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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

再び会う目まで

作者: きょん

はじめまして、きょんです。

初めての執筆なので自分の文才には自信はありませんが少しでも楽しんでもらえるように短編ながらも楽しんでもらえるように努力はしたと思うのでどうぞごゆっくりください。

昔から自分の「目」が苦手だった。


物心が付く前から俺は普通の人が見えないモノが見えていた。

それは勿論、幽霊みたいなものが見える、というわけでもなく人についているオーラみたいなのが見えていた。


このオーラは様々な色や形に変わる。

例えば気分がいい時にはオーラも楽しそうに見える。

同じように悲しい時には悲しく見え、怒っている時には荒々しく見える。

そんな風に俺には人の感情などが見えていた。


だから俺は両親に聞いたことがある。

「みんなの周りにあるのはなんなのか?」と。


初めは何のことを言っているかわからなかった両親だが俺が話す内容を聞いていくうちに俺のこのオーラが見える目に驚いた。

そして両親は話し合ったのちに俺に「そのオーラはあまり人に言っちゃいけない」と言われ俺は幼いながらもこの約束は破ったことはなかった。

今話をしている両親のオーラを見なくても心配しているのだとわかったからだ。


それから俺は幼稚園で過ごしていく中で喧嘩している二人を見えてはその間に入って仲裁などしていた。オーラの事は両親には言わないと約束していたしでも俺にはこの二人共が後悔しているようなオーラが見えているからだ。だからこそ二人に話し合いで解決させたりしたこともあった。


他にも中々静かにならない俺たちに先生が段々と怒りを貯めていく怒ったオーラを見れば「あ、これヤバい奴だ」と感じ取り怒られないように先生の言うことを聞いたりして怒られるのを回避したりなどしたこともあった。


まあこの頃はまだこの目を使ってみる景色が楽しかった。なんせ人以外にも動物たちからもオーラを感じたりすることが出来たりして非常に楽しかったんだ。

家にいる猫なんかは母さんの事はエサなどくれて世話もしてくれて良く思っているが父さんにはあまり関心がないようなオーラだったのは正直面白かった。



あの日までは。



ばあちゃんが倒れたと連絡がきて両親とともに病院に見舞いに行った時だ。

ばあちゃんは心臓が年を取るにつれ弱くなっていき前よりは激しい運動などは控えていた。そんな生活を送っていた時に倒れたから親戚一同は大慌てだった。


病院につくとそこには、ばあちゃんの元気な姿があった。

そう元気な姿はあった。俺にはばあちゃんの周りにあるオーラからは嬉しい感情が出ているのがわかるがそれよりも大きくばあちゃんを覆いつくす程の黒いオーラが見えた。

ただ暗いのではなく粘りっけがあり見ているだけなのに気持ち悪さを感じるオーラだ。


結局俺はばあちゃんについている黒いオーラが一体何なのか?という考えにあまり会話についていけなかった。そして帰り道の車の中で俺は楽しそうに話す両親にさっき見ていたばあちゃんについている黒いオーラについて話をすることにした。


