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いつか世界の果てにへと  作者: 総帥
ウィスタリア島編
9/23

09 sideラセット


3の鐘が鳴る頃、僕は塔の中にいた。しかしここはよく子供の遊び場になっているため、他にもちらほら人がいる。この塔は島一番の高台にあり、日当たりも良好。昔から、天気のいい日によく昼寝をしたりしたものだ。今は冬なのでしないが。

今日ここに来たのは、塔を調べるため。神殿の次に古いとされる塔に、なにか秘密はないかと睨んでいる。



僕は以前から、独特の価値観をもっていたらしい。

例えばアサギ族。大人は皆、あいつらは害悪だと言う。そして子供はその話を真に受けるわけだ。僕は一度、大人に聞いたことがある。

「なんでアサギぞくのひととなかよくしちゃいけないの?ほかのみんなは、なかよしだよね?」と。

物凄く怒られた。だがなぜ怒られたのか未だにわからない。ただえらい剣幕だったのはよく覚えているし、これは聞いてはいけないことだと理解した。


あれから何年経っても、答えをくれる人はいない。


もはや、生理的なものなのかもしれないな。

多くの人がゴキブ…黒い虫を嫌うようなものだろうか(以前黒い虫の名前を叫んだら、母に『その名を呼ぶなああああ!!』と言われた)。ヤツは害虫ということもあるが、それを知らずとも見た目だけで嫌悪する人も多いだろう。

だがその見た目が好き、という人間も探せばいるのかもしれない。確証はないが。その色、カサカサ走るフォーム、壁を登り空を滑空する姿を美しく思う人間がいてもおかしくない。僕は正気を疑うが。いたらごめんなさいね。

だが僕は、周りからみたらその正気を疑われる人間なんだろうな。

それでも黒い虫には、害虫だからという嫌われる理由がある。どんな害があるのか語ることもできる。まあたとえ益虫だとしても受け入れられないけど。


なんか黒い虫扱いして申し訳ない気分になってきたな…。

でもアサギ族は、彼らは僕たちと違いがあるようには見えないのにな…。本当に、目の色が違うだけなのに…。


僕は最近できた友人に思いを馳せる。

島民が嫌悪するアサギ族。その少女サルビアのことを、僕は以前から知っていた。といっても見かけたのは2~3回ほどで、会話もしたことがなかった。いつも虐められていたが、やられっぱなしではなく反撃もしていた。

その虐めている人たちは、大体が僕の顔見知りだ。普段は穏やかで、気のいい奴らで友人だと思っていた。だがそんな姿を見ると、あまり親しくしたくなくなるな…。それを表に出すことはしないが。



そんなサルビアに神殿で顔を合わせたのは偶然だった。

神殿の中から出てくる人がいたので、思わず「誰だ。」と言ってしまった。

薄暗くてよく見えなかったけど、間違いない。サルビアだ。どうやら向こうも1人のようで、顔には出さないが僕を警戒しているようだった。


僕は1人になりたい時には神殿に行くのだが、彼女と少し話がしたいと思った。だが名前を言い当てればものすごく動揺し、構え、殴りかかってきた。驚いたが、僕も島主の一族としてそれなりに鍛えているのでなんとか受け止められた。ギリギリだったが。

彼女はなんだか好敵手を見つけた、みたいな雰囲気だったのでとりあえずデコピンして落ち着かせる。


ちょっと話しただけだが、もっともっと話がしたいと思った。彼女の考え方は恐らく僕と似ているのだろう。なのでまた明日の約束をして、解散した。

今日も会いに行く。最近はこの時間が何よりも待ち遠しい。その前に塔を調べないと…。


鐘が鳴った。5回。


「……嘘だろ。」


黒い虫とサルビアのことについて考えてるだけで時間が過ぎた…。っと、また同列に扱ってしまった。心の中で謝罪をしておく。


さて、彼女に会いに行こう。彼女との時間は心地よい。イラっとすることもあるが。この前なんかは僕が石像の上から足を滑らせて落っこちた時、すっごい笑われた。

『ばっ…!ダッサ…ぶふっ!!…は、あっははははは!ゲホッはははははは!!!ぐふっ、ははっははははオエッゲホッゲホオオッ』

笑いすぎてえずくように咳き込んでた。そんな姿に僕も笑ってしまった。


まったく女の子らしくない女の子。街の子たちとは大違いだ。だがそんな彼女に惹かれているあたり、やはり僕は趣味が悪いのかもしれないな。




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