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いつか世界の果てにへと  作者: 総帥
ウィスタリア島編
2/23

02


私はウィスタリア島に住むアサギ族のサルビア。両親と弟と暮らしている。この島には多数の民族が存在し、アサギ族もそのひとつ。私たちは主に羊を飼い、その毛皮を刈って収入を得ている。

基本的には自給自足であるが、完全にとはいかない。時折島の中心、首都に行き毛皮を売り必要な買い物をする。だがその仕事はとても憂鬱なものだった。


なぜならアサギ族は差別されているから。首都どころか近隣の村でも受け入れてもらえないのだ。それはなぜか?

答えは、私たちの瞳が蒼いから。それだけだ。


この島では昔から、“蒼のアサギ族”は差別の対象だった。他の一族は皆茶色や灰色、もしくは黒い瞳の持ち主ばかりだ。

アサギ族だけがもつ蒼い瞳は、日の光に当たると鮮やかにキラキラと輝く。だが、なぜそれが差別の対象になるのか・・・。実は、誰も知らない。

だが島民は、一切疑問に思わない。不思議だ。ただ幼いころから、

『アサギ族は卑しい一族。目を合わせれば呪われる。あれを同じ人間と思ってはいけない。』

と言われて育つ。根拠は知らない。書物にも載っていない。


そんな胡散臭い言い伝えと共に子は育つ。するとどうなるかと言えば、まあわかるだろう。

アサギ族は人間ではないから、何をしても許される。

私たちは首都、街に行く度絡まれる。なので必ず固まって行動するのだが、私は今回同年代の少年少女に連れ出されてしまった。

その結果がこの濡れ鼠だ。あ、父さんが走ってきた。


「サルビア!!」

「父さん・・・」


ああ、また心配をかけてしまった。

さっきまで他人事のように考えていたが、父さんの顔を見たら苦しくなってきた。

そんな顔を、させたくないのだ。怒りの、でも泣きそうな顔を・・・


「キリ、用事は済んだんだ。早く帰ろう。」

「そうだな。皆いるな?飛んでくる物に気をつけろ。行くぞ。」


父さんがキリさん――父さんの幼馴染だ――に声をかけ、皆で街を早足で抜ける。

人々はなんだかヒートアップしてきて、手あたり次第物を投げられる。いつもはこんなに酷くないのだが・・・今日はなにかあったのだろうか。

あ。禿げたおじさんの投げた食器で、雑貨屋さんの窓が割れた。私たちのせいにされた。なぜだ。


父さんは私を庇いながら進む。人々の妨害を受けながらも、なんとか門についた。

門の衛兵は仕事中のため余計なことは言ってこない。だがその目、態度でこちらを嫌悪しているのがひしひしと伝わってくる。私が頭から血を流しているのを見ても、鼻で笑うだけ。いい気味だ、ということだろう。

とっとと抜けてとっとと帰ろう。



「サルビア・・・すまない。俺が近くに居ながらこんなことになるなんて・・・。」

「違うよ父さん。私が油断してたのがいけないの。いつもはここまで酷くないのに、今日は違ったから・・・。私こそごめんね・・・。」

「サルビア、ほらよく拭いてね。あいつら外ではやりたい放題なのに、中では街が汚れるっつって精々悪態つくぐらいなのに・・・。キリさん、どう思います?」

「そうだな・・・。今の段階では判断材料が無さすぎる。なんとも言えんな。」

「っすよねぇ・・・。」


キリさんと私より少し年上のお兄さん、ベルディさんが会話してるのを、手当てを受けながら聞いていた。

・・・なにか、起きていなければいいのだけれど。




完全に自分が書きたいもの、読みたいものを書いています。

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