ジーク・フリードリッヒ
「ねえ。 ライラ姉は何で『防衛軍』に入ったの?」
黒味がかった茶髪の幼い少年、ジーク・フリードリッヒは公園のベンチで隣に座っている少女に興味津々に尋ねた。
「決まってるだろ? お前らを異星人から守るためさ!」
真紅の長い髪をポニーテールに束ね、容姿端麗でスタイル抜群な少女、ライラ・カリアロードはそう答えてどんと胸を叩いた。
「格好いいな。 俺もライラ姉みたいになりたいよ。 ねえ? 俺もそこに入っていいかな?」
「何言ってるんだ。 お前はまだ11歳だろ。 私みたいに16歳にならなきゃ入れないぞ」
「そっかー。 なら16になるまで気長に待とう」
「それも駄目だ」
「何でよ? 16になったら入れるんだろ? 厳しい入学試験があるらしいけど、これでも運動神経には自信があるほうだし」
「駄目だって言っているだろ!」
ライラはそう言ってジークの肩に手を置いた。
「あんな入学試験…… お前には絶対に味わせたくなんてない」
「そうか。 ライラ姉は俺のこと心配してくれているのか。 お礼といっては何だけど俺がライラ姉の頭を撫でてあげよう」
ライラの心情を察したジークは、彼女の頭を優しく撫でる。
「ジークは優しいな。 とても異星人を殺せるなんて思えない」
「ライラ姉。 俺はね、異星人の脅威から人々を守りたいんだ。
そのためだったら、俺は人殺しにだってなるよ」
「……お前はほんと、子供らしくない子供だな」
「それは俺の身長を言っているのかな?」
コンブレックスを気にしたジークがライラをジト目でみる。
「お前今何センチ?」
「135だけど?」
「年齢は11。 やーいちび!」
「う、五月蝿い巨乳!」
そうジークが言ったときだった。
『異星人出現! 異星人出現! 一般人の方は速やかに避難、
ここに駐在している防衛軍の方は速やかに戦闘準備を整えてください!』
「ジーク。 緊急警報だ。 いきなりだがお前は家族と一緒に逃げろ」
「ライラ姉は!?」
「私はこれから異星人の駆除に向かう。 何、これがあるから大丈夫さ」
ライラは腰に下げていた二つのブレードを持ちながら言った。
「それと、マーベルのことも心配だ。 もう既に逃げているとは思うが……」
「心配するなよ。 マーベルは俺が守る」
「頼もしい男だこと」
そう言ってライラは走り去っていった。