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就活中の出来事

 一話目という事になります。

 では皆さんが読んで頂けたのならば幸いです。ではよろしくお願いします。

 金指優馬は就職活動のために東京に来ていた。慣れないリクルートスーツに身を纏い、革靴を履き、カバンを持ち満員電車に揺られたいた。優馬は生まれてこのかた、満員電車に乗った事が無かった。最初の頃は、初めて経験する満員電車の窮屈さに心身共に疲労していたがそれも段々慣れていった。優馬が東京に来た事があるのは中学生の頃の修学旅行の時だけだ。その時の自由行動も優馬が電車に乗るのを嫌がりホテル周辺しか移動しなかった。しかし、今は我儘等言っている場合では無い。景気が悪化し、去年の内定率よりさらに低くなるだろうと言われている時代だ。優馬も大学がある北海道から東京まで来て様々な企業の説明会、面接を行っている。しかし、内定は貰えていない。

 




 駅に着き、優馬は友人の家を目指した。二週間近く友人の家に寝泊りしているのだで、優馬は申し訳ないと思いながらも他に頼える友人もいなかったので、頼らざるを得なかった。東京に行くまでにお金が掛かるのに、宿を借りるなんて事は出来ないのだ。マンションやアパートを借りるにしても値段が高いために借りれない。

 友人の家に着き入ると部屋の中からソースの焼けた香ばしい匂いがした。中に入ると、部屋の借主の友人、大沢が料理をしていた。

「お、おかえり!今日の晩御飯はお好み焼きだぜ!」

フライパンを手に持ち、ガスコンロで料理を作っていた。大沢に何から何までしてもらっていた。

「ありがとう。ほんとに世話になりっぱなしだね、大沢。」

「小さい頃からの仲なんだから気にするなよ!」

大沢と優馬は同じ地域に住んでいて、小学校から高校まで一緒だった。家も目と鼻の先にあり、よく大沢が大沢の母親に説教されている声が優馬の部屋に聞こえた。

「んで、今日は面接だっただっけ?手応えはどうなのよ?」

「わかんない。どうなる事やらね~」

優馬は肩をすくめて喋った。大沢は優馬と違い、既に二社ほど内定を貰っている。もうほとんど就職活動が終わったと言っても過言では無い。

「出来た!よし、食べるか。」

大沢はフライパンからお好み焼きを皿に移し、四等分に分けた。その皿をテーブルの上に置き、ご飯を茶碗に入れて二人は夕飯を食べ始めた。お好み焼きをおかずにご飯を食べているからと言って二人は関西出身ではない。本州最北県の青森県出身だ。

「ところでよ、佐々木春香って覚えているか?」

食べながら大沢は優馬に話しかけた。

「うん、春香がどうしたの?そういえば全然会ってないけど。」

「東京で働いているってよ。この前の同窓会で誰かが話していた。」

佐々木春香という人物は大沢、優馬と同じ地域に住んでいて幼少から一緒だった。高校は違う高校だったのでそれ以降優馬は会っていなかったのだが、優馬は春香の事が好きだった。

「そうなんだ…」







 夕食が終わりテレビを見ていたら夜中になっていた。明日はある会社の面接があるために早く寝なければならなかったのだが、中々寝付けずにいた。優馬はタバコを一本吸ってから寝ようと思い、ベランダに出た。大沢と違い自分は内定を貰っていない。その不安が優馬を焦らせていた。それともう一つ、

「どうしようかな~」

この大事な時期なのに優馬の頭の中には、大沢から聞かされた春香の話が残っていた。優馬は今も好きかと言われたら解らないが、中学生の頃は間違いなく好きだった。いや、今でも特定の女性と付き合っていない事を考えると今だに好きなのかもしれない。