「ばあちゃん、元気そうでよかったわね」


「あぁ、そうだな。あんだけ元気なら無事退院できるだろう、良かったよ」


「あのさ二人共」


「○○、どうした?」


正直こんな空気でいうことをいうのは嫌だけど言っておきたい。


「○○?」


「あのねさっき会ったばあちゃんの周りにさ、黒いオーラがあったんだ」


「黒いオーラ? それってちょっと嫌な感じだね」


「不吉だなー」


「あれ多分、ばあちゃんが死んじゃうんだ」


車が道路を通る音が車内に大きく響く。そうれはそうだろう、死ぬって言われてるんだから。

そのまま俺は続けた。


「病室の時にあったばあちゃん、確かに元気ではあったんだけどあれは間違いなく嫌なオーラだったんだ。別に死んじゃうなんてわからないけれど多分……」


そして会話が終わった。

誰も喋らない空気を父さんは変えようとしてくれた。


「そうか、でもまだどうなるかわからないだろ?こっからばあちゃん、びっくりするくらい元気になったりしてな!」


「そうよ、きっと大丈夫よ」


そういい母さんは俺の頭を撫でてくれた。

あれはきっと体調が悪いのが長引いていただけだと思ったがやはりアレは、良くないモノだったのだど数日後に分かった。



「今回はまずかったのね」


そう喋る大人がいる。

ここはばあちゃんの葬式だ。結局あのままばあちゃんは元気になることはなく次第に体力がなくなっていき亡くなったのだ。葬式でみた、ばあちゃんの顔は何の感情もなかった。

俺は葬式で亡くなったばあちゃんを見て「やっぱりアレは良くなかったんだ」と認識した。

結局葬式は無事に進行し終わったがこの式の間、ずっとこの目について俺は考えていた。


葬式が終わってからは蓋が外れたのかと思うくらい黒いオーラも見えるようになった。

街中で何人か黒いオーラを持っている人がいるのだ。勿論それはあの時のばあちゃんほどではなく薄く纏っていたりして多分、こういう人は心に何か抱えていたりしているんだろう。

そして一人スーツ姿の男がかなり大きな黒いオーラを纏っていた。


その人に俺は話しかける事は出来なかった。

なんて言えばいいかわからないし知らない子供の注意なんて聞いてはくれないだろう。だから俺は少しの間だけその男を追いかけた。

その男は交差点で一人信号待ちをしていた。そして携帯でもなったのか服の内側を触り始め電話を取り出し会話を始めた。


そして弾き殺された。


俺も気づかなったが横からトラックが突っ込んできたようだった。

正直何が原因かはまだこの時わかったいなかったから俺にはただその人の行方を見ていることしか出来なかったけどまさか車に轢かれるなんて。

周りにも何人かいたようですぐに警察に電話しているようだった。

そんな現場の様子を確認すると俺は急いで家に帰った。


家に帰り自分の部屋のベッドに倒れた。

あの男とはかなりの距離があったからグロい所は見えなかったが俺にはあの事件を防げたかもしれないと思うと気分が晴れなかった。

結局その日はそのまま寝落ちしてしまったが、翌日起きた俺はちゃんと扱えるようにしようと決心した。


その日から俺はオーラが見えなくなるように努力した。しかし俺の目は強力で鍛えていけば鍛えるのにましてオーラの見える力も増しいていくようだった。

ここまで来たらこの見える目を鍛えに鍛えて使いこなし、オーラが成長するよりも早くものにして完璧に使いこなしてやると思った。

トレーニングを重ねていった俺は中学に上がる頃には可能な限りまで操作することができるようになり意識してみないようにしない限り見えないようにするまでなったが、突然の出来事やびっくりするようなことがあれば少し見えてしまうのは正直仕方ないと思う。


それに今まで自分がこの目に頼って生きていたが案外使えなくても普通に生活できることが分かった。

相手の気持ちがわかるからそれに応じた対応をとっていたが今は自分の考えも発信するような人に成長することが出来たから結果的には目のトレーニングは良かったのかもしれない。





