授業中、急な異世界転移
私、永野水樹は普通の女子中学生を満喫していた。
まあ普通というよりかは友達が少なめでテストも平均より少し下目…なだけだった。
腐女子であるとか、ゲームオタクであるとか、そんなのとは余り関わりはなかった。
ただ少し、異世界転生モノの小説が大好きで、周りより少し違うものを持ってるだけで。
私の右目は産まれた時から緑色をしていた。
自分で言うのはなんだが、エメラルドのような宝石の輝きを持った明るい色だ。
なので親が「私がイジメに遭わないように」と「事故で右目を失った」という理由で
眼帯をつけみんなには見せないようにしている。
もちろん先生にすら内緒だ。
よくオッドアイは視力が悪いという話を聞くが、私はそうは思わない。
なぜなら、今までずっとAだからだ。
7年間ずっと視力検査でAをもらっている。右目はないので左目のみだが。
そこだけは誇れる。
そうして、ある日の五時限目。
数学だった。
あと数ヶ月で2年生になると言うのに、まだまだ心が子供な男子が騒いで、
それを先生が注意して…を繰り返して鳴るチャイム。
私は少し寝そうになっていた。
キーンコーンカーンコーン…
コーンカーンキーン…
最後の音が鳴らない。壊れたのかと先生も気にしていた。
私も気づき、チャイムに目を向ける。
すると、緊急放送のチャイムが鳴った。
ピーンポーンパーンポーン…
≪えー、皆さん、二階の三年生の教室にて緊急会議です。
静かに移動してください。≫
こんな放送を聞いたのは不審者侵入を予定した避難訓練以来だ。
つまり、三年生の教室に不審者が現れたと言うことだ。
先生が先頭に運動場への避難を開始する。
しかし、ドアが開かない。
ガタッ…ガタガタッ…
「おい、どういうことだ、これ!?」
先生は必死でドアをガタガタさせる。
しかし、開かない。
「皆さん、お静かに」
背後から聞き覚えのない声が聞こえる。
「だ、誰だ!?」
クラス全員がほぼ同時に振り向いたかと思うと、一瞬で意識が飛ぶ。
意識が戻ると、白い部屋に私たちはいた。
周りがざわつき、先生の不在に気づく。
先生がいないという不安で更に騒ぎ出す。
「皆さん、お静かに」
凛とした一言に、一瞬で空気が張り詰める。
と同時に、「こいつは怒らせちゃダメだ」という本能的な恐怖が湧き上がる。
「そろそろいいですか?わたしたちはあなたたちに協力を仰ぎたいのです」
しかし、その姿はまるで小学一年生のような姿だった。服装は除いて。
まるで女王のような王冠を頭にし、すごくおっとりとした派手でもなく地味でもない、
慎んだ色のドレスを身につけ、赤い靴を履いていた。
「す、すこしいいですか…?」
クラスのリーダー的存在の「重盛 輝」が手を挙げる。
「ええ、どうぞ。」
「ありがとうございます。
あの、ここはどこですか? あなたは誰ですか? あと、私たちはなんのためにここに連れてこられたんですか?」
少し間を空けて王女のような人は話し出す。
「1つ目の質問の答えは、ここはグランウィーネという私たちグラン家が治める王都です。
2つ目の質問の答えは、私はグラン家の王女、オルタレッタ・グランです。オルタ、と気軽にお呼びください。
3つ目の質問の答えは、あなたたちは私たちを救う勇者として魔王討伐を目的として転移させた勇者の卵です。
魔王を討伐してもらいたいのです」
真剣な目でこちらを見つめる。その眼は嘘ではないことを訴えかけている。
「ま、魔王とは…? 転移って…?」
と、クラス全員がざわつき始めた中、私は内心ドキドキとワクワクで満ちていた。
あの夢にも見た異世界転移!
もしかしたら私もあの主人公のようにチートに…!
と、これからを夢見ていた。
すると、オルタは
「では、1つ1つ、最初から説明しましょう」
と、白い壁に1つの模様を写し出した。