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さんわ

「ふぉぉ……」


 改めて見てもとんでもない大きさの、小さな町なら作れそうな程に太く、首が折れそうなほど見上げても先端が見えなさそうな世界樹君の下へやってきたのは、次の日の事である


 果物やら水やらを好きな時に好きなだけ摂取しながら惰眠を謳歌する生活を送る事半日、むしろ娯楽も何も無しにぼーっとしている虚無を半日も耐え忍んだのは褒められて然るべきでは無いだろうか?


 未だに自分だとは思えない華奢で儚い妖精のような……というか実際に木からポンっと生み出される精霊みたいな種族らしいので妖精と言っても過言ではない訳だが、ともかくそんな身体に慣れる事も……慣れ……いや、ぶっちゃけ違和感無いわ。


 身体というハードウェアを動かすソフトウェアは魂ではなく脳味噌という事なのか、はたまた別の理由かはさっぱりわからないが何にせよ産まれたての子鹿の様にプルプルと震えながらリハビリ的な運動をしなくて良かったのは多分良い事で。


 更に言えばハイエルフなるファンタジー種族、それこそ先日のどんちゃん騒ぎの中で見聞きした内容を考えるに人間は勿論ドワーフだのゴブリンだのドラゴンだのといった多種多様な種族が居るらしいが、その中でも殊更ファンタジーな存在らしく。


 ただの木が二酸化炭素を酸素にしてくれる動物の味方であるならば、世界樹及びそれに連なる聖木はファンタジーあるあるのマナなるモノを生み出してくれる物だそうで。


 で、エルフが森の精霊ならばハイエルフは世界樹の精霊という訳で、ファンタジーな物からファンタジーな生まれ方をしたファンタジー極まったファンタスティック生物が私という訳だ。貴様とは産まれが違う(ガチ)的な。


 つまりこのアホみたいにでかい大木は私にとってママでありパパであるという事なんだよ! いや、それが正しいかと言われると微妙だけど。ある意味では半身とか同素体的な、同じ材料で別のモノ出来ました的アトモスフィアらしいので。


 かといって別に万が一私が消し飛んでも別に世界樹君が消し飛ぶ訳ではないし、それこそ森が丸ごと焼き払われてもエルフが絶滅する訳ではないと、単純にリンクした端末的なものではないのも事実。じゃあ親扱いでも良い気はするんじゃが。


 私個人の意見としてはそんな感じでも、周囲(エルフ)からしてみればこのクソデカ世界樹の化身的な、神聖なる上位者な訳で、道中すれ違う皆々様にはやたら平伏されたりもした。


 そんな平民メンタルに優しくないお散歩を何故敢行したかと言えば、この世界樹君の(うろ)に要件が有ったからに他ならない。正確に言えばその中に溜め込まれてる娯楽に、だが。


 要約すればねーねーひまーなにかおもしろいことないのー? となる私の要望に、姫様におかれましては知識などは不要かも知れませんが、書などを嗜まれては如何でしょうか等と少なくとも走り回られたり森を広げられたりしなさそうな回答。


 そりゃぁ向かうに決まってるよね。テレビもラジオも無ければゲームなんかもそれこそ木の実を集めるだの芽の数を数えるだのといった遊び……遊びか? 仕事とか拷問じゃなくて? しか無いとなれば、情報収集も兼ねた読書は最高の娯楽だろう。


 という訳でやってきた洞の図書館で、羊皮紙的な物やデカい葉っぱやらに書かれた文字と睨めっこ。ご都合主義的に理解出来る文字列と新しい知識、そして立地的なアレで全身に感じる安らぎにご満悦の私からは自然と吐息が漏れるわけだ。


 そう、コレはご満悦な吐息であって、決して貪る様に乱読した結果もう読むものがなくなった事に対する後悔だのなんだのと言った溜息ではない。違うのだ。後先考えるとか計画性とかそういった諸々に対する懺悔では無いのだ。


 一応図書館通いで3日程は大人しく過ごせたので、やり切ったぜとやっちゃったぜの複合的な感情を感じながらも、無闇矢鱈に詰め込んだ情報を頭の中で整理していくことにする。


 この世界が実に良くあるファンタジーをイメージすれば大体合ってそうな世界である事は予想がついていたし、例えば当然の権利のように一般的な種族人間が1番数が多い発達した種族だったりとかドワーフが火山的な場所で生まれやすい石の精霊的な存在だとかは想像の範疇だった。


 ついでに言えば、いわゆる一般的なイメージの獣人的な存在も居るのではないかと思われる。兎だの狐だの熊だのといった野生動物は普通に存在している様だが、それも元の世界と同じ生き物かと言われればいや知らんしってなる訳で。


 そもそもDNAだとかが存在してるかもわからんし、そういった専門的な事を探究する気も出来る設備も知識も技能も存在していない訳なので、ファンタスティック代表としてはそっとしておこうってなる訳だ。


 で、ハーフエルフ的な存在は文献に載っていたので少なくとも異種族との間で絶滅戦争をしなくてはいけないという世紀末でない事は確かの様だ。……つまりエルフにも木の股から生まれた純粋? 種とエルフ同士の番で産まれた第二世代? と雑種? が居ると。


 逆に考えれば一般的な人間はニュートラルっていうよりは全種族ごちゃ混ぜにした平均値みたいな生物なのではないかっていうのが私の予想である。無論ドラゴンとかグリフォンみたいな生き物が混じってない人型生物のって事だが。


 で、卵生と胎生の違いをごにょごにょする訳でも無いが、数多い種族人間の中に変態が居たのかどうかはともかくとして犬猫と言った生き物とのハイブリットみたいな人型生物は存在している訳だ。ケモナーは一般性癖だった……?


 まあ種族としてはそんな感じで、エルフの里の癖に英雄譚での主役が人間が多いってのも多分ミックスされた種族のいいとこ取りみたいな突然変異限界突破勢が人間に多いって事なんだろうと思う。


 ……そんな感じのエルフが最大勢力じゃない世界でいきなり周辺環境に配慮せず森を倍に広げた奴が居るらしいんですけど、コレ大丈夫なんですかねぇ?

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