俺は高校生になった。家から近い普通の高校に俺は進学した。


教室に入るり窓側の一番後ろにある特等席の自分の机に座り鞄を横にかけた。


「おはよう○○」


「おはよう陽輝」


天野 陽輝(あまの ようき) 俺の少ない友達の一人だ。

爽やか系なイケメンで物静かなのに話すと面白い奴だ。


「今日は放課後みんなで遊びに行かないか?」


「悪い、今日は放課後用事があって遊びに行けないや。すまんな」


「そうかー、じゃあ今日は中止にするよ。また今度みんなで行こうな」


「おう、ありがとな」


こんな風に放課後用事があるからと言って誘ってくれるし今回みたいに俺が遊べないと日付をずらしてくれて気を使ってくれるんだぜ。

実際めちゃくちゃいい友達がいるとコイツに嫉妬する気持ちなんかも生まれないしむしろ助けたくなってしまう、これぞまさに主人公みたいな男だ。


「そういや知ってるか?」


「いや、何の話だよ」


俺は今学校に来たばかりなのに何も知らねーよ。


「今日はさ、あの朝倉さんが来てるらしいぞ」


「朝倉ってあの?」


「あの」


朝倉さん。同学年にいる学校一と噂される美少女だ。

彼女は高校に入学してから登校するたびに誰かから告白されることが毎日続いているとか。

因みに毎日告白されているというのは語弊ではなく彼女は病院に通院しながら学校に来ているから彼女が学校に来ている日は野郎どもからすれば告白チャンスってことだ。


どうやら彼女は体育などで激しい運動などは出来ないが準備運動や軽い運動、準備の手伝いなど積極的に動いていてそういったところも人気らしい。


「まあお前ならともかく俺には、彼女に話しかける理由もねえし関係ないな」


「まあ俺も可愛いからって話しかけにはいかないさ」


まあコイツはそんなナンパするような人じゃないからそんなことしないし俺も、まだあったことも喋ったことも無いような子に告白なんてしないよ。


その後はホームルームが始まるまで二人で雑談をしながら時間をつぶし、その後はいつものありふれた学校のワンシーンを過ごした。


「疲れた」


放課後、委員会の仕事があったため放課後の遅くまで俺はいた。

普段は帰宅部なので放課後まで遅くまでいることはないのだが、月一である委員会での仕事がある時には部活動の人たちと同じくらい遅くまで残っている。


「静かだねー」


普段は変える時間帯には部活の準備をする人やまだ学校に残ってい雑談などをしている放課後。そんな放課後も時間がたてばみんな帰宅したり部活に行ったりと段々と姿を変えていく。

真っ暗な校舎は勿論嫌だがまだ夕方で生徒も少なからずいるこの時間帯は少し俺は好きだ。


俺はその静かな校舎を歩き屋上に向かっていった。俺の学校は屋上が開放されていてそこから見える風景を一人で鑑賞するのが委員会終わりの日課だ。

数分歩き屋上に繋がる階段を上っていきいざ扉を開けようとすると俺が開けるよりも先に扉が開いた。


正直、放課後とはいえあまり人がいない時間帯なのに屋上にまだ人がいたのか!?と驚いた。そして扉が開かれた先にいたのは少し目元を赤く腫らした美少女がいた。

彼女も扉を開けたらその先に人がいるなんて驚いたのか、体を縮ませ正直猫のような印象を覚えた。しかしそれ以上に俺は彼女の周りにある黒いオーラがあることに俺は驚いた。


「す、すみません」


「いや、こっちもまさか屋上に人がいるなんて思わなかったからお互い様だよ」


まあ初めはこんな時間に!?って感じの感情でいっぱいだったけどそれよりも俺と同級生のこの子に暗いオーラが出ていることのほうがよっぽどびっくりしている。

泣いている様子もあったから俺はこのままの勢いで彼女に聞いた。


「君はもしかして死のうなんて考えてないよね?」


「へ?」


あれ?これじゃ俺めちゃくちゃヤバい奴なのでは!?

もう少し言葉を濁して聞けばいいものをなんて直球を投げつけてしてしまったんだ。


「いや、待ってね。ごめん言葉が悪かった、君は何か悩み事はない?」


「さっきの言葉もものすごく失礼な言葉だけど私は考えていないよ。でもなんでわかったの?」


「ちょっと長いからベンチで話そう」


そういって俺はこの子と一緒に屋上に出てベンチに二人で座ると彼女から説明してくれた。

彼女は今まで心臓が弱く中学に上がる頃まで満足に学校に生活できていなかった。

そして高校にあ上がった頃に少しばかりよくなったと思ったら倒れてしまい病院でもう長くはないと言われたそうだ。でも学校生活が好きで学校でみんなと喋ったり当たり前のことが出来る日常を最後まで過ごしたい。

