた、なぜ書いた、何書いた、どのように、A掛新品大学ノート水色にHB芯STAEDTLERシャープペンシルで日本語で。字はいつもよりも丁寧。どこで、今は僕達の秘密基地。洋室で、本棚が一番面積をとっている。10畳くらいと、前聞いた気がする。よくわからないけど。そこらへんから拾って来た家具を直して使ったりしてるので、全体的に古臭い感じ。あと、いつか。学校終わってから、そのままここに来て、休んで宿題しての午後四時少し過ぎ。

 自然に5w1h入れるのって相当難しそう。いつかうまくなるよね。きっと。ところで、僕は今一人ではなく、幼馴染の少年といます。彼は日本人で、真っ黒い髪に睫毛のたくさん生えたつった黒目で、だぼついた服で足を組んで何かの本を読んでいる。二人がけソファを一人占めして。太陽を背にしてテーブルについている僕と、向かい合っているけど、僕のしていることには興味を示さない。そういう奴。絵を書くのと読者が趣味らしいけど、書いた絵を見せてもらったことはない。

「今何才?」

「11」

年は僕より1つ下らしい。僕よりしっかりしていて、偉そうなのでよくわからなくなる。そういえば彼はピアスをしているが、先生に怒られないのだろうか。聞いてみる。

「ふだんまじめで顔がいいからなにかと許されるんだよね。そしてへたに僕をおこるとめんどくさく長々としゃべる仕様になっているから何かを言ってくる人は少ない。」

うわあ、本当によく喋る。今まで少しも動かなかったピアスが揺れる。

「というかさっきから何を真剣に書いているの。」

やばいこっちき



 奪った。僕です。あいつはノートを見られるのを必死に抵抗していたが、今諦めて紅茶を淹れに行った。先に人が座っていた椅子は生温くて気持ち悪い。夏でないだけ少しはましか。僕は本は読むが文章は書かないから、小説家になろうなんざ思い付きもしない。彼が小説家を志していたとは知らなかった。少し信じられない。吃驚した。

 そんな小説家志望の彼を描写しよう。前に書いてあったが、イギリス人で十二歳だ。昔から僕の家族と日本語での交流があったため、日本での生活には難はないらしい。光をよく通す白い肌と薄茶の髪とはここでは珍しい。整った顔立ちも相まって、人目を引き易い見た目だ。中でも彼の蒼い目はとても綺麗だ。美しい。そして僕はだぼついた服を着ていると書かれていたが、反対に彼はきっちりとした服装を好むようだ。平織のパンツに首迄ある厚手のニットを合わせている。僕はタートルネック等は首が締まるようで苦手だ。滅多に着ない。着たら着たで似合うのは間違い無いが。

 さて人物描写も腹一杯な所で。日記とは言えど文章なのだから、起承転結くらいは意識したいものだ。長過ぎる起こりを僕が承けた。いや、転ばせたかな?これから如何に巧く結ぶか、ノンフィクションのライブには難しい問題だ。如何するのかな。

 等と言っていると彼が紅茶を運んでやって来た。僕の文章はここらで締めよう。すわ頑張れ作家見習い。



 紅茶を飲んだ。書き足された文章を読んだ。あんな短時間でどうやってこんなに書いたという感想だ。文句がいくつかある。1つ目はところどころ漢字が難しいこと。辞書で調べたけど。2つ目は3段落目だ。なんでそんな緊張させるようなことを書くのか。やりにくくなってしまった。うう、勝手に読んだこととか書き加えたこととかあるけどもういいや。にやにやしながらこっちを見てるのがいやだ!

 わかりきった起承転結の次は僕が書くのを投げ出すこと!いつかうまくなった文章をあいつに読ませてやろう。終わり!





 ほぼ新品のノートがあったから何かと思って開けば、2年前の自分が書いた日記?だった。3日ぼうずにもならないとかすごい。将来の夢は変わらず小説家。文章の上達の方は…推して知るべし。言わずが花。

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