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サラとリュート  作者: 水曜日のビタミン
第7章 大森林
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第184話 ドライアド、登場!

 


「災厄を蹴散らす、ですか……」


 フォルナエルは呆然とつぶやいた。

 エルフの長い歴史の中で、“災厄”とは抗うものではなく、避けるべきものとして語られてきた。


 高度な魔力文明を有する彼らですら、「逃れること」しか選べなかった相手に――この若者たちは、立ち向かおうとしている。

 しかもその言葉を発したのは、【神龍】を従えし者。

 老いた身体の奥底で、忘れかけていた熱がふつふつと蘇っていくのを、フォルナエルは確かに感じていた。


 そんな彼の前で、サラは一歩進み出る。

 その瞳は、曇りひとつない。


「――ああ。蹴散らしてやる。

 終焉を待つだけなんて、まっぴらだからな。……それに遺跡がいくつあろうと、世界中の民すべてを収容できるわけじゃない」


 真っ直ぐな言葉。ぶれることなく、どこまでも正面から迫ってくるその眼差しに、フォルナエルは瞼を閉じ、深く頷いた。


「……その覚悟、しかと受け取りました。ならば――ひとつ、お願いがございます」


「お願い?」


「はい。我らは終焉に備え、長年魔石を収集し、術式を築いてきました。しかしその大半を、〈フカイの王〉に奪われたのです。

 あの者が奪った魔石がなければ、この森は災厄に抗う術を持たぬまま滅びるでしょう。……どうか、お力添えを願えませんか?」


 サラがわずかに視線を動かす。その隣で、リュートが静かに一歩前へ出た。


「その前に……ひとつ、お聞きしてもよろしいでしょうか」


 リュートは胸元からひとつの結晶石を取り出す。淡い光が、鼓動のように脈打っていた。


「僕たちがこの《大森林》を訪れたのは、この精霊――〈フカイの王〉が生み出したとされる仲間を救うためです。

 ……この存在に、心当たりは?」


「……これは……」


 フォルナエルの瞳が見開かれる。皺だらけの顔に、驚愕の色が刻まれた。


「申し訳ありません。見覚えはありません……しかし、分からぬことこそ、あの者の“創造”である証でしょう。

 〈フカイの王〉――我らの伝承では、“関わってはならぬ者”としか記されておらぬ存在。家名なのか、不死なのか、魂だけの存在なのか……いずれも、定かではありません」


「……エルフではないのか?」


 サラの問いに、フォルナエルは静かに首を横に振った。


「いいえ。我らからすれば、あの者は外から来た異物。

 今回のように魔石を奪い、接触してきた例など、これまで一度としてありませんでした」


「そういえば……フェリアさんが“カトリーヌ”に化けていたけど、本物は?」


「おそらく〈フカイの王〉の元にいます。……魔石を奪ったのは、かつてこの森を捨てた本物のカトリーヌに違いありません」


「奪われた状況を、詳しく教えてもらえますか?」


 サラが身を乗り出すと、フォルナエルは静かに頷いた。


「……保管庫に異常反応があり、駆けつけたときには、カトリーヌが魔石を抱え、転移魔法陣に身を投じるところでした。

 転移封じの術式は仕込んでいたのですが、まったく効果を示さず……」


「完全に上を行かれているな……」


 サラの低い呟きに、フォルナエルが視線を伏せる。

 そして、ふと何かを思い出したように顔を上げた。


「……あるいは、森に住まう古き精霊――【ドライアド】様であれば、何かをご存じかもしれません」


 その言葉にサラとリュートは顔を見合わせ頷いた。



 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「着いたわよ」


 フェリアの軽やかな声とともに、視界の先にそれは姿を現した。


「どひゃーーおっきい切株だねぇ。あそこがドライアドさんのお家だよね?」


 セイラが目を見開いて声をあげる。眼前にそびえ立つのは、まるで山塊のような巨壁だった。真っ白な表面は滑らかで、自然物とは信じ難い威容を放っている。


「そうよ。あれが精霊が住まう聖域【ハーフドーム】……文字通り、ゆで卵を縦に割った形をしてるでしょ!」


「えー。あんなに大きいのボク食べられないよ」


 淡々と告げるフェリアの横で、セイラはあぐあぐと口を開けている。


 大森林の樹冠の上――苔と光に包まれた高所をさらに進んだ先、現れたのは圧倒的な存在感を誇る白い巨壁だった。それはもはや岩とも山ともつかぬ形状で、命を宿していたとは到底思えぬ無機質さすら感じさせる。


「……しかし、あれが本当に“樹”だったのか?」


 サラは額に手をかざし、白くそびえる巨大な壁を見上げた。

 