そして偶々屋上で部活動を過ごしているみんなの姿を見ながら自分だってみんなのように過ごしていたかったと考えていて帰ろうとした所に俺と出会ったとのこと。


「びっくりしたよ。通院生活をしているとはいえ私の命がそんなに長くないと知っているのかびっくりしたもの。家族以外に喋ったことなんてなに」


そう話す彼女は寂しそうだが不思議そうな顔をしているので今度は俺が話す番だと思った。


「そうだな、今度は俺が話すよ目の事を」


「目?」


そして俺は小さい頃から自分の目はオーラのようなものが見えてそしてそのオーラの中には黒いオーラがありそれは人が死に近づいているものなんだとわかったと。


「そんでその黒いオーラが君から見えたからさ。しかも君は屋上で泣いていたようだったし思い詰めているのではないのかと思ったってわけ」


「そういう事だったのね」


そう会話が終わると俺たちは喋らずただただ時が過ぎた。

そろそろ暗くなってきて最終下校時間が近づいてくる頃に彼女が俺に聞いてきた。


「そういえばもしあの時、私が『あります』って答えたらどうするつもりだったの?」


「ぐっ!」


グサッと心にナイフが突き立てられた気分になった。ぶっちゃけ何にも考えていなかったのだ。

ただただ気になってしまったから声を掛け話をしてどうにか解決しようとしか考えていなかった。


「それはあれだよ、話を聞いて解決してみようと思ったそれだけだよ」


「ふーん。それって具体的な策はなかったってこと?」


「……そうです。私目には何も策はございませんでした」


そう言いながら目を背けていると隣で少し震えている様子が横目に見えた。


「はははは、なーんにも考えなしに私に正面からあんな質問したなんて面白すぎだよ」


こいつめちゃくちゃ笑っていやがった。そりゃ何も考えなしとはいえ人が親切に声かけてやろうとしただけなのに俺の覚悟を笑いやがって。


「うっせー、ああそうですよ。何も考えなしの域当たりばっかりですよ」


そんな投げやりな態度を俺はとってしまった。

とはいえめちゃくちゃ恥ずかしい事をしたのは自分自身だったと心のどこかでわかっていたから俺は彼女に顔を合わせることが出来ないからこうでもしなきゃまたこいつにからかわれてしまう。

そんな考えがえをしていると彼女が立ち上がり俺の目の前に立った。


「ねえ私を助けようとしてくれたんだよね」


「おう……」


そう返答すると彼女は顔を思いっきり笑顔に変えて俺に指差し、


「じゃあこれから私が死ぬまで一緒に学校生活を過ごしてよ!」


「……はぁ!?」


「だから私のパートナーになってほしいってことよ」


「いや俺別にそこまでしたいとは思ってなかったんだけど「じゃあ今日初めに声かけた来た時の事友達に言ってもいい?」はい喜んでパートナーに立候補しまーす!!」


「じゃあそういう事ね、はい!」


彼女は小指を出してきた。もしかして……


「じゃあ君は私の死ぬまでのパートナーってことで、守らなっかたらうーん……あ、じゃあ一緒に死んでもらいます指切った!」


「おい」


こいつ今なんて言いやがった!?一緒に死んでもらう?こいつ可愛い見た目のわりにえげつないこと言いやがったぞ。

そんな俺を無視し彼女はそのまま扉の方に向かっていった。俺はそのまま階段を下りていく姿をみながら呆然としていて自分も帰らなきゃと思い俺も帰宅することにした。



あれ?俺あの子の名前知らねーわ











翌日、俺は学校に登校し自分の机に座り一息ついた。

そしていつもの様に陽輝が近づいてきたのでいつも通りの会話をすませそのまま昼休憩までは平和に過ごせていた。そして昼になると昨日のあいつが俺のクラスにやってきた。


「なんか騒がしいな」


「うん?確かに」


昼に陽輝と一緒に弁当を食べていた時だ。クラスの入り口付近が騒がしくなっているようだった。

入り口付近はもう野郎どもの塊でどうやらほかのクラスの人たちもいるようでかなりの軍団が出来ていた。するとその中から一人の女の子が飛び出してきた。そう昨日のメンヘラ女だ。


