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エロも育成も冒険も!拾ったゲームで異世界転生!  作者: えび天コロモ
第1章 はじまりの街と最初の仲間
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閑話 とある天然メイドグラップラー


 私はシリカ、ダメダメな侍女です。昔から腕力には自身がありました。同い年の男の子たちにも、年上の男の子たちにも、腕相撲で負けたことありません。祖父に武術を習っていたせいかもしれません。


 そんな自慢の腕力ですが、気を抜くと強い力を込めすぎてしまいます。せっかく貴族様の侍女になったのに、この腕力と気の抜けた性格のせいでミスばかりの毎日です。他の侍女さんたちは優しい人ばかりで、私のフォローだけでなく、私の代わりにミスを肩代わりしてくれる人もいました。


 そんな優しい周りの人たちのお陰で、なんとかやってこられたのですが、貴族様から出張の専属侍女として指名でされたのです。私の使える貴族様はとても優しく使えやすいお方です。しかし、最近になって私の胸が急成長し始めた頃から、貴族様の視線がよく私の胸で止まっています。指名された時も私の胸を見ていた気がします。出張大丈夫でしょうか、不安ですね。


 いざ、出張が始まりました。私は専属侍女として、貴族様と一緒に馬車に乗り込みます。貴族様は決して手は出しませんが、馬車で揺れる私の胸を見ていました。なにか御馳走の食べ時を見計らっているような目で、どこか居心地が悪く感じていました。そんな事もあり、私は出張中もミスを連発します。ですが、貴族様は笑って許してます。ですがそれすら私には嵐の前の静けさにしか思えません。


 そしてついにこの日がやってきました。出張の中間地点の街に宿泊中、私は貴族様のお着替えを手伝います。いつもは手伝いに苦戦し、揺れる胸を眺めるだけであった貴族様は、この日私の胸を唐突に揉みしだきました。男性経験のない私は思わず、シャツの襟ボタンを止めていた手で、思いっきり貴族様の首を締めていました。貴族様は声にならない悲痛の叫び声を上げると、すぐに待機していた護衛が駆け付け私を取り押さえました。


「女のくせになんという力で締めやがる。全く、胸が大きいから雇ってやっているのに役立たずが。こんな能無しなど必要ない。不快だ、此奴を放り出せ。」


 そう言う貴族様の首には痣が出来ていました。どうやらかなり強い力で締めてしまったようです。本当ならその場で殺されても仕方ないのに、すこしいやらしいけど優しい貴族様です。


 そんな訳で私は、侍女姿のまま放り出され、無職になりました。侍女としての稼ぎは実家に渡していたので、ステータスウィンドウには少ない額しか残っていません。何か仕事をしなければなりません。


 私は先程貴族様の首を締めてしまったこの腕力を思い出して、冒険者ギルドへと向かいました。登録料でお金は取られましたが、これで仕事ができます。


 この日から私は冒険者ギルドで、この腕力を活かせるような荷物運び系の雑用依頼をやっていきます。ですが実入りは少なく、宿代や食事代で消えていきます。やはり、討伐依頼のような危険な依頼でないと、稼げないのでしょう。如何に貴族様の侍女が稼げていたか実感します。貴族様が胸が大きいから雇っていたと言っていました。胸が大きいだけであんなにお金をくださっていた貴族様はやはり優しいのでしょう。


 討伐依頼は危険です。ただの力自慢な侍女では、簡単にやられてしまうのでは無いかと思ってしまいます。やはりここはどこかのパーティーに入れて貰いましょう。そう思い募集掲示板の所に行くと、黒ローブを着た黒髪の男性が募集掲示板を眺めていました。そう言えば、仲良くなった受付嬢が先程、上級の魔法職が冒険者登録に来た話を聞かせてくれました。見た目はその話の人物と一致します。


 という事はFランク冒険者で新人、私と一緒です。募集掲示板を見ているという事は、どこかのパーティーに入るのでしょうか。上級職なら引く手数多でしょうし、私なんかとは比べられない。ましてや一緒にパーティーなど組めないでしょう。


 そんな事を思っていると突然、全身に稲妻が走った。私じゃない何か、神のような、精霊のような、何かによって意志、身体、全てが刺激され矯正されるような感覚。気付いたら私はそのローブの男性に声を掛けていました。


「パーティーメンバーをお探しなら、私とパーティーを組んだください!」


 なんと、私はローブの男性、ツクモさんとパーティーを組むことになりました。正面から見たツクモさんは、珍しい顔立ちをされています。ローブも高級そうで、如何にも上級魔法職に相応しいものでした。


 ツクモさんといろいろ喋りました。ですが、ツクモさんは余り喋らないし、表情も豊かとはいえない、そして全体的に暗い雰囲気がある。ミステリアスで魅力的ではあるけれど、掴みどころがなく何を考えているのかわからない。


