03話 最初の仲間
街の散策に出かけて、武器屋、防具屋、道具屋、宿屋に訪れることでそれぞれのメインクエストをクリアすることが出来た。
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ゴールド:5,000G
木の杖 木の盾 回復ポーション(5個)
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クエストクリアによって結構な報酬がもらえた。因みに武器やアイテムは、アイテムボックスに入っている。荷物がかさ張らないし、ナイスすぎるアイテムボックス。ゲームだと当たり前の機能だけど、リアルにあると便利すぎて怠け者になりそう。
メインクエストによって、今夜の寝床を宿屋で確保することが出来た。これで一安心だね。因みに宿は値段設定が3段階あって1人部屋1泊、1,000G、4,000G、10,000Gがあった。1,000Gのところは壁もベニヤ板のように薄く中もかなり狭い部屋でベッドだけだった。流石にここに泊まるのは無理。4,000Gのところは普通ぐらいの広さのまともな部屋だった。4,000Gのところに泊まろうかなと思ったのだが、10,000Gのところが凄かった。冒険者ギルドにもあった、魔導晶石を使って作られたクーラーやシャワーが付いた部屋なのだ。10,000Gは高いがクーラーやシャワーの誘惑に思わず、その部屋を取ってしまった。
今日、明日と色々やってみてお金が稼げなさそうだったら、4,000Gのところに変えようと思っている。だが、プレイヤーである僕はどうやらクエストをクリアするとお金がもらえるのだ。そこに加えて冒険者ギルドの依頼の仕事や、いるかわからないが魔物?モンスター?とかのドロップ品とかを売るなどで、どうにか日毎1万ゴールド稼げないかな?やっぱり現代日本育ちな僕にとっては、クーラーやシャワーは必須設備すぎる。
そんなこんなでお金を稼ぐため、街の散策を終えて冒険者ギルドへと戻ってきていた。冒険者ギルドは正面が受付で右側に依頼掲示板、左側に募集掲示板があるらしい。まずは依頼掲示板に行ってみる。ランク毎に掲示板が分けられており、Fランクの掲示板を見てみる。街中でのお手伝い、所謂雑用的な依頼と、安全なエリアでの薬草などの採集依頼が多くを占めている。
唯一ある討伐依頼はゴブリンだ。説明欄には、「剣と盾など十分な装備があれば、1対1ではまず負けることはない。装備を整えて、集団との戦闘を避けて戦おう。」と書かれている。十分な装備か、僕は魔法職なんだよなぁ。装備ってなんだろう、そう言えば武器屋に行くクエストの報酬で“木の杖”を貰ってたな。やっぱり魔法職には杖が必要なのかな。
そう思いアイテムボックスから“木の杖”を取り出した。うん、ただの木でできた杖だ。振り回しやすそうだなぁ、としか感じないな。とりあえずゲームのイメージだと杖を少し掲げて、祈る感じかな。そうしてみると、あら不思議だ。頭の中に、火と土の魔法のイメージが浮かび上がる。このままやれば魔法が使えそうだ、だが冒険者ギルドの中でぶっぱするのは不味い、慌てて魔法のイメージを霧散させる。危ない、危ない。
続いて、反対側にある募集掲示板を見に行く。こちらはギルド職員が管理していないのか、何の規則性もなく、パーティーメンバーの勧誘や個人の売り込み、依頼の為の臨時パーティーの募集など、ランクも目的もバラバラに張り出されている。掲示板の隅っこには、飲み仲間の募集まであるぞ。そんな感じで募集掲示板を眺めていると、ウィンドウが出る。
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《勧誘ガチャ》
勧誘チケットを使用し、勧誘ガチャを回すことができる
ノーマル勧誘ガチャ(勧誘チケット:要1枚)
プレミアム勧誘ガチャ(勧誘チケット:要5枚)
ノーマル勧誘ガチャ排出率
☆1…35% ☆2…30% ☆3…20%
☆4…10% ☆5…4% ☆6…1%
プレミアム勧誘ガチャ排出率
☆5…35% ☆6…30% ☆7…20%
☆8…10% ☆9…4% ☆10…1%
※初回に限り、どちらか一方を無料で回すことが可能
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勧誘ガチャだと!?RPGゲームだと思っていたから、ストーリー進行の流れで仲間が加わると思っていたのだが、まさかのソシャゲだったのか!しかも初回だから今から1回まわせるぞ。ということはいきなり仲間が増えるのか、若干人見知りの僕ドキドキだよ。どちらか一方しか回せない、当然プレミアムの方だよな。
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《勧誘セレクト》
○性別
男 女
○年代
弱冠(20前後) 壮年(30前後) 初老(40~)
※年齢に比例して初期Lvも高い傾向にあります。
○種族
人間
※ギルドの所在地によって種族の候補は変化します。
○役割
タンク アタッカー サポーター ヒーラー
○重視ステータス
HP MP STR VIT DEX AGI INT MND
※重視するステータスを2つまで選択できます。
