08
「なにか見つかったか?」
「いや、特には。そっちも足元とか見てみて。」
美人さん(石像)の顔やら首やら腕やら探るが、なにもなし。うーん、これが一番怪しかったんだけどなあ。…ん?この石像、手を胸の前で組んでいるけど…手の中になにかある?
「ではちょっと失礼して…と。お、取れそう。」
「お。どうした?」
「このヒト(?)なにか持ってる。…よし、取れた!…布?」
「見せてみろ。」
他に気になることは無さそうなので、私はひょいっと飛び降りた。そして布を広げて見せる。
何の変哲もない、白い長方形の布…じゃないな。文字が書いてある。えーと、
《主神 アンスロポス》
「………。」
「………。」
顔を見合わせて、首をかしげる。
「…なにこれ。」
「さあ…?」
本当になんだこれ。他には何も書いてないし、謎が深まったじゃあないか。
「…よし、他の石像も調べよう。」
考えてもなにも進まないので探索再開。他の石像はこれほど大きくないので、手分けしてよじ登って調べた。
その結果、それぞれ文字が彫ってあるのに気付いた。他の石像たちは皆、手に壺やら本やら持っている。その持ち物に彫ってあった。
「じゃあ、まとめるぞ。」
「よし。えーと…。」
《主神 アンスロポス》
《太陽の神 リーコス》
《月の神 クネーリ》
《感情の神 タランドス》
《芸術の神 プローヴァト》
《叡智の神 アローピクス》
《戦の神 アルクーダ》
《豊穣の神 パルダリ》
《天空の神 ニフテリーダ》
《水の神 デルフィーン》
《大地の神 リオンダル》
「………。」
「………。」
?…??……なんだこれ。
「とりあえず、共通するのは《神》という文字だな。なんなのか…わからないよな。」
「うん…。意味はあるんだろうけどさ。芸術とか豊穣とかはわかるけど。他の意味不明な文字って、もしかして…。」
「…名前かもな。この石像たちの。」
「ふむ。じゃあこの人はアンスロポスさん(仮)か。」
しかし不思議だな。つまり、この石像のモデルになった人たちの名前か。ありえる。ん?
「この人たちって、私たちのご先祖様だったりして?」
「言えてるな。…とりあえず拝んどこう。」
「ほい。」
その後もしばらく探索したが、それ以上はなにも見つからなかった。そして暗くなってきたので、また明日にしてお開きになった。
帰った後に家族や村人に《神》について知ってることはないか聞いて回ったが、誰も何も知らなかった。