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お兄様も私もゲームの悪役にはなりません!  作者: 山之上 舞花
裏本編!(本編に入らなかったあれこれ)
19/51

13 告白 ― コチュリヌイ国消失の真実 その2 ― 

◇シェイラ・リ・ラドランシュ


私は息を吐き出した。


「兄が受け継いだ天命の力は、今は私に引き継がれています。そしてこの力のおかげで、アングローシアの先王陛下と密約を交わすことになりました」

「密約?」


私は夫、ハロルドの言葉に頷いた。




ヴェインの母親であるアソシメイア公爵夫人は、この計画の要の人物だった。王が見た中に、コチュリヌイの公爵令嬢が、アングローシアの侯爵家に嫁いで生まれた娘は、強大な魔力を持つだろうというものがあったのだ。そのため彼女の母はアングローシアの侯爵家に嫁いだのだ。そして本当に彼女が生まれた。その彼女を中心に召喚をすることになっていた。だから、まさか結婚して夫と共に来ることになるとは思っていなかったのだ。


彼女は母の祖国のことを密かに母から知らされていた。だから恋も結婚もするつもりではなかった。だけど侯爵家令嬢として、婚約だけはしなくてはならなくなり、彼女は考えた。婚約者に嫌われて婚約破棄をされようと。だけど、アソシメイア公爵子息は一筋縄じゃいかない人物だった。結局気がついたら式をあげて、新婚旅行を兼ねた外交の赴任地として、コチュリヌイに行くことになってしまった。


コチュリヌイに来た彼女は、王家の女性だけのお茶会の時に謝り倒していた。だけど、兄がみた天命の内容を聞いて、一縷の望みを見つけた。このままだと夫であるアソシメイア公爵を巻き込んでしまうと思っていた。それが自分が子供を産みその子を夫に託せば、夫と子供は生き残れるという希望がもたらされた。


そうして妊娠、出産をした彼女。結局、アソシメイア公爵は息子のヴェインを、従兄弟のラドランシュ公爵に託して、妻を迎えに戻ってしまったのだけど。それでも、彼の血筋は残されることになったのだった。


それから、あの時にあと少し、私達が国境を超えるのを遅くしていれば、二人は助かったのかもしれない。ミランジェと話してわかったことだけど、神は無理やり連れてこられた二人が魂だけになってしまったことを憐れんだ。赤子の中に魂を眠らせて、二人が休息を出来るようにしたそうだ。そして、二人が依り代にした二人は必ず助けるつもりだと、語りかけてきたそうだ。


そう、あの時の召喚の真実はここにある。天命の力で、魔法がない世界に変わると判った王は、魔法に変わるものをどうにか用意できないかと模索した。その結果、別の世界の記憶を持った召喚者なら、どうにかできるのではないかと考えたのだ。そうして、最後の召還に望みをかけることにした。


だが、要の彼女がアソシメイア公爵夫人となったことで、未来は変わってしまった。それはいい方向なのか、悪い方向へなのかは、わからない。だけど、本来一人ずつしか召喚できないとされる魔法で、二人を召喚することになること。そのせいで負荷がかかり、魔法陣が崩壊すること。中途半端に召喚された二人は魂だけになってしまい、依り代として、無垢なる者の中に眠ることになること。


これが、兄が見た天命だ。依り代となったのは生後六か月のヴェインと生後一か月のミランジェ。もう、コチュリヌイを出ることが適わなかった国民の中で、私だけが国を出れた理由でもあった。本来なら母である王妃がミランジェに付き添うべきだったろう。だけど、王妃は国王である兄と共に残ることを決めた。そこで、ミランジェを守り育てる者が必要になる。それが私だった。ミランジェを抱いていたから、国境を越えることが出来たのだ。


私は一人だけ助かることが解っていた。これも兄の天命の力でわかっていたことだ。変わった天命の内容で鍵になったのはラドランシュ公爵家令息のハロルド。アソシメイア公爵の従兄弟であるというのも大きかった。そのハロルドと私は正しく『運命の恋人』だった。恋に落ちた私達を皆が祝福してくれたのは、私達に希望を見出していたというのもあった。


コチュリヌイ国が国民と共に消滅することになったのは、神々が立てた計画の邪魔をしたから。神はこの世界から魔法を失くすために、召喚の魔法陣が描かれた遺跡を使うことにした。人類の寿命は長くて八十年くらい。三代も代を重ねれば記憶も薄れて、遺跡に手を出そうとするものが現れると踏んだのだろう。現にそういった人が現れたのだから、神々の思惑も外れたものではなかった。そして、魔法陣を使えば魔素がごっそりとこの世界から無くなるように仕向けたのだった。



だが、神々にも予測できなかったことがおこっていた。神々の中にこの事に反対するものが現れたのだ。その神は他の神々の怠惰を責めていた。召喚があれほど行われるまで放置せずに、しかるべき処置をするべきだったと言ったらしい。他の神々は年若い神の言葉を、笑って聞き流していた。


その神はある善良な人物を選び、『天命の力』を与えた。その力を正しく使ったその者を、その神は見守り続けた。彼の神の選択は正しかった。この世界を憂うその者の子孫に、神はこの世界の命運を託すことにした。


『天命の力』これは本当は、彼の神がこれから先に起こるだろうことを、見せてくれたもの。未来視で一番可能性の高い、そして最悪な未来(こと)だった。


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