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タケちゃんはお嬢様

タケちゃんは忍者編に続き、タケちゃんはお嬢様編をお送りします。楽しんで頂けたら幸いです。

私の祖母、タケちゃんは 老舗お茶問屋のお嬢様でした。離島には珍しく 博多の偉いお医者様宅に行儀見習いに行き、当時は金持ちの家でしか作らないであろう、コロッケ、ハンバーグ、カレーライスの作り方も学んでいました。また、目の手術なるものも受けており、当時のお金で数千円もかかったそうです。

目の手術の為、当時にしては 婚期が遅れたタケちゃんは、当時 朝鮮に進出していた身内の紹介で、帝国海軍に在籍していた祖父のトジちゃんとお見合いしました。28歳になっていたタケちゃんは、恥ずかしくて ずーっと のの字を畳に書いていたそうです。

トジちゃんは、なかなかのイケメンで、白い海軍の制服が似合っていたらしいです。

ところが、トジちゃんは、実はその頃 バツイチで

その事実をタケちゃんは知らなかったようです。トジちゃんは長崎に婿養子に行き、男の子が出来ないため離縁させられたようなのです。その事実を知った時はびっくりしました。なぜなら、トジちゃんは タケちゃんに頭が上がらず タケちゃんに叱られては耳を引っ張られる所ばかりを見せられたからなのです。第二次世界大戦後、タケちゃんは朝鮮から命からがら引き揚げて、実家がある この離島に帰り、その実家に身を寄せて、商売人の娘らしく、一銭商いをしながら戦後をしたたかに生き抜いたのです。男2人女2人の子供も立派に高校まで出しました。私から見ると、祖父は、祖母一筋だと思っていただけに祖父の実の娘が3人も祖母との婚姻前にいた事は、面白くありませんでした。しかし、人それぞれに色々な面があるのだと学ぶ事が出来、タケちゃんの強さ、したたかさには 改めて感心しました。

さて、トジちゃんは、79歳で天に召されたのですが、彼を看取ったのは、タケちゃんの親友で 祖父の晩年ずっと看護と介護に来てくれていたウメちゃんでした。彼女は、戦時中 軍の看護師として働いていた腕利きの頼りになる人でした。かなーり アバウトな看護でしたが。

もう臨終が近いという日、大阪の叔母が帰って来て

トジちゃん、タケちゃん、私が住まう隠居に泊まり

スーツケースからおもむろに何か取り出し、祖父の寝ている足もとの壁に掛けました。

それは、喪服でした。「かけてないと シワになるしなー」「まだ 死んでなかろーもん!」タケちゃんの娘、さすがですなー。

ところで、トジちゃんのお葬式後、看取ってくれたウメちゃんは、本当に看護師だったのか疑惑が浮上。タケちゃんは、「私と一緒に兵隊さんの手当をしよったよー」どうも 看護学校を出たのでは無いようです。

タケちゃんも もちろん 行ってません。

怪しい、あやしすぎるぞ、ウメちゃん。

お読み頂き、ありがとうございました。タケちゃんの親友、ウメちゃんも登場します。今頃、天国でお喋りしている事でしょう。次は、タケちゃんのお店編でお会いしましょう。

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