「あっ、やっと見つけたよ君。昨日帰り道で名前を聞いていないのを思い出したから休憩時間を使ってやっと見つけたんだよ~」


「そっか、そのまま昨日の事を忘れてくれても良かったんだけどね」


「酷いなーそんなこと言うんだったらアレ言っちゃうよ、それとも……」


近付いてメンヘラ女は耳元で「一緒に死んじゃう?」と言ってきたのでゾッとした。

ヒトコワ。もうこれは怖い以外何もないわ。

そんな行動は周りから見れば美少女(?)が男の耳元まで近づいたりする行動に一気にざわついた。


「じゃあ約束守ってもらうね!」


その日から俺は彼女に色んな事に付き合わされた。

まずこの瞬間から俺は周囲からレーザービームを打たれている状況で目の前にいる陽輝は初めこそ驚いた顔をしていたものの俺と会話する彼女との関係に何かを感じたのか子供の恋愛を見守るような朗らかな顔に変わっていったのはかなり殴りたかった。


そして彼女に振り回される日々この時から始まった。

この振り回すこの女の名前は朝倉 咲夜(あさくら さくや)といい昨日話していた噂の美少女さんらしい。

正直昨日の時点では彼女にまったくの面識がなかったのでぶっちゃけあんまり良い印象はない。

しかもパートナーとして色々手伝ったりするのだから。


例えば学校の帰りに流行りのスイーツショップに行きたいと言われ二人で行くとそこにはカップルか女性客ばかりで恥ずかしいったらありゃしない。正直カップルでも俺には針の筵でしかなかった。しかもこいつは「あ~ん」ってスプーンを向けてくる始末。

初めは断っていたが周りからの視線が段々鋭くなってきて俺はその圧力に屈し俺は食べたりした。


学校生活では俺のところに来ては一緒に弁当を食べる始末。陽輝は二人で食べれるように気を使って(いらないぜ)離れて俺はそこからこの朝倉と一緒にご飯を食べることになった。

基本的に朝倉は同性の友達としかご飯を一緒にしていなかったのに急に現れた男の影はすぐに学校中で噂となり俺を憎む噂が流れる一方で恋人関係という噂がかなりの勢力で駆け回っていった。


体育祭では朝倉は激しい運動はしないものの逆に言えば、そこまでしんどくない競技なら参加できるようで借り物競争に参加していた。

俺は特にやることも無く陽輝達クラスの人たちと自分たちのクラスのテントで話したり応援していた。そんな中、朝倉は封筒の中を見てバッ俺のところにやってきた。別に断る理由はないので手を引っ張られながらついていき1位でゴールした。

係の人が借り物の発表をしてその内容が「気になる異性」だったから女性陣からは面白いことが起きているキャーという悲鳴が、野郎どもからは嫉妬の睨みが飛んできて恋人関係の噂がより強まった。


文化祭なんかではお互いに自分のクラスの出し物に顔を出したり一緒に文化祭回ったりしたり彼女が文化祭で開かれたミスコンでぶっちぎりの優勝を取ったり、最後に開かれる伝説(一緒に踊ると結ばれるという)が残っているフォークダンスを踊ったりもした。


ぶっちゃけ彼女と過ごす生活は楽しかった。初めこそ互いにヤバい奴みたいな出会いをしたものの彼女といて楽しかった。彼女と過ごす日々・振り回される生活は段々と俺の中ではかけがえのないものに変わっていった。


そして俺たちクリスマス前には恋人関係になっていたのは当たり前だったのかもしれない。

彼女になった彼女と過ごす日々はそれはそれはもっと楽しいものになっていった。

カップルの関係になったことを陽輝に伝えた時の顔は「あぁやっぱりな」って感じの顔で特に驚いていなかった。理由を聞くと彼女と過ごすときの俺の顔がいやいや文句を言っていても楽しそうな顔をしていたのだからいつ恋人関係になるのかな?と思っていたそうだ。

俺ってそんなにわかりやすかったのかな?


