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暗い家が明るい家になりました

作者: がんぐろ♂

「行ってきます」

誰もいない家に一言言って家を出た。なに、気にすることはない。いつもの事だ。僕は権原来威(けんげんらい)一点を抜かせばどこにでもいる普通の高校2年生だ。僕には両親がいない。家だけを残し小学5年生の頃に突然姿を僕の前から消した。両親の祖父母はもう他界しているため、それからは毎日1人で暮らしてきた。義理ではあるが妹が1人いるということは聞いていたが会ったことはなかった。いつもの通学路を通って僕の学校である私立栄盤高校に向かってた。またいつもの日常が始まるなどとどうでも良いことを考えながら自宅と学校の途中にある中学校の前を通り過ぎようとしていた。いつもならあんぜんめんを考慮して中学生が沢山いる学校側の道路は通らないようにしているのだが今日は考えごとをしていたせいなのか、学校側の道路を通っていたことに気がついた。中学校の校門前にある横断歩道を渡り反対側に行こうと信号待ちをしていたときだった。突如後ろから声をかけられた。

「もしかして…来威…?」

今にも持ち帰りたいぐらいの可愛らしい中学生の女の子だった。誰だ?もちろん初対面の顔だった。しかし何故僕の名前を知っている?

「そう…ですけど…君は一体…?」

「来威!来威だ!私だよ!華怜だよ!権原華怜(けんげんかれん)!あなたの妹!義理だけど…。」

びっくりした。こんなに可愛い女の子が僕の妹でしかも義理だなんて。結婚できるではないか。しかし今までどこで暮らしていたのだろう?などと聞きたいことはまだあったのだが、今は登校中、しかも中学校校門前。中学生達の視線が痛い。完全に不審者扱いされているような目で見られていた。そのため放課後もう一度会う約束をした。生徒会の仕事があるとのことで学校が終わったら連絡をする約束をし、連絡先を交換してひとまず学校へ行った。そして時間は過ぎ、17:30分偶然近所の公園へと呼び出された。華怜はもう先に来ていた。華怜のとなりに座りさっそく聞きたいことを聞いてみた。

「華怜ちゃん、君は一体どこで誰と暮らしているの?両親は?」

華怜は何故か俯いてしまった。何かいけないことを聞いてしまったのかと思い謝っていると華怜は顔を上げて言った。

「あのね、私…両親もういないの。6年前ぐらいに私を家に残して出て行っちゃったんだ。それと華怜で良いよ。お兄ちゃん!」

鳥肌が立った。6年前、つまり僕が小学5年。僕の両親が姿を消したのはその頃だ。なんという偶然だ。もしかして運命なのではないだろうか。それとも意図的な何にかなのか…。

「そっか、分かった華怜。」

「私何回も写真でお兄ちゃんの事みてるから朝はすぐ分かったよ!」

「なんで僕の写真があるんだ?」

「私も詳しくは分からないけど義理の兄がいるって教えられて写真を渡されたの。今は額に入れて机に飾っているよ。」

「そっか。」

何故額に入れて飾っているのかは聞かなかった。するといきなり華怜がいきなり涙を流し始めた。僕は訳が分からなかったがその後の言葉で理由が分かった。

「お兄ちゃん…今日初めて会ったんだけど家族にはかわりないよね?私、1人暮らしはもう嫌だよ…。寂しいよ…。これから2人で暮らしたい…。だからお願い…私と一緒に暮らしてください。」

断る理由も無かった。同じ境遇で暮らしてきて更に妹であった。華怜も言ってた通り今日初めて会ったが家族だ。それが嘘であっても良い。全てを知ってしまったのだから。

「うん!僕と2人で暮らそう。そしていつかは結婚しよう。そして新たな家庭を作るんだ。」

「うん!」

華怜はさらに泣き出した。今までの辛さ、今の嬉しさ、色々な感情があるのだろう。僕は華怜を抱きしめた。

「おかえり、華怜」

「ただいま、来威」

僕たち2人は高校2年生と中学3年生だが婚約を交わして2人一緒にあの誰もいない僕の自宅、いや今日からは2人の自宅になった家へと帰りながら2人笑いながら帰った。

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