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【WEB版】底辺探索者は最強ブラックスライムで配信がバズりました! ~ガチャスキルで当てたのは怠惰な人気者~  作者: 御峰。


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第68話 完治

 エリクシールを全て使うと、瓶が光の粒子となり消えた。


 奈々が記念に取っておきたそうにしていたのに、少し残念だ。


 ダンジョン病だった百人は、奈々同様に体が健康そのもので、すぐに家族に会いに行った。


 遠くながら彼らを見守り、幸せそうな表情に俺達も嬉しくなった。




「エムくん。この度は、本当にありがとう」


「いいえ。俺ができることをしただけです。それに――――」


 俺は隣に立つ妹の頭に優しく手を上げた。


「妹と同じ病気だった人達を救うことができて本当に嬉しいです」


「そう言ってもらえるとこちらも助かる。それにしても、本当に報酬はいらないのか?」


「ええ。俺がもらうはずだった報酬は、全て病気に苦しんでいる方々に使ってください」


「分かった。必ず正しいことに使うと約束しよう」


 現状に不満はない。


 今住んでいる家も美保さんからは、ぜひこのまま住み続けてほしいと頼まれている。大人数で賑やかな生活がとても気に入ってるという。


 ガチャ産食材も美味しいと非常に気に言ってくれた。


「あ、浅田さん。一つ頼みがあるんですが」


「うむ?」


 俺はガチャ袋からお酒を取り出した。


 日本酒、ワイン、ウイスキー、ブランデー、テキーラ、ウォッカ、ジン、ラム。


 八種類の酒が並ぶ。


 実は最近のRからは殆ど酒がお肉ばかり出る。安眠枕が出てほしいところだが、どうやら酒は当たり(・・・)のようだ。


「ふむ。以前配信でお酒を引いていたのだが、これが?」


「そうです。どれも銘柄とかないので、売ることもできず、プレゼントするのもできなくて」


「味はいいのか?」


「それが、僕達まだ二十歳になってなくて飲めないんです。それに飲めたとしても味が分からないと思うので…………他の肉からして、普通よりは美味しいと思いますので、今回彼らを集めてくださった浅田さんにぜひと」


「貰っていいのか!?」


「はい。持っていても貯まるばかりですので」


「ありがとう。ぜひ頂くとしよう」


「もしよかったら感想を聞かせていただけると助かります」


「うむ。ぜひともそうさせてもらう。ちなみに、あとどれくらいあるのだ?」


「ん~あと十セットくらいはありますね」


 最近は百連ガチャのおかげでRもかなり引けるようになったし、その半数がお酒なのでどんどん貯まっている。


「それならもうワンセットもらえないだろうか?」


「いいですよ?」


 とりあえず、もうワンセット取り出した。


「これは永田くんに」


「私でございますか?」


 浅田さんの後ろに立つイケメン秘書さんだ。


 驚いて目を大きく見開いていた。


「エムくんを教えてくれたのが永田くんだからのぉ。こんな美味しそうな酒をわし一人もらったのではな」


「そうだったんですね。ぜひ永田さんももらってください。それに永田さんからも感想をいただけると嬉しいです」


「かしこまりました。こちらはありがたく頂きます」


 二人とも嬉しそうな笑みを浮かべてお酒をもらってくれた。


 実はこれもシホヒメの作戦である。


 作戦という程じゃないけど、生活費を心配していた俺に、お酒を総理大臣に味見してもらい、大体の値段を把握しておけば、いざという時に役に立つかもと提案してくれたのだ。


 チラ見した天使のように光り輝いているシホヒメは、口角が吊り上がって怪しく笑っていた。


 それからダンジョン病から回復したみなさんが待っている会場に向かった。




 ◆




「みなさ~ん。ご快復(かいふく)おめでとうございま~す~! シホヒメで~す☆」


 ダンジョン病だった皆さんがシホヒメに注目する。


「エムくんの代わりに私から皆さんに注意事項を伝えさせていただきます~!」


 会場に拍手の音が響く。


「みなさんはエムくんのエリクシールのおかげで快復したんです。それはつまり、みなさんにはこの先、エムくんに絶対の忠誠を誓う必要が――――」


「待てーっ!」


 自分でも驚くほど速くハリセンを取り出してシホヒメの頭に叩き込んだ。


「え、エムくん……? どうして……?」


「どうしてじゃねぇええええ! 忠誠なんて誓わなくていいから!」


「そ、そんな……みなさんを……見捨てるの?」


「違うわ! みなさんはこれから自由なんだよ! ごほん。みなさん。ダンジョン病の十年間は同じダンジョン病だった妹から詳しく聞いております。十年間の暗闇の中、ずっと寂しい思いをしていたと思います。その十年間の想いをこれから取り戻してください。きっとみなさんの先に楽しい未来があると思います」


「「「「エム様! ありがとうございました!!」」」」


 え、エム様!?


 美保さんみたいな……? いや、それよりももっと深い何かを感じる。


「あ、あはは……十年前にはなかったダンジョンというのもできているので、みなさんの中にある強い(・・)才能を存分に発揮して、人生を楽しんでください。けれど、約束だけは必ず守ってください。得た力で弱者を踏みにじったり、誰かを陥れたり、騙したり、貶したりしないでください」


「「「「はいっ! エム様!」」」」




 こうして妹を助けるためにガチャを引き続けて、仲間と共に試練を乗り越えて手に入れたガチャチケットで手に入れた【エリクシール】で、大勢を救うことができた。


 マスコミは全て浅田さんの力とリンの力(物理)でねじ伏せることで、新聞やニュースにはダンジョン病患者の快復という言葉は一文字も現れなかった。


 ――――だがしかし。


 この一件で俺達に一つ憂いが生まれた。


 エリクシールを盗もうとした連中がいること。


 彼らについては浅田さんが中心となり行方を追い続けている。




「エムくん!」


「ん? どうした? シホヒメ」


「みんな凄く嬉しそうだったね~」


「そうだな。これもリンとシホヒメのおかげだな」


「えっ? 私?」


「シホヒメがパーティーメンバーになってくれたから、ガチャも多く引けるようになったし、リスナーも増えたからね」


「えへへ~でもリスナーさんはリン様のおかげじゃないの?」


「まあ、一番の立役者はリンで間違いないんだけど、シホヒメも大事な仲間だからね」


「ふふっ。エムくん! これからもよろしくね~私、エムくんのあれ(・・)がないと生きていけないから!」


「お、おい! くっつくなよ! しかもまた紛らわしい言い方すんな!」


「えへへっ~」


「褒めてねぇ!」




 そんなエム氏とシホヒメを悔しそうに後ろから睨んでいる綾瀬だった。

当作品が面白いと思った方はぜひブクマと★5つ入れてくださると嬉しいです~!

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