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お兄様も私もゲームの悪役にはなりません!  作者: 山之上 舞花
裏本編!(本編に入らなかったあれこれ)
33/51

27 二人で決めたこと その5

◇ヴェイン・ラ・アソシメイア


「ちょっと待て、それはずりぃだろ。そんじゃあ、俺は?」


赤髪の神様が身を乗り出して来た。


えっ? 赤髪の神様にもあだ名をつけろと?


「えーと、じゃあ、レッド様でいかがですか」

「レッド……フッ。俺にふさわしい、呼名だ!」


……よかったぜ~。赤様だと安易だし、それに赤ん坊と近い言い方は不敬になりそうだったからな。


「わしは? わしにはなんとつけてくれるのじゃ?」


期待の眼差しで仙人風神様が聞いてきた。さすがに仙人は違うよな~。それじゃあ……。


「えーと、老師様」

「ホッホッホッ、そうか。わしは老師か。ホッホッホ~」

「もちろん、私にも特別な呼び方をしてくれるのよね?」


……今度はお色気女神様か。


「女神様」

「却下!」

「えーと、モンロー様」

「モンロー様? 何よ、それ」

「前の世界で有名な女優です。蠱惑的で色っぽい黒子が、そのかたと似ていまして……」

「ふう~ん。蠱惑的で色っぽい……うふふ」


冷や汗をかきながらそう答えたら、満足そうに笑顔を浮かべられた。どうやら他の神にはつかなかった形容詞が効いたみたいだ。

そして、青髪インテリ系神様も期待を込めて見つめてきている。


「あ~、えーと、ソルジャーブルー……じゃない。これは違う! そう! インテリブルー様!」

「インテリブリーですか? ……フッ、他の誰よりも長い呼名は、私に対するヴェインの気持ちが表れた証拠だろう」


と、何故か他の神様たちに優越感を浮かべた顔で言った。


「なんだと、違うだろうよ! 俺の時はサクッと決まったんだぜ。俺に対してのほうが、気持ちがあるに決まっているだろう」

「ホッホッホッ。何を言うておるのじゃ。わしの呼名こそ、尊敬の表れであろう」

「あら~、私なんて『蠱惑的で色っぽい』のですって! これは私のことをよ~くみてくれているから出てきたのよ」

「それは違うだろ。借りているキャラの姿がそう見えるだけだろ」


神様たちは何故か言い合いを始めてしまった。いつもなら止める黒髪の神様は「ジ~ン」と言いながら、自分の世界に入ってしまっている。


「ぼ、僕は~」


最後に残ったこの世界の神である金髪の神様が、ウルウルと瞳を潤ませながら、十歳くらいの少年の姿に変わって見上げてきていた。


……あざとい。もうこれはこれでいいんじゃねえか。


「金髪ショタ!」

「せめて『様』をつけて!」


……って、いいのか? この呼名で。まあ、本人が嬉しそうにしているんだからいいんだよな。


しばらくは神様たちが言い合いをしているのを、眺めていることしかできなかった俺たち。どうしようかと、ミランジェと数度目を見交わしあった。そうしたら突然神様たちが黙った。しばらく動きを止めていたけど、ややあって俺たちのほうを見つめてきた。


「見苦しいところを見せたね、ヴェイン、ミランジェ。君たちの最後の希望、夢の中で私達と会うということも、至高の方に許可をいただけたよ」


にこりと笑みを浮かべて黒様が言った。


「それにね、至高の方が、やはり二人は惜しい人材だというんだよ。なのでね、これからも仲良く(・・・)するために、相談……ではなくて、気持ちを変えてくれるように、口説くことを頼まれてしまってね」


にこにこと楽しそうに笑う黒様と同じように、老師様も笑みを浮かべた顔で言った。


「そうなのじゃ。其方(そちら)、転生や召喚をしないというのをやめんかの。そうすればわしたちと今生限り会えないということは無くなるぞ」

「そうよ、そうよ。会えなくなるのを惜しんでくれるのなら、転生や召喚に応じてくれたっていいじゃない」


モンロー様もキラキラと光つきの笑顔を振りまきながら言った。


「えーと、そう言ってくれるのはうれしいけど、子孫を見守りたいんで……」

「それならば、とりあえず君たちが気にかけている、五回この世界で転生をするまでは、他の世界に呼ばれないことにすればいいのではないでしょうか」

「おっ! それ、いいじゃん。黒様、どうですか」

「○○に黒様と呼ばれたくないな」


黒様がレッド様のことを睨むようにして言った。


「だけど仕方ないじゃないですか。二人には名前を呼んでも聞こえないんですよ。今だって俺の名前を言っても、二人には解らなかったと思いますし」


黒様が俺のことを見つめてきた。


「仕方がない。それなら、私もここでは皆のことを『呼名(あてな)』で呼ぶことにしよう。とにかくさっさとこの世界が発展してくれて、ヴェインとミランジェが転生できるようになるのを待つことにしようか」

「でも、それだと、五回もこの世界で生まれ変わる間に、口説けないですよ」


金髪ショタ様が黒様に訴えるように言った。


「それは困るな。そうなる前に、口説かれてくれることが一番なんだが。……はい、至高の方の仰せのままに」


難しい顔をしたと思ったら、少し黙った黒様は、笑顔を俺に向けてきた。


「安心したまえ、ヴェイン、ミランジェ。君たちが他の世界に転生できるようになるまで、夢の中でなら、君たちに会えることが決まったよ」


他の神様たちも凄く嬉しそうに頷いている。さっきから、意味の分からないことを言っているけど、分かるように説明してくんないかな?


「えーとさ、神様たち。出来る事なら何を口説くのか、教えてくれないか?」

「おおっ! 私としたことが、喜びに肝心なことを言い忘れていた。至高の方が云うには、君たちの心根がすばらしく、神の心情を慮ることが出来ることも喜ばしく、別世界に転生を十回した暁には神格に格上げしようと、おっしゃられたのだ。我々も君たちが仲間に入ることはとても喜ばしいことだから、是非とも考えて欲しいと思っている」


「「はあ?」」


「私もお二人が同格になることは賛成です。お二人と過ごす時間はとても有意義でした」

「わしもじゃ。二人が仲間になると楽しいのう」

「あら~、一番楽しみなのは私よ。女神ってね、性格が合わない女神()が多すぎるのよ。ミランジェとなら、仲良くできると思うのよね」

「僕も~。二人が神になったら、最初は一緒にこの世界を見守ろうよ~。子孫が頑張っている姿が見れるんだよ~」

「というわけだから、前向きに検討しろよな」



答える前に、夢の世界を追い出されてしまった。起き上がった俺はミランジェと茫然と顔を見合わせたけど、今はそんなことは考えられない。よな~。


まあ、いいか。急いで答えを出すこともないだろう。もう少し、神様たちとの付き合いは続くんだからさ!


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