恋人になれば一緒に映画館にだっていくし映画館にも水族館にも行った。

学生カップルのような事はもうそれはやりつくしていった。

不謹慎だが彼女と一緒に病院に行くのさえも楽しいものになった。

なんせ彼女は長い間病院に通院しているものだから彼女を知っている子供たちが彼女に群がったりすれ違う看護師さんや老人・見舞に来たであろうお兄さんなどとも楽しそうに喋っていてなんて彼女は美しいんだろうと嬉しかった。


勿論、彼女には黒いオーラが消えることはなかった。

別に彼女は至って体調を崩すことも無くオーラも初めて会った時以上に変化することも無かったが俺が彼女と一緒に通院に付き添いを始めたころから少しずつ彼女の黒いオーラが強くなっていった。

正直強くなっていくオーラを見て何もできない事は悔しかったが、俺にはどうすることも出来ないのであれば死ぬまでに沢山楽しい経験をしてもらうことが恋人でありパートナーである俺の役目だと思った。


自分の家のリビングで俺はペットの猫であるレンを膝に抱いて手に持っているプレゼントを見ていた。明日クリスマスの日にこのプレゼントを渡そうと思うのだ。


「○○、そんなに心配しなくても喜んでくれるはよ」


「うっさいわい!」


別に心配してはいないがついついクリスマスにプレゼントを渡そうと思うと緊張しているだけで別に上手くいかないなんて思っていない俺の姿を母さんは茶化して気きた。


「なーレン、お前は俺のことわかってくれのよなー」


「にゃー」


あぁレンはいつも俺の事をわかってくれる最高の猫だ。明日帰りに奮発して美味しい猫缶でも買って帰ってやるぞ。なんて思いながら俺を見つめるレンの黒い目には楽しそうな俺の姿が映っていた。


