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エリートぼっち  作者: いちの月
はじまるよ
9/31

おひるごはん!の時間

 エリートぼっちは1年の頃ひとつ大きな悩み事を抱えていた。


 それは、昼飯を食べる場所である。

 第一候補、教室はアウトだ。リア充の集団が無数に発生し、ぼっち専用酸素が減る。

 

 次に、物陰はどうか。

 駐輪場や階段下などは考えたが、どうも出来たてホヤホヤの焼き芋カップルが散発的にそう言った見えない場所で何やら昼を過ごすらしい。そんな、アメージングなフィールドにいたらクー○ードリンク10本あっても彼等の熱気にエリートぼっちは干される。エリートぼっちのリア充カップルへの抗体は過剰反応を起こす、アナフィラキシーショック付きなのだ。


 最終的に決まったのは、屋上に繋がる最上段の階段に腰をかけると言う、至ってシンプルなスタイルだった。


 案外ここがいい場所で京平はほぼ毎回こうしてこの最上段で昼飯をとる。


 この学校は屋上を開放しておりその扉の防音性に長けているやなんの。

 至極、リア充達を収容している気分になれるオマケ付き。


 購買のパンと自販機に唯一100円価格を保持するナチュラルミッツォーターを買い、リア充達が全員屋上に上がったころを見計らい、奴等が解き放たれる前に昼食を済ますのである。


 まあ、それでも運悪く数人と鉢合わせになる時もあるがまず、向こう側が俺の事を相手にしない。スルーで終了だ。

 勿論これは相手が自分の事を知らなければ、の話であり、時には知ってる時もある。


「えへへ、みーつけた。あんたここでお昼食べてんの?」

 唯一条件に当てはまる奴がいま、京平との距離5メートル(※目測)。

 

 後ろに逃げようとすればリア充の餌食になる。前方から強行突破を図れば俺の足が無事では済むまい。

 なんというパーフェクトな包囲網。

ぼっち包囲網ランク200ですか?


「何しに来た?」

「もっとそこはエロゲー要素含めて質問してよ。つまんない」

 別にお前を楽しませるために俺、生きてないからね??はてな2つ付いたよ。

 ツーはてなツーはてな。


「お前の話のエロゲはコミュニケーションスペックが高すぎてそれを基準にされると俺は期待には添えない」


「アハハって、ってえぇっ。知ってたの?」

 既知かどうか、ワザと際どいラインの物を話してたなこの確信犯め。


「知ってるっちゃあ知ってるけど、お前の入り込み具合には追い付かない」


 パンを頬張る京平の横に腰を下ろす関口。

てか、スカートみじかっ。三角布かよ。


「……やっぱ、迷惑だった?なんか昨日話しててもあんたの反応素っ気ないし、薄々そーなのかなーって」

 薄々じゃねーよ。こっちは濃々だわ。

てか上目遣いやめれ、ほんと勘弁。


「まああんま気にし無くてもいいけど昨日と同じメールの文量だったら無視するからな」


「ありかと…、えっ超気にするじゃん、それっ!」


「もう少し会話のキャッチボールを成り立たせてくれって事」

何言ってんだ、俺。今日無視するんじゃなかったのか?


「わかった!がんばるんっ」


ホントこいつエロゲの話になると、人変わるよな。なんと言うかオタクゾーンド真ん中直球ストレート。


「それとさあんた。私はお前って名前じゃなくてね関口 渚って名前がちゃーんとあるの」


「ソレハオドロイタヨ。マ○オ」


「だから、これからは関口って呼んでね」


「関口くん。君は俺の事をなんて言っているか覚えていらっしゃらないのか?」


「あんたの名前を呼ぶのは……まだ、無理」

 理不尽だ!いくらなんでも酷い。

朝から何なんだ。

よく俺怒んない。俺めっちゃ大人。


「関っちだよね?なんでそんな奴と喋ってんのさ」

 KYダブルコンソメパンチ来たー。

最高に面倒くさい。


ガチャリ……


「そんな奴と何してんの。関口」

鶴見くんではないか。

あれぇ〜ピンチじゃない?

俺じゃなくて関口が。

だから話しかけんなって言ったんだよ。弁護士でも税理士でもねぇ俺にリア充の事情を持ち込まれても困る。

 まあ自分で話しかけてきたんだからこいつが悪いよな。


……なんつーか、その責任の一端の一端の一端くらいは俺にもあるわけで、

ここでなんか言っとかないとさ放課後のネトゲライフに支障が出るんだよな。

 昨日は関口に邪魔されたから、今日こそ万全の体制でやりたいっつーか?

 それだけの為だから別に気にすることないよな。


 京平は残った昼飯の入った袋を片手に持ちのっそっと立あがる。


「いや関口さんってアニメとか好きじゃないのかーそっかー。俺はねマルマルキャニオンのヒロインがすげー可愛くてね。関口さんみたいだから、つい引き止めちゃったんだー今日の朝もチラ見してごめ 」


鶴見「おいっ、てめぇキモいぞ。いい加減関口から離れろよ」


コンソメ「そんなキモオタだからぼっちなのよ。さっさと関っちから離れてくれない?」


 おーおーどちらもお目目がドギツイぜ。


鶴見に首根っこ捕まれ、階段後方に追いやられる。

「あっ、あっ、せ、関口さんっ」


コンソメ「それ以上口開いたら、マジ手加減しないわよ」


「……すみませんでした」


京平が階段を降りきったと同時に2人が関口をあやす声が聞こえる。

コンソメ「大丈夫?関っち」

鶴見くん「おい、平気か?」


 京平は覚束ない足取りで教室へとむかった。 


 お昼が終わり、京平はトイレから出る途中、オンにしっぱなしのガラケーが震えるのに気づく。


【From関口 ばか。】


 今日も少しくらいならメール付き合ってもいいかな。

 ネトゲの合間に期間限定でだけど。

ここまで画面をスクロールして下さって、ありがとうございます。

 

 京平くんはエリートぼっちの鏡ですね。

2人の今後をどうか温かい目で


 では、また次回話で!!

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