妖怪ミュート
そう こんなに
イライラする日は
時間軸すらどうでも良い
空間を食べてくれる妖怪
僕の横へ来てくれないか
瞬間だけ食べて
無かった事に
無かった日に
してはくれないか
そう こんなに
悲しくなる日は
お日様なんてどうでも良い
心を食べてくれる妖怪
僕の横へ来てくれないか
この気持ちだけ食べて
無かった事に
無かった日に
してはくれないか
タッチパネルに
色鮮やかな花が咲いて
機械的に振る舞うから
時間なんて無い
心なんていらない
闇夜の彼方に
声が掠れて
雪が降り舞うから
顔に張り付いた寒さに
涙を祈るのです
そう こんなに
寂しくなる日は
親切心なんてどうでも良い
命を食べてくれる妖怪
僕の横へ来てくれないか
この命だけ食べて
無かった事に
無かった日に
してはくれないか
そう こんなに
虚しくなる日は
向上心なんてどうでも良い
明日を食べてくれる妖怪
僕の横へ来てくれないか
この明日を食べて
無かった事に
無かった日に
してはくれないか
帰り道に
道端で転んで笑われた
平常心を装うから
今迄を要らない
これからをくだらない
部屋の窓に
拭いても落ちない汚れ
命が汚いから
時間の短縮を効率的だと
考えてしまうのです
そう こんなに
無感情になる日は
どれが要らないか分からない
何かを食べてくれる妖怪
僕の横へ来てくれないか
そして
その何かを教えてくれないか
食べる前に 食べる前に
教えてくれないか
食べる前に 食べる前に
空っぽの理由を