翌日のクリスマス当日。俺はケーキとポケットにプレゼントを入れて戦闘準備万端に病院に向かっていった。

夜の病院には人通りはほぼなく通りすがる看護師には彼女にサプライズをしに来たのだというと「ガンバレ」と応援してくれた。


そして彼女の病室の前に来た俺は「よしっ!」と気合を入れドアを開けた。











なんて今までの自分の人生を俺は振り返っていた。

そして俺は既に血を流しベットの上で倒れている彼女の上に覆いかぶさるように倒れた。

俺の胸にからは血が流れており正直もう手遅れなのだと思った。


「はは、ははは。ハハハハハ、お前がお前たちが悪いんだ。俺は別に悪くないさ、俺を先に裏切ったお前たちが悪いんだ!」


手には血濡られたナイフを握ったまま笑いが止まらない男がいた。


「そうだよな、咲夜~。お前だけ幸せになるなんてありえないよな~。そこの男も裏切りもんなんだからありえないよな~」


正直俺にはあまりその男の声は耳に入っていなかった。

体があまり動かず段々寒くなっていって眠たくなってきているんだ。

俺はここで死んでしまうんだろうな。


一人でそんな考えをしていると後ろが騒がしくなってきた。

俺の体を摩ってくれている。看護師さんのようだがもう聞こえない。

そしてまた静かになった。




俺の下で何かが動いた。もう眠そうな意識をつなぎ留め俺は下を見た。


「○○、ごめんね」


彼女だ。彼女はまだ生きていたようだ。

俺は今眠そうだったい意識をはっきりと意識させるようにした。

体からは血が流れているからか寒い。胸あたり痛い。正直何もしたくない。

けれど彼女がいる。


「いや、咲夜は悪くないよ。気にすんな」


「はは、最低なクリスマスだね」


「ああ、そうだな」


俺は彼女のオーラを確認した。もうかなりの黒いオーラが体から出ている。

もう彼女も時間がないのだろう。

そう考えた俺は力を精一杯振り絞りポケットに入っているプレゼントを取り出した。


「咲夜、これ。プレゼント」


俺はプレゼントの箱を開け彼女に見せた。


「指輪?」


「うん、ちょっと恥ずかしたっかけど初めて迎えるクリスマスなんだから指輪を用意したんだ。指、出してくれる?」


そういうと彼女は弱弱しく手を挙げてくれた。

ちょっと奮発してかった指輪は彼女の白い肌の手にとても似合っていた。


「似合ってるよ」


「ありがと」


正直、俺にはこの場で出来る限界だった。

もう何も出来ない。

死んでしまうんだ。


そのまま何もできないでいると彼女が話しかけてくれた。


「ねえ○○。指切りの約束覚えてる?」


指切り?あぁあの初めて会った時に交わしたあの怖い約束か。

俺は少しだけ頷いた。


「約束、守ってくれたね」


嫌なこと言うなよ。俺はもう君なしではいけないんだから。

まあ今死にかけているんだけどな。もうどうすることも出来ないが。


「だからさ、新しく指切りしてくれると嬉しいな」


そういい小指を出してきた。俺も弱弱しくも小指をだし俺たちの小指が絡まった。


「じゃあ新しい約束。来世でも私のパートナーね」


「おう」


何とか返事をすることが出来た。

俺が返事をすると彼女の手には力がぬけていき手がベッドの上に落ちた。

あぁ、そんな事を言うために俺を待っていてくれたのか。

もうオーラを発していない彼女の姿を確認した俺はもう何も出来なかった。

正直こんな最後とは思っていなかったな。もっと彼女と過ごしたかったな。

明日にはクリスマスイブを過ごし正月には一緒に初詣に行き、学校を卒業して二人で一緒に暮らして結婚して子供も作って。


どれももう叶えられない未来だ。結局俺はこの目で誰の命を救うことも出来なったな。

やっぱこの「目」苦手だな……


そう意識をなくしていくなか、彼女を覆う自分のオーラの景色を最後に俺は死んだ。






『犯人の供述では「あいつが俺以外に勝手に男と仲良くなってあろうことか彼氏まで作りやがったんだ。だから病室に行ってあいつとの関係を切って俺の彼女になれっていうとあいつは断りやがったんだ。そして俺に近づくななんて言いやがった。だからあいつを刺した。そしたらあいつを奪った男が現れたもんだからつい一緒に刺してしまったんだよ」との供述をしているそうで警察は殺人事件として扱うとのことです』


○○のいない家で一匹の猫がテレビを見ていた。そのテレビに流れている映像が自分の主人が亡くなった映像と知っているかはわからない。

ただただその猫はじっと可愛がってくれる主人の帰りを待つのであった……。


すすり泣く生徒たち。

総式場では沢山の生徒が参加していた。前には二人が楽しそうに笑っている写真があった。

○○は中の良い友達は少なかったが陽輝とも友達で何より目の力で助けられた生徒も多くみんなには頼りにされていた。

朝倉咲夜は持ち前の美貌に話していて楽しい性格から沢山の友達がいた。

そして彼女の病院の関係者や仲の良かった子供たちも葬式に参加していた。


「こんにちは誠さん、久美子さん」


「あぁ陽輝君かありがとう、息子の葬式に参加してくれて」


「いえ当然の事ですよ。だって俺たち親友なんですから」


「……本当にありがとう」


そういい二人は他の参列者の対応に回った。


「なあ○○、あっちで朝倉さんと会えたか?俺はお前がいなくなっっち待ってもう悔しくて寂しいよ。……俺もそっちに行ったときにはまた親友になろうな○○」


そういう彼の頬には一筋の涙が流れていた。






ここはどこだ?

俺は……あれ、死んだんじゃなかったっけ?

でも別にどこも痛くないな

ほんとここはどこなんだ?


………い


はあ、まだまだ俺彼女と一緒に生きたかったなー


……ーい


はー、あの男め もし来世があったら覚えておきやがれよ


おーーい


ん?声が聞こけるな どこだ?

うわっ


やあ○○ また会えたね!


咲夜?咲夜なのか!?


うんわ私だよ。まさかこんな何にもない所であえるなんてもう運命だね


おぅ あった頃のメンヘラ臭が匂ってきますな


そんなこと思ってたんだ。じゃあ、私たちの愛は死でも分かつことは出来ないんだよ?