「ふふん! すごいでしょー? 大森林の守り神様のお家は!」


 自慢げに胸を張るフェリアの声が、やや場違いに響く。その横でリュートが視線を逸らし、静かに口を開いた。


「フォルナエルさんの話では、あれは古代樹の“化石”だそうですよ」


「……枯れる前は、いったいどれほど高かったんだ」


「案外、宇宙まで届いていたかもしれませんね」


「うちゅう……?」


 思わず聞き返したサラに、リュートは意気揚々と解説を始めようとする。


「ええと、雲よりもさらに上――高度百キロ以上の上空で観測される極光が……」


「――コホン。私には理解できそうにない」


 いつもの“斜め上”をいく講義に備えて、サラは咳払いひとつでやんわりと拒絶した。


「でもリュー兄、あんな高い壁どうやって登るの?」


 セイラのもっともな疑問に、リュートはちらりとサラを見やる。

 そして、どこか楽しげに言った。


「それは、もちろん――」


「……やれやれ。お前たち、かなり不敬なことをしようとしている自覚はあるのか?」



 ◇ ◇ ◇



「すごいですサラ! 本当に【神龍】を呼び出せるなんて……!」


「ボク、二回目! すごいでしょー!!」


「ちょっと待ってフェリちゃん、そんなに揺れたら落ちるからコワイッ!」


 神龍バハムートの背に乗って空を翔ける一行。リュートの目はまるで誕生日の朝を迎えた子どものように輝き、セイラのしっぽは嬉しげに風を切っていた。

 一方、フェリアは完全に現実を見失っている。蒼ざめた顔でリュートのローブにしがみつき、飛び去る雲の間に落ちそうな錯覚と格闘していた。

 目的地は――白い巨壁【ハーフドーム】の頂。そこに、森の守護精霊ドライアドが住まうという。


「バハムート様、突然のお呼び立てをお許しください。不敬の極みかとは存じますが……」


「よい。それより“様”はいらぬ。余を好きに使うがよい、サラ」


「……寛大なるご配慮、心より感謝申し上げます」


「むしろ礼は無用だ。余はお主とともにあると決めたのだ。とッ――そろそろ着くぞ」


 バハムートの言葉とともに、目前を覆っていた白い巨壁が風に消えるように揺らぎ、やがて視界が開ける。黒く深い空を背に、雪のように白い山頂が幻想的な輝きを放っていた。

 最初に舞い降りたのはセイラだった。風のように軽やかに跳躍し、白い地へと音もなく着地する。


「やっぱり、これだけ高いと冷えるね。みんな大丈夫?」


「ええ。服に魔術式を組み込んでありますから」


「……ほんと、あんた何者なのよ。エルフの魔術を軽々と超えないで……」


 次いで降り立ったリュートが、ふらつきかけたフェリアに手を差し伸べる。


「はい。どうぞ」


「……ありがと。……あんまり見ないで。は、恥ずかしいから」


 恥じらいの表情を浮かべながら、フェリアはおそるおそるリュートの手を握り返す。その反応にリュートは首を傾げながら、サラにも同じく手を差し出した。


「ん? 不要だ。少しばかり背が伸びたからといって、私を“か弱き者”扱いするな」


「……ですよね」


 手を繋ぎたいだけだったリュートの淡い下心は、あっさり切り捨てられた。


 その瞬間――


「ちょい、ちょい、ちょい君たちーーッ!!」


 甲高い声が空を裂いた。白く輝く山頂の向こうから、ひとりの少女が慌ただしく走り寄ってくる。


「そんな方法で来る人、いないからね!? ずべしッ!!」


 声を張り上げながら全力疾走していた少女は、足元の石に躓き、盛大にすっ転んだ。


「いたたたた……もう、血……じゃない。樹液漏れちゃった。最悪!」


 顔をしかめながら立ち上がったその少女は、胸を張ってこう名乗った。


「まぁいいわ!よく来たわね!褒めてあげる。

 アチシ、精霊のドライアド! よろしくネっ!」


「お嬢さん大丈夫?ふーふー」


 膝から赤い液体を流すドライアドにセイラが駆け寄り、息を吹きかける。


「しゃべる猫さん!?かわいいッ……きゃうっ、舐めないでぇ!」

「ごめんなさい。でも、ちょっと甘くて……」


 精霊の膝を舐めるセイラの様子に、サラが訝しげに近づいた。


「まてセイラ、何を……。ん? この匂いは……酒か!」


「だ、だめぇっ! お姉さんまで何するのよーっ!? くすぐったいぃ!」


「ちょっとあんたたち、どういう状況!? 美味しぃ――」


 フェリアも駆け寄るが、結果は同じ。

 精霊の膝に群がる奇妙な光景が展開されていた。


「……ちょっと、どいてください!」


 その混沌の中、リュートが毅然と歩み出た。


