林間学校『前半!』の時間
いよいよ、長編話。
予定では林間学校編を3話に分けて投下したいと思います。
ともあれ、落ち着きつつ日々を過ごせている。例の件が合った以降コンソメグループから少し目線を感じるが、隣の席になった関口とも特にリアルでは話すこともなく、メールだけをして1週間近く過ぎていった。
ある日の授業中
ピシッ
何かが京平の机の上に飛んでくる。
誰がやってくるかなんて直ぐにわかった。
隣の関口がノートの端をちぎり必死に書いているのが見えた。
うちの母上がそれ見たら激怒すんぞ。
あの方、まじ、怖い。
家族を仕切る母上は古代エジプトのファラオですら服従せざるをえない。
この間、テストの順位が10の桁1つ下がっただけで、ぱーそなるこんぴゅーたーが売り飛ばされる寸前までになった。
基本的に俺は母上に逆らおうとはしない。背負っているリスクが大きすぎる。
無視して板書を移し続けると、ボディーブローが入り即座に紙片を開く。
『080**** メールは疲れるから今度から電話しよ』
ふざけんな、こら。ネトゲと同時進行できねぇじゃねぇか。
どんだけエロゲトークしたいんだよ。
京平は同じ紙にペンを走らせる
『断固拒否する』
ペシッ
早いよ、はよいよ返信。授業に集中しなさいな。
『別にいいわよ、教えてくれなくたって』
うわーまじかー、って?!ん?
なに関口が諦めただと、一体何が始まるんだ。京平は並々ならぬ恐怖に追われていた。何か見落としている!メガネかけた小学生ペルプミー。
『いいのか?教えなくて』
『もう知ってるもの』
京平は紙片をくしゃくしゃに破り捨てた。こいつ赤外線通信で電話番号まで送信しやがったな。
最近、関口のせいでネトゲをやらなくなる日が多くなった。久々に土日に籠城戦をしたくなってきたぜ。
よし!今週は籠城するぞ!おぉ!
ペシッ
何だよ、まだ言いたいことあるのかよ。
『今週の土日林間学校だよね、班一緒に組まない?』
俺の夢のネトゲライフゥゥゥウ。
すっかり、忘れてた。週末の2日間ぼっち殺しのイベント開幕じゃないか。
お泊りとかぼっちは野宿してればいいの?元に居場所ないやん。
『絶対にやだ』
だからボールペンで消えないように強くなぐった。
ペシッ
『年中無休で毎晩電話したいの?』
『ぜひ!一緒に組みましょう』
『最初っからそう書いてくれればいいのに〜』
ホントこいつウザさ増し増しになってるな、何なんだ。
豚骨ラーメンに牛脂盛ったんじゃねぇの。しつこさ的にギットギドだからね?
どんだけ食い下がっても、俺が生きている限り何も終わらねぇっとか言い出しそうで、関口さんマジ怖い。
結局次の時間のHRで班決めがスタートした。
「鶴見くん。私達の班にこいついれるからっ!」
ちょまてぇぁい!
殺す気か?ん?ライオンのオリにチキン入れたらどうなるか分かんないの、この子?
「分かった。よろしくな、えーっと、三笠」
あれ和解してるの?これ、食わないのチキン。オイシクナカッタカ
今一状況が呑み込めない京平。
「ちょっと、他の事決めといてね。うちとこいつは写真係とかでいいから」
と関口は班員に言い伝え、京平をヘッドロックしたまま廊下へ引きずり出した。
血の気が失せかけて来た頃やっと開放。
「何した」
「エロゲーの応用よ」
腰に手を掛け自慢気に語りだす関口。
「私があんたの事好きで、手出したら怒るよって言ったの、どう?凄いでしょ?!」
「危ねぇ橋わたんなよ」
「あんただってこの間、渡ったでしょ。危ない橋。お互い様よお互い様」
なんか、とにかくむかつくな。
エロゲーを応用したんじゃなくて俺のナイスプレーパクっただけだろ。
「痛いわっ」
足を踏まれた。最近、こいつの言動の理由が分からない。
「あんた周りからの扱いが普通になったのよ。お、お、お礼とかないの?ふつー『ありがと、マイエンジェル』とかさ」
マイエンジェルがふつーの部類だったら世の中の比喩表現が緩急無くすわっ。
「つか、あいつらに関口が俺の事を好きって流通してこその橋渡りだよな、それ。
まさかとは思うけど結果に喜んで被害に気づかなかった、とかないよな」
俺の場合の被害はあの2人にキモオタ認識が植えついた事によるものだったから、関口のした事の反動は当然こうなる。
顔が真っ青になり
「あ……。」と関口が言った瞬間に京平は今まで味わった事のない沈鬱な顔をしただろう。
「とりあえず、ありがとうとは言っておく。けど今度から無駄な事するな、いいな?」
シュンとなって泣きそうになる関口。
「うぅぅ……。」
「あぁーもう泣くな。嬉しいって関口が俺のために動いてくれてたこと」
「……ほんとに?」
はぅ。上目遣いと潤目とか反則。
「あ、あぁ、本当だ。だからもう無理するな」
「……はい」
ここまで画面をスクロールして下さって、ありがとうございます。
関口さんの急変ぶりに京平くんはついていけるのか!?
感想ほしいです。
では、また次回話で!