まさかヤンデレに進化してるなんて俺はびっくりです


「お二人さん、仲良いのはいいですけどあなた達の番ですよ」


あれ?あなたは?


「私は輪廻転生を担当しているただの神です。今回あなた方はお亡くなりなったので次に転生するための手続きに来たんですよ」


じゃあ俺たちまた二人でいられるってことですか!?


「さあ?それはあなた達の来世でのご縁次第……というところですけど今回は寿命を迎えることなくお亡くなりになったので多少は融通しておきます」


おお ありがとうございます!


感謝します!!


「ええ、別に仕事なのでお気になさらず。ですが私は少ししかお手伝い出来ませんし、向こうでめぐ会えるかはあなた達次第ですが」


……もしかして記憶は無いってことですか


「ええ。輪廻転生ですからね、後記憶がない方が作業しやすいので」


神様のそんな理由ですか!?


「だって一杯亡くなる方がいるんで毎回そんな対応するのは面倒ですし来世でその記憶を使って何かあったら面倒ですもん」


まあそうですね 融通利かしてくれるだけありがたいか


そうだね


「ではお二人共、作業に移ります。朝倉咲夜さんから」


はい じゃあね○○ 来世で会いましょう!


おう来世でな!


「一名様ご案内。  では○○さん次はあなたです」


はい


「あなたには伝えなければならな事があります」


伝えたいことですか?


「ええあなたのその目はあなた自身が亡くなったことにより特別なものになりました。いわゆる魔眼と呼ばれるようなものです」


へー でれがどうしたんです?


「正直あなたかたその魔眼を取ることが出来ないくらい魂に結びついています。なので来世でもその目と向き合ってもらうことになります」


なるほど、それってめちゃくちゃ良くないですか!


「と、いうと?」


俺は正直彼女の魂を覚えています。なので向こうでも俺は彼女の魂をもつ新しい彼女と出会ってやりますよ 例え記憶がなくても


「わかりました。ではどうぞこちらへ」


はい


「来世で素晴らしい人生が送れる事を願っておきますね」


ありがとうございます きっと幸せになってやりますよ











某、保育所。

楽しそうにグランドを走っている子供たちがいた。

なかには空を飛んだり空中に絵を描いたりする姿があった。

そんな中に一人の男の子が静かにその光景を見ていた。


(これ、なんて新しいニューゲームなんだ?)


そんな一人でいる男の子に他の子どもは気にすることなく遊んでいるなか、一人それは幼いながらもきっと美人になるであろう将来が楽しみな子がその男の子に近づいていった。


「ねえ、君は遊ばないの?」


「あぁ、俺は見ているだけでじゅ……」


「? どうしたの?」


「ううん、何でもない。それより君の名前が知りたいな」


「いいよ!私は咲夜。日花 咲夜っていうの!」


「咲夜。咲夜ちゃんね、いい名前だね」


そう嬉しそうにする男の子はそう名前を呟くと少し嬉しそうになりながらも涙を流した。


「どうしたの!? どこか痛いの?」


「大丈夫。大丈夫だよ、咲夜ちゃん」


「そう、良かったー。そうだ向こうでみんなと一緒に遊ぼうよ」


「良いよ」


そういい女の子は男の子の手をとり歩いていく。

すると突然振り返った女の子は何か思い出したのか勢いよく振り返った。


「そうだった!君の名前はなんていうの?」


「そうだね僕の名前は





そうして始まる新しい世界。

それは誰もかれもが主人公できっと当人以外には真似できないような人生の連続だ。

そして今ここに二人の少年少女が出会ったことでこの世界を大きく巻き込むそれはそれは楽しい物語が始まったのであった。






ご覧いただきありがとうございます。

初めての作品ですが皆さんの心の片隅にでも残ってくれるような作品になったくれればと思います。



何らかの形で人気が万が一億が一出るようなら少しだけ作者の考えを書きたいと思います。

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