暴行
この物語は前作puer‐Jamの続編です。
前作を読みたい方は、砂さらら か Puer‐Jamで検索してみてください。又は以下のURLからどうぞ。
http://nw.ume-labo.com/dynamic/novel/a/n0493a/index.php
このところ鬱が重い。
何もやる気が起きない。
食事も摂るのが面倒だ。話もしたくない。
精神安定剤をオーバードースする。
5倍量だ。
職場に欠勤の連絡を入れることだけでも、僕は渾身の精神力を必要とした。
やがて薬の効果で、意識が蒙昧としてくる。
身体も少しだけ痺れてくる。
やがて眠りに落ちた。
眠りの中で僕は女を抱いていた。
若い20代の女の感触だった。
ショートカットの髪型ががようやくわかるくらいで、顔は見えない黒い影になっている。
僕は眠りの中だということを分かっていた。
だから欲望のおもむくままに、実生活では絶対しないようなことをした。
無理やり服を剥ぎ取り、乱暴に身体をベッドに押さえつけた。
そして耳、頬、唇そして胸元へ唇を滑らせ舌を這わせた。
女は弱々しく抵抗しつつも、その気になっているのが分かる。
喘ぎ声が聞こえる。
しだいに顔と身体の輪郭がハッキリしてきた。
唇を重ねようと女の顔に目をやった瞬間。
僕の意識は覚醒した。
そこは眠りの中ではなかった。
現実の僕のベッドだった。
そして女の顔は…
「杏?!」
僕は驚愕と戦慄を憶えた。
彼女に掛ける言葉が無い。
しかし何も言わないわけにもいかない。
「ごめん、本当にごめん。だけど一体僕は何をした?」
なにがどうなってこんなことになった?
意識が朦朧としていた時のことは思い出せない。
気がついたらこうなっていた。
「いつものように様子を見に来たのよ。そしたら眠っていたアナタが突然、凄い力で押し倒したのよ」
杏は涙ぐんでいた。
「なんてこった!」
僕はうろたえた。自責の念に駆られて。
いくら薬を飲んでいたとは言え、なんということをしでかしたのだ。
最も失いたくない女性を、ラリって襲ってしまうなんて。
最低だ。救いようが無い。
「済まない。ごめん。言う言葉が他に見当たらない。まさか最後まで?」
杏は黙って首を左右に振った。とても弱々しく。
「傷つけてしまったことは謝る。謝って済む問題ではないけど、とにかくごめん。訴えるならそれでもいい。それだけのことをしてしまった」
「もうここへ来ない方がいい。もう僕は獣になってしまった」
僕は彼女に服を渡した。ブラウスのボタンが二つちぎれていた。
彼女は淡いピンクのカーディガンでその部分を隠した。
僕はそれを見て、深く深く落ち込んだ。
杏は涙を拭って、化粧を直した後黙ったまま部屋を出ていった。
僕はそれを見送った後、抗鬱剤を3倍量飲んだ。
僕は最低だ。
最低の男だ。情けなくて僕はまた死んでしまいたくなった。
僕に出来ることといえば眠剤を過剰投与し深く眠って、この身体を動けなくすることだけだった。
もし読んでいただけたなら批評、批判、感想、採点などお寄せ下さい。必ず読みますのでお願いしますm(__)m