「リュー兄最低っ。女の子の体、勝手に触っちゃダメなんだからね!」

「そうだぞ。時と場合を考えてだな。ペロッ」

「ずるいー。フェリの番だったのに!」


 次々に投げられる非難と舌打ち。

 リュートは泣きそうになりながらも手を掲げた。


「――『治 癒(トラティミエント)』」


 緑色の光がドライアドの膝に広がり、傷がふわりと塞がる。


「……皆さん。何か、言うことは?」


 リュートの冷静な問いに、


「さすがリュー兄! すごい!」

「――コホン、これは……その、調査の一環で……」

「お兄さん今日もイケメンだね」


「ちょっと皆さんお酒臭いです。――離れて下さい」


 誰一人として謝らない中、ドライアドがぽつりと呟いた。


 満開の花のような笑顔を咲かせながら、両手を大きく広げて――


「かっこいいお兄さん、ありがと!

 アチシにできることなら、なんでも言って! 協力するわ!」


 身を乗り出すようにしてリュートを見つめるドライアド。

 その様子に、リュートの内に少しばかりの警戒心が湧く。


「協力していただけるのはありがたいですが、どうして僕を信じてくださるんですか?」


 あまりに都合が良すぎる展開に不安感が拭えない。

 だが――それは、次のドライアドの一言であっさりと吹き飛ばされた。


「だってお兄さん、アチシの怪我を直してくれたでしょ?

 精霊の傷を癒せるのは、精霊の祝福を受けた者だけ。そんな人が、悪い奴なわけないじゃん!」


 一点の曇りもない信頼に、リュートはかえって自分の疑念を恥じた。

 胸に手を当て、深く頭を下げる。


「……すみません、ドライアド様。不敬をお詫びします」

「いーよいーよ! 気にしないで!

 ほんで、アチシに何の用? 困ってるなら何でも言って〜!」


 その屈託のない笑顔に、リュートもようやく警戒心を解く。続いて、光を帯びた結晶核を取り出すと、


「実は……大切な仲間を診ていただきたくて」


 それを一目見るなり、ドライアドの顔がぱあっと明るくなった。


「ありゃ? モズちゃんじゃん。どしたの? こんな姿になっちゃって!」


「わかるのか?」


 サラからも驚きの声が漏れる。


「お嬢さん、すっご〜い。いっぱつで当てちゃった!」

「さすが……大森林の守り神様です」


 即答に、セイラとフェリアからも称賛が続く。


「でへへ。モズちゃんなら、生まれた時から知ってるもんね〜」


 萌黄色の髪をくしゃくしゃにしながら照れるドライアド。

 だが、リュートはその言葉を聞き逃さなかった。


「……“生まれた時から”というと、もしかして……ドライアド様は、『フカイの王』をご存じなんですか?」


「もっちろん知ってるよ。あの子は、この古代樹の奥深くで、難しい研究してるからね」



「「「「はぁッ!???」」」」



 一同の思考が、見事に停止した。

 精霊モズの創造主にして、魔族から憎悪を向けられ、世界の真実に触れる存在――《フカイの王》。

 その所在が、あまりにも軽やかに告げられたことに、誰もが耳を疑った。


「し、失礼ながらドライアド様……それは、本当なのですか?」


「様はいらな〜い! “アドちゃん”でいいよ♪

 フカイの王ちゃんなら、この山頂から地下へ続く《フカイの穴》の底にいるってば!」


 そう言って、ドライアド――アドは山頂の縁を指差す。


「随分な急展開ですね。どうします、サラ?」


「そうだな。まずは……アド、ひとつ教えてくれ。モズを元に戻すことは、アド……ちゃんにできるか?」


「ほえ? アチシには無理だよ。フカイの王ちゃんの術式、アチシにはちんぷんかんぷんだもん。

 あ、でもね? お花を咲かせたり、果物を出したりはできるよ。――ほらっ!」


 ドライアドがスカートの裾をつまんでくるりと一回転すると、足元に色とりどりの花が広がり、続いて一本の木が芽吹く。幾つもの果実がたわわに実り、芳醇な香りが広がる。


「さすが、ドライアド様。見事な【樹 海(セルバ)】です」


「そういえば、あの……お風呂場で植物を生み出していましたよね。あれは一体、どんな魔術なのですか? 八大系統には属さないようですが……」


 リュートの口にした“八大系統”とは、火、水、風、土、光、闇、時間、空間――この世界を構成する主要術式の分類である。

 とりわけ、闇・時間・空間の三系統はすでに失われ、扱える者はほとんどいない。

 古代魔術にも精通するリュートですら、エルフやドライアドの術式は未知の領域だった。


「ふふん。これはね、エルフの特技みたいなもので……お兄さんには、ちょっと難しいかも?