 そんな状態で依頼のゴブリンの居る森に到着した。ゴブリンはすぐに見つかった、ゴブリンは子供ぐらい小さく、簡単に倒せると格闘家(グラップラー)としての感なのかわかった。ここは、上級魔法職であるツクモさんに良いところを見せて、信用してもらはなければ。そう思い私はゴブリン目掛け走り出した。勢いのままゴブリンを殴ると、簡単に吹き飛んで木に当たり消滅した。


 今まで日の目を浴びなかった腕力によって倒したからなのか、単純に戦闘による興奮なのか、私は少し高揚した気持ちで、振り返った。ツクモさんは褒めてくださいました。私は今までミスして慰められてばかりだったので、褒められるのは嬉しくて少し照れくさかった。


 その後もゴブリンを狩って行きます。上級魔法職と聞いていたツクモさん、確かに魔法は凄かったのですが、無闇矢鱈に使えないらしく、今は杖を振り回してゴブリン相手に苦戦されています。私は目の前のゴブリンを倒すと、ツクモさんに襲いかかるゴブリンを倒しに行きます。


 なんとツクモさんから「ありがとう」と感謝されました。侍女としてはダメダメでしたが、冒険者といしては中々筋が良いのでは?と調子に乗ってしまうほど、上級魔法職のツクモさんより、私のほうが活躍しています。


 数えていませんが、ゴブリンを20体は倒したでしょうか。そんな時、木の陰からゆらりと現れた存在に思わず声をあげてしまします。あれはゴブリンソルジャー、ゴブリンキングが現れると出現する魔物です。かなり強いと聞いたことがあります。CランクやDランクの冒険者が戦う相手と聞いたことがあります。


 絶対に勝てません。どうにかして逃げないと、そうだツクモさんも居るのでした。ここはツクモさんが逃げれるように、私が時間を稼がなくては。私はゴブリンソルジャーに戦いを挑みます。案外ゴブリンソルジャーと打ち合えています。ですが攻撃側には回れません。まずは防御と回避に専念しなければ、目的は倒すことではなく逃げることなのです。一太刀でも喰らえば、ずるずると敗北へと足を絡め取られるでしょう。


 そろそろ、ツクモさんは逃げられたでしょうか。私はどうやってこの戦闘から離脱すればよいのでしょう。戦闘経験が少なくて全くわからないし、何も思いつかない。そんな事を考えていると、後ろから熱気が届く。何事かとチラリと視線を向けると、ツクモさんが火魔法を使っていました。それも先程のゴブリンに使っていた火魔法とは比べられないものでした。


「シリカ!避けろ!!」


 ツクモさんの声に私は力を込めて、ジャンプしました。その真下を蛇のような炎の渦が通過していき、ゴブリンソルジャーに襲いかかりました。ツクモさんの火魔法は瞬く間に、ゴブリンソルジャーを倒してしまいました。


 なるほどツクモさん、私が活躍できるようにゴブリンのときは手を抜いていたのですね。それを知らずに、私は調子に乗ってしまいました。


 その事を、森を抜けた平原まで移動したところで聞いてみました。するとどうやら手を抜いていたわけではないらしいです。レベルアップなる奇跡によって急激に強くなったようです。実際に目の前で私のステータスを、レベルアップなる奇跡で成長させました。


 そんな神の御業に思わず、ツクモさんの正体を聞いてしまいます。するとツクモさんはためらいがちに明かしてくださいました、自身が勇者であることを。


 勇者とは神話において、最も神に愛され超常の力によって、魔物を一掃し魔王を穿ち、人類に栄光と勝利を与える者の称号です。確かにレベルアップなる奇跡も、神に愛される勇者という事でしか説明できません。今思い出せば、募集掲示板の前で出会ったあの瞬間に全身に走った稲妻は、神の勇者にすべてを捧げ仕えろ、というお告げであったのでしょう。今ならそう確信できます。


 その後、街までの帰路と解散するまでの間、私は捧げるべきものを考えていました。そして、優しかった貴族様の言葉を思い出します。貴族様は私を勇者の元へ導く神の使徒だったのでしょう。その使徒様が仰った言葉の中にヒントがあります。そう、この大きくて邪魔な胸は勇者様に捧げる為に実った神聖な果実なのでしょう。


自作品のタイトル略称を考えるのって、楽しいですよね。

この作品なら「ももも」とか「ももも転生」とか「拾転(ひろてん)」なのかな、なんて考えたりしてモチベ上げてます。

エタらないように頑張ります。

一応現在13話まで書けていますので、書きため分があるうちは、なるべく1日おきに投稿しようと思います。

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