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これだから子供の頃の恋愛なんて

作者: 桐山じゃろ
掲載日:2026/03/19

 僕が住んでいたところが所謂ど田舎で、小学校に児童が僕を含めて七人しかいないのがかなりレアケースだと知ったのは、県外の高校に受かって寮生活をはじめた頃だった。

 テレビや漫画で見るような、児童や生徒のいっぱいいる学校は、かなり盛っていると思いこんでいたのだ。


 僕の名前は東原清志。他の六人はそれぞれミッコ、ヨースケ、トモコ、シンちゃん、トール、マイコと呼んでいたし、皆も僕のことをキヨと呼んでいた。


 仲が良かった、つもりだった。


 高校を卒業し、そのまま県外の大学へ進み、会社に就職して三年経った頃、久しぶりに実家へ帰省した。


 母に聞かされたのは、他の六人がそれぞれ結婚したという話だ。


 ヨースケはミッコと、シンちゃんはトモコと、トールはマイコと。

 僕は誰の式にも呼ばれていないし、それぞれが付き合っていたという話すら聞いていない。


 かといって、会いに行ってあれこれ問う気にもならなかった。

 僕は少々鬱になりつつも、帰省を終えて一人暮らしの家に戻った。




 帰省から半年くらい経った頃だっただろうか。

 初めは、ミッコからだった。

 彼らとはスマホの番号もSNSのアカウントも教えあっていない。

 連絡手段がこれしかないとはいえ、直筆の手紙を貰うなんて久しぶりだ。


 内容を要約すると、こうだ。


「本当はキヨが一番好きだった。だけど、ヨースケに話すと、『キヨだけはやめておけ』と、キヨの悪口を吹き込まれた。色々と相談に乗ってくれていたヨースケと付き合いはじめ、結婚した。でも、キヨに関する話は全部嘘だった。ヨースケとは先月別れた。今でも貴方が好き」


 ヨースケが何を思ってミッコに僕の悪口を吹き込んだのか。まぁ、ヨースケはミッコが好きだったんだろうな。

 だけど嘘は良くない。手紙には悪口の具体的な内容も書いてあったが、胸糞悪かったとだけ言っておく。


 僕はミッコについて、友人以上の感情は持っていない。

 今でも好きなんて言われても、こちらとしては今更だ。

 六人に裏切られたという気持ちは変わらない。


 ミッコの手紙に続いて、トモコとマイコからも、似たような手紙が送られてきた。

 それぞれ結婚した相手のシンちゃん、トールに、僕と付き合いたいと相談し、悪口を吹き込まれ、相談相手と付き合って結婚したが別れた。まだ僕が好き。判で押したように、同じような文面だった。悪口の内容だけ、微妙に差異があったが。

 僕は実家に連絡し、三組の現状について母に尋ねた。

 母は田舎の狭いネットワークを存分に活用し、情報を仕入れてくれた。


 女たちは全員実家に帰ってきているが、男たちは姿を見ていないそうだ。

 それと、僕の現住所を女たちに教えたのは、他でもない母だった。

 結婚式に呼べなかった詫びをしたいと言われて、教えたのだそうだ。

 僕は母に事の次第を話し、今後二度と僕の現住所を教えないこと、もし教えたら今度は親子の縁を切ると宣言した。


 今の会社を辞めるのは惜しかったが、住所を知られた以上、ここに住み続けたくない。

 急いで転職し、引っ越した。




 三年後。

 転職先で気の合う女性と知り合い、結婚した。

 式は挙げずに身内だけでお披露目会を開くに留めた。



 同級生たちのその後は、時折母から情報が入る。

 女達は少なくない回数、僕の実家に僕の行方を尋ねに来ているそうだ。

 母は僕との約束を守り、教えないようにしてくれている。


 友達だと思っていた男たちの話は、全く聞かなくなった。

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