 すっごーく簡単に言うと、“植物が持つ生命エネルギー”を感じて、それを増幅してあげるだけ♪」


「生命エネルギー……マナとは別なのか? さっきの魔力の流れを参考にすると……【樹 海(セルバ)】!」


 小さく呟きながら、リュートは指先に集めたマーブル状の魔力を詠唱に乗せる。黄色い魔力がふわりと舞い、地に触れた瞬間――大地がドクンと拍動し、種が弾けるように光の粒が輝くと、小さなタンポポが咲いていた。


「リュー兄! すごい。ちょうだい! ボク綿毛ふーふーしたい!」

「おぉーっ! アチシも吹きたい~♪」

 

 セイラのしっぽが大きく揺れ、ドライアドのおなかをぺちぺちと叩いているが本人は気にすることなく、セイラに同調。


「ちょッ!なんで!? エルフの特技を秒で使いこなさないでよ、お兄さん!」


 フェリアが肩を怒らせながら、タンポポを指差して詰め寄った。

 

「……でも、この魔術は難しいですね。狙った植物を出すには、かなりの練度が必要そうです」


「――ってことは、練習すればできるってことよね! 

 お兄さんたちが“災厄”側じゃなくて、ほんっとに良かったよ」


 微笑みながら、フェリアはさらりと物騒なことを口にする。


「――コホン。リュートが“ああ”なのはいつものことだ。それよりも、まずはモズを元に戻すのが先決だな。……行こう、【フカイの穴】へ」


「うん! でもね、気をつけて。

 あの穴、すっごく――強烈だから!」


 にっこりと笑みを浮かべながら、ドライアドは“強烈”という言葉を、まるで挨拶のように口にしていた。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「――ここが、【フカイの穴】か……」

「そだよ♪ がんばってきてねー」


 切り立った山頂の縁から、わずかに崖を下った場所に、その“穴”はぽっかりと口を開けていた。

 岩肌を抉るように穿たれた穴。

 覗き込むも底は見えず、闇の奥からは、風とも呻きともつかぬ不気味な嘶きが響いている。

 吹き上がる風は凄まじく、鼻を突くような刺激臭を含んでいた。


「……サラ、この匂い、瘴気の可能性があります。念のため、防護を施しますね――【光 墨(ラズ・マジック)】」


 そう言って、リュートが杖をひと振りすると、空間に無数の光粒が浮かび上がった。

 それらは瞬く間に魔法陣の紋様を編み上げ、淡い膜のようにサラたちの衣服へと吸い込まれていく。


「……これは。口を覆うマスクも、背中の容器もないのか?」


 サラが不思議そうに全身を見下ろす。

 かつて使用した簡易防護装置とは異なり、これは視認すら難しい光のベールで全身を包む、まったく新しい術式だった。


「ええ。次元の狭間でユウさんが目覚めるまで、多少時間がありましたので……改良したんです」


 涼しい顔で言いながら、リュートは自作の魔法陣をつんと突いた。


「――コホン。まぁ……無事に帰って来てくれたことが、何よりだ」


 表情を崩さず言葉を継ぐサラだが、その胸中には、別の思念が去来していた。

 リュートの突飛な行動は、今に始まったことではない。

 だが、魔術式の根本から組み直し、新たな魔術を完成させるなど、並の魔術師には一生かかっても成し得ぬ偉業である。


(リュートの“授かりしギフテッド”としての力は、異世界を見通す【時空眼】だと思っていた。だが、今の在りようは――それだけでは説明がつかない。……私の“神羅万象”のように、代償などなければいいが)


 その疑念の只中――


「サラ姉、行っくよー!」


 間延びした声が、風に乗って届いた。

 気づけば、他の仲間たちはすでに先行し、サラだけが入口に取り残されていた。


「……まったく、前衛剣士を置いて進むとは」


 小さく吐き捨てると、剣の柄に手を添え、サラもその闇へと歩を進める。


「すべては【フカイの王】が知っているはず。なら今は、進むしかない」


「――お待ちくださいませ、お姉さん」


 背後からかかった声の主はドライアド。しかし、あの陽気な精霊のものとは違っている。

 花咲くように軽やかだった声音は、今や、静かに根を張る老樹のように深く、重い。


「……どうかしたのか?」


 問い返すサラに、ドライアドは一瞬だけ言葉を選ぶように沈黙し、そして口を開く。


「――フカイの王に会っても、決して心を乱すことなきよう。……どうか」


 深く頭を垂れた精霊の姿に、サラは眉をひそめざるを得ない。


「それは、どういう――」


 その問いに答えることなく、ドライアドは風のように、姿を消す。

 足元に残された一枚の枯葉が、かさりと音を立てていた。



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