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プレミアム勧誘ガチャを選ぶとなんか出た。勧誘セレクト、どうやらガチャで出るキャラの希望条件を指定できるっぽい。たしかにRPGにおいて、パーティーメンバー全員戦士職とか魔法職とか、詰みだもんな。
早速選んでいこう。性別と年代か、やっぱ最初は男の方が良いかな?女の人と上手く喋れるか分からないし…。いや、何チキンになってるんだ。この世界を満喫するだろう。ここは女でいこう、年代も20前後だ。
次に種族だが、人間しかない。注意書きでは、ギルドの所在地によって種族の候補は変化するらしい。たしかに街を散策した時に、居るはずのエルフやドワーフなんかを見かけなかった。もしかしたら、ここはゲームで言うところのはじまりの街だし、もっとストーリーが進んで違う街に行けば、他の種族も選択できる様になるのかもしれないな。
続いて役割と重視ステータスか。ここの指定で恐らくはクラスや潜在力が決定すると思う。さて、何を選ぶか。まぁ、僕が後衛の魔法アタッカーなのでほぼ決まっているようなものだな。前衛職であることは確定、タンクかアタッカー(物理)になるのだが、ここで注意すべきは僕が魔法アタッカーであること。魔法アタッカーは高火力で物語の中盤終盤ともに必須ロールとなり得るが、MPの枯渇しがちな序盤に置いてはお荷物になりがちである。
つまりここでタンクなんかを選べば、僕のMP分しか戦闘ができず、経験値効率も物語の進みも遅くなる。ここでの最適解は前衛の物理アタッカー、それも純粋な物理アタッカーではなく、タンクもややこなせるバランスタイプの物理アタッカーが必要なのだ。
そのため必要な選択は、役割をアタッカー、重視ステータスをSTR・VITだ。うーむ、我ながら素晴らしいセレクトだ。こういうのを考えながらプレイするから、RPGは面白いんだ。
さぁ、早速ガチャを回させてくれ。ウィンドウが切り替わりガチャの演出が流れる、そして出てきたのは“☆8”の文字。☆8は結構良いやつなのでは?と思っていると後ろから声がかかる。
「あの!すみません、パーティーメンバーを探してますか?」
振り向くとそこには、メイド服の女性が立っていた。
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シリカ (☆8/女/18歳)
種族:人間 クラス:格闘家
HP :8 MP :3
STR:10 VIT:9
DEX:7 AGI:6
INT:3 MND:6
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ウィンドウが表示される。潜在力も要望通りだ。つまり目の前のメイドさんが新たな仲間になるってことか。というかなんでメイド服なの?
「パーティーメンバーをお探しなら、私とパーティーを組んだください!」
うん、うん。メイド服を来たシリカさんとやら、まずは話を聞こうではないか。幸い冒険者ギルド内にはたくさんのテーブルと椅子が用意されている。まずは座ろう。
そんな訳で座ってじっくり話を聞きました。シリカさんはとある貴族の侍女の1人であったそう。侍女になったもののよく物を壊しては怒られていたそうだ。
まぁそりゃ潜在力のSTRがMAXの10ですからな。馬鹿力過ぎて、気を抜くと大体の物、特に貴族とかが持ってそうな壺とかは、簡単に壊れるだろう。特に目の前のシリカさんは見るからに天然ぽいし、貴族の屋敷でそれはそれは壊して回っていたのだろう。
そんなシリカさんは同じ侍女たちにフォローされながら、なんとかクビにされずに上手く過ごしてきたそうなのだが、この度貴族の出張に着いていき身の回りの世話をする役目を指名されたそう。結果、緊張し空回りした結果何度もミスを繰り返すことに。貴族の方もある程度は見逃してくれていたようだが、この街に宿泊中での着替えをお手伝いした際に、何がどうなったのか分からないのだが貴族の首を締め上げてしまったそうだ。
その結果、クビになり追い出されてしまったようだ。新たな働き口として、手持ちの少ない金を使って冒険者登録したようだ。
「実は私の祖父が冒険者で打撃者だったんです。私も子供の頃祖父に武術を習っており、下級職ですが格闘家のクラスに就いているんですよ。」
と言うことらしい。ステータスも見せてくれた。
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シリカ Lv.1
種族:人間 クラス:格闘家
HP :38 MP :18
STR:46 VIT:42
DEX:34 AGI:30
INT:18 MND:30
所持金:320G
称号:Fランク冒険者
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シリカさん、そのステでなんでメイドやってたんですか。まじで。
「あれ?名前の横のなんだろう?」
あー、どうやら主人公であるプレイヤーの仲間になると、レベルの概念が追加されるようになるみたいだね。これからレベリング頑張ろうね、最初の仲間シリカさん。
ガチャの排出レアリティは実際に乱数生成を使って、ランダムに決定しています。