エピローグ②
カラフルガーデンの上空には灰色の雲があり、そこから雨が落ちていた。
花は濡れている。
そこでレノアは一人、雨に濡れて、花びらを摘まみながら。
ナルミのことを考えていた。
ナルミのことを考えると、ハートに火が付いたように、全身が熱くなる。
雨に濡れても冷めない熱。
いろいろな思いが止まらない。
どうしたらいいか分からなくて、涙が出て、雨と一緒に地面に落ちる。
ナルミと同じ気持ちになりたい。
レノアは、育て上げた花を摘んでいく。
そして、その花たちに、いけない魔法をかけた。
一瞬、レノアの輪郭が緑色に輝いた。
レノアは握った右手を雨雲に向かって開いた。
一本の。
シガレロ。
それが手の平の上にあって。
濡れないように。
レノアはギュッと胸元でシガレロを握り締めて。
口に咥えて。
ライタで火を点けて。
吸って。
肺に成分を染み込ませて。
煙を吐いて。
それから……。
了
WMG完結いたしました。
長いお時間、お付き合いありがとうございました。
その時間、現実の世界を忘れていただけたら、私の企みは成功したことになります。
ああ、今日は花粉症が大変でしたね。あらゆるところが痒くて大変でした。今も痒い。陽気になれない日でした。不思議な日。奥行きがなく、平らな日でした。まるで、つまらないキネマを見ている気分でした。主人公は目が痒い私。
さて、私の魔女シリーズのほとんどは、全四部作を予定しております。
プロットもなんとなく出来ていて、最後にスイコに言わせる台詞も出来ています。
WMGの第二部は、この世界の成り立ちについての小さなことを手がかりとして、再び始動する水上市に隠された絡繰について。
ミサキ博士は祖母が水上市のどこかに隠したギミックを探しだそうとします。そのために必要なのはWMGの魔法。そして、シガレロとアルコールに溺れるレノアの魔法。
WMG第二部。
「ウォッシング・マシン・ガールズのミュウ・モータ・ケース」
「鋭い回転のためには、補助がいるんだよ、」小田切は雲を掴んで言った。「でも、その補助だって確かなものじゃない、飛んだ気にさせて落とす、落ちなかったらもう補助はいらない、そうさ、補助って本来そういうものなんだよ、だから破裂したって悲しむべきものじゃないんじゃないか?」