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救世主

 二人は死んでいなかった。

 なぜなら、異星人の上半身が斬り飛ばされたからである。

「……!?」

 二人はお互いに顔を見合わせた。

「生きてる…… よな?」

「うん…… 生きてる」

「天国じゃないよな?」

「それにしては風景がさっきと変化していない気がする」

「天国? 何言ってるんだお前らは?」

 二人の耳に、聞き慣れた声が響いた。

 それは、傷だらけになったライラであった。

「ライラ姉!」

「大丈夫だったかお前ら? 私が来なかったら死んでたぞ」

「ライラさん…… 何とお礼を言ったらいいのかしら……」

「お前ら。言っておくがまだ終わってないぞ。後ろを見てみろよ?」

 二人が後ろを振り向くと、大量の異星人がうようよしていた。

「異星人! 一匹じゃなかったのか!?」

「逃げても、私達の脚なら追いつかれちゃうよ!」

「私に任せろ」

 ライラは両手に持っているブレードの血をハンカチで拭きながら言った。

「私が、あの異星人共をできる限り排除する。 その分、お前らが死ぬ確率は低くなる」

「駄目よ! ライラさん一人を残すなんてできっこない!!」

 マーベルは涙目になりながらライラの袖を掴む。

「マーベル。 お前はジークに負けないほど優しいな。 将来はいい嫁になるぞ」

「そんなこと言ってる場合じゃない! 一緒に逃げてよ!」

 マーベルは駄々っ子のように泣き叫びながらライラの袖をさっきよりも強く引っ張った。

 しかし、その手は彼女の袖から離れた。

 ジークが、マーベルの首に手刀を叩き込んだのだ。


「悪いなジーク」

「いや、マーベルは自分の意思を絶対に曲げないからな。 今は気絶している」

 ジークは気絶しているマーベルを背中におぶる。

「そして、三人死ぬのと一人死ぬのじゃ後者の方が効率的だからな」

「お前は本当に子供とは思えないなー」

「からかうなよ。 こう見えても涙腺崩壊寸前なんだぜ?」

「……なあジーク」

「何だよ?」

「じゃあな」

「おう」

 ジークはそう言ってマーベルをおぶりながら走った。

 彼の眼には、涙が溢れていた。


 

「行ったか……」

 ライラは二人を見送ると、異星人の群れに向かって右手のブレードを向ける。

「覚悟しろよお前ら。 このライラ・カリアロード様が相手だ!!」

 彼女の体は、正直を言うと、もう限界だった。

 しかし、彼女は逃げることよりも戦うことを選んだ。

 大切な人を守るために。

 息を大きく吸い込んで、ライラ・カリアロードは異星人の群れに斬りかかった。




 数時間後

「異星人はもういないようだな」

「そのようですね」

 二人の援軍の指揮官は、異星人が既にいないことを確認した。

「しかし、前代未聞だな。 緊急警報がなった直後に異星人が来るなんて」

「見張りの人選が悪かったんでしょうかね?」

「そうかも知れないな」

 まるで他人事のように二人は言った。

「おかげでここの防衛軍は全滅らしいですね」

「たかが百人ほどだったらしい。 元々、この街は捨て駒だったらしいからな」

「それも新人兵ばっかでしたしね。 上層部も人が悪い」

「まあ、俺らには関係のない話だ。 むしろここで命を落とす必要がなくなって喜ぶところだな」

「じゃあ帰って女とでも遊びます?」

 そう言った指揮官の足に一人の女性の死体が当たった。

「あ、防衛軍の制服。 一体誰だろ?」

 指揮官はその顔を見ようとするが、もう一人に肩を叩かれる。

「何ですか?」

「おい…… ちょっとこの周り見てみろよ」

 指揮官が見回すと、大量の異星人の死体があった。

「異星人の死体しかないじゃないですか。 キモいったらありゃしない」

「そうじゃない。 少し考えてみろ。 

ここにいる死体の女が、奴等を殲滅させたことになる」

「それが?」

「この女。 相当の実力を持っていたな。 こんなところで死なせておくのは勿体無い」

「死んだものは別に元に戻るわけじゃないし、そんなこと言ったって仕方ないですよ」

「それはそうだが……」

「それに、こいつ満足そうな顔してますし」

 その女性の顔は、指揮官の言ったとおり満足そうな表情を浮かべていた。

 まるで何か大きなことをやり遂げた顔だった。

「こいつは俺達で埋めてやろう」

「ええ」

 二人は後ろの兵士に命じ、穴を掘らせてそこに彼女を埋めた。

 

 

 






 


 

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