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お兄様も私もゲームの悪役にはなりません!  作者: 山之上 舞花
裏本編!(本編に入らなかったあれこれ)
27/51

21 初夜 - 事情説明と心残り -

◇ミランジェ・リ・アソシメイア


『召喚』や『転生』に決まりごとがあると聞いて驚きました。

そして、だからこそ、この世界の神々は他の世界の神様たちを怒らせたのです。



この世界の神々は若い神々だったということで、お遊び気分で管理をしていたようです。本来なら召喚のことを人々に教える時とは、人々が立ち向かうには強大な敵が現れたり、人々の精神の向上を願ったりと、何かしらの変革を必要とする時だったそうです。


最初に教えた時には、もちろん人々の精神がそこまで到達したから、次のステージへステップアップさせる意味でだったようでした。だけど、神々の中でそれだけでは面白くないというものが現れて、こっそりと人々に各異世界の召還スペルを教えてしまったのだそうです。


それに合わせて、神々は他の世界の神様たちに召喚をさせたいと、お伺いをたてていたそうです。ここで小狡いことに複数神で管理していることから、他の世界の神々に交渉する時に、一神に一神で対して交渉をしたのです。そうなると、他の神が召喚できるように交渉しているとは知らなかったと、言い訳ができるからと考えたようでした。


というか、まさかそんな姑息な真似をしているとは、他の神々も思っていなかったというのが、実情だったみたいです。


不当な召喚が行われていると気がついたのは、かなり経ってからだったそうです。召喚されて奴隷扱いされた人が亡くなり、元の世界に魂が戻ったことで、その世界の神様は知りました。


このことに文句を言いましたら、『自分以外の神がそんなことをしているとは知らなかった。もう召喚はさせない』と、言ったのだとか。


そうして起こったのが『ロンギリウス国への神の審判』だったのです。


この世界の神々は自分たちがしたことを、この世界の人々に擦り付けたのです。自分たちは善意で召喚魔法を教えたと言ったそうですが、金髪ショタ神様……えーと、金髪の神様が他の世界の神様たちに、本当は自分たちの楽しみのためにしたことだと伝えて、懲らしめるための助力を乞うことになったようでした。


あとは、母、シェイラに神様が話したように、他の世界の神々は調べて話し合い、最後に駄目押しの証拠を用意して、この世界の神々を断罪したそうなの。


そして、この計画の要になったのが、召喚される人だった。驚いたことに、私は何度か異世界に転生したことがあるそうです。ただし、向こうでの役目を終えて元の世界に戻った時には、その事実は忘れさせるので覚えていないそうなの。でも、召喚や転生を何度かしていると耐性がついて、そちらの世界に行った時により良い働きができたらしくて、同じ魂を持つものが、他の世界に行くことが多かったらしいわ。



それで、私達がこの世界に来ることになったのは、私が候補の一人で、あの時タイミングよく二人でいたからだったとか。


……やはり、私が優慈を巻き込んだのだと、私は落ち込んだのでした。




「本当に君たちにはすまないことをしたと思う。ただ、安心してほしいというと変かもしれないが、君たちの亡骸は綺麗な状態で遺族に渡ったのだよ」

「それはどういうことですか」

「君たちを召喚する時に、急に天気が悪くなっていたのを覚えているかい」

「はい。天気予報でも局地的な天気の崩れを言っていました。雷も鳴ってきていたので、俺と美愛は急いで帰ろうと早足で歩いていました」


ヴェインは、はっきりと答えた。私は召喚の時のことは、嫌な予感と魔法陣が光りだしたことしか覚えていない。


「そう。その雷で美愛と優慈は亡くなったことになっているのだよ。いわゆる感電死というやつだな。これはその場面を目撃した人がいるからね。その人物には雷は恐ろしいという、トラウマを植え付けることになったのは申し訳ないと思う」


黒髪の神様の言葉に、その光景を思い浮かべてしまい、私の顔色は悪くなったことだろう。黒髪の神様はヴェインのことを見つめた。


「ヴェイン。いや、優慈と言った方がいいか。あの時、君の決意を無にしてしまったことは申し訳ないと、本当に思っているのだよ。君は期待通りにこの世界に変革をもたらしてくれた。こちらが思った以上に早くにだ。今更だと思うけど、あの時にできなかったことを、今する気はないかい」


ヴェインは黙って神様のことを見つめている。


「君の心残りなのだろう。出来る事なら、けじめをつけたいのではないかい」


重ねて言われて、ヴェインはため息を吐き出すと、自分の頭をガシガシと掻いた。


「そこまで言うってことは、姿も変えてくれるんですよね」

「もちろんだとも」


黒髪の神様の言葉と共に、ヴェインの姿が変わった。黒髪に黒い瞳の懐かしい優慈の姿へと。黒髪の神様から何かを受け取ると、優慈は立ち上がった。


優慈が動いたら、景色も変わった。彼の後ろに見えるのは、よくデートをした公園のようだった。気がつくと、私が座っているところも、公園のベンチとなっていた。私の服装も、美愛がよく着ていたフェミニンなブラウスとタイトスカートに変わっている。


ということは、今の私の姿も美愛になっているのだろう。


優慈は私に手を差し出した。私はその手につかまって立ち上がった。


「美愛、あの日、俺は美愛に言いたいことがあったんだ」


優慈は私の手を離すともう片方の手に持っていた小箱を、見せるように持った。蓋を開けて中を見せる、優慈。


「美愛、俺と結婚してください。一生を共に過ごしたいと思うのは、美愛なんだ」


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