「もう一本吸ってから寝よう。」

ポケットの中にあるタバコケースを取り出し、一本取り出し、口に加えて火を付けた。口から吐き出される煙を見つめながら、優馬は春香と就職の両方を考え続けた。










 優馬が目を覚ました時には既に大沢は起きていて朝食を作っていた。優馬は体を起こし洗面所へと向かった。

あれから優馬はタバコを吸い終えるとすぐにソファーに向かい体を横にしたのだが、なかなか寝付けれずにいた。その証拠に、目の下に隈を作っていた。

「朝食作ったぞ~って、すごい隈だな。さてはあれだな。春香の事でも考えて寝れなかったとか?」

大沢が笑いながら語りかけてくる。優馬が何故解ったのかという顔をしていたら、

「何でわかったのかって顔してるな?そりゃ、春香の話ししたらお前いきなりそわそわしだしたもんな。馬鹿でもわかるわ。」

と、笑いながら答えた。優馬自身は顔に出ていない、と思っていたのだろうが、見る人が見たら解るほどに動揺していたらしい。


朝の満員電車に揺られながら優馬は面接会場へ向かっていた。今日面接する企業は少しおかしい経緯で面接まで取り付けた。

優馬がインターネットで求人を調べていた時に見つけたのだが、採用事項が他の会社と少し違っていた。











_____当社の案内が見える方、是非とも当社にお入りください______













これしか書いていなかったのだ。

「なんだこれ?オカルトとかかな?さては超絶ブラックとか…」

優馬は不思議に感じたが取り敢えず会社へ連絡をしてみた。そして、直ぐ様に面接に来て欲しいと言われた。

こんな事ありえない。会社説明会がある訳でもなく、履歴書を送ったわけでもない。いきなり面接である。

(場所も…お茶の水のファミレス?なんだこの冗談は…)

それでも、優馬はご縁があのなら、と思いファミレスを目指している。

「それにしても今日は暑いな…昨日まであんなに寒かったのに」

愚痴を言いながら優馬は会場のファミレスへ向かった。







「いらっしゃいませ~お一人様ですか?」

店内に入るとウエイトレスが優馬の目の前に来た。

「え~と、ここで面接があるから来るように言われたんですけど…でも、ここの面接じゃないし…」

優馬は非常に困惑していた。どうやって自分の状況を説明したらいいのかと。慌てつつ、何か話さなければ怪しまれるのではないかと思い、

「え~っと…アド「あ、やっと来ましたね~!」…え?」

経緯をウエイトレスに伝えようとした時、店内から優馬の元に女性が歩み寄ってきた。そして彼女は、

「すみませんね~、この人私のつれなんですよ~。ってなわけで連れていきますね!」

そう言うと、彼女は優馬の手を引いて店内に歩き出した。いきなりすぎる状況に、優馬は、

「って、すみません!いきなりなんですか?」

と言ったのだが、

「君でしょ?今日ウチの会社に面接しにくる学生って。ごめんね~こんな場所で~。ウチの事務所ここの近くだし狭いからちょっとね。」

と答え、店内を進んで行った。彼女が座っていた席についたのか、彼女は優馬を椅子に座らせると向かい側に座った。

「初めましてですね。私はアドリックの佐々木春香です。この度は当社の面接に来ていただきありがとうございます。」

彼女はそう言うとお辞儀をし、名刺を両手で手渡した。優馬は慌てて、

「帯広公立大学から来ました、金指優馬です。宜しくお願いします。誠に申し訳ないのですが、今この場に名刺を持ってきていないのですが。」

と言い、名刺を持ってきていない事を詫びた後、お辞儀をして差し出された名刺を取った。名刺を手にした後、彼女の名前が佐々木春香、と優馬が知っている人と同姓同名だったので、

「人違いでしたら申し「優馬!?嘘!?本当に優馬なの!?」…はい、って事はあの佐々木春香?」

彼女は優馬の知る佐々木春香だった。その事に優馬は当然の如く驚いていたのだが、春香の方も優馬と同じくらい驚いていた。そして、

「嘘…まさか優馬に素質が合ったなんて…」

と、呟いた。どうやら春香は優馬が面接を受けに来る人物だと知らなかったようだ。考えてみれば当然なのだが、優馬がこの会社の採用案内を見て電話で問い合わせてから面接に至るまで名前を口にしていない。その時は電話の対応をきちんと把握していなかったので流れに身を任せただけだったのだが、考えてみれば優馬は大変失礼な事をしていた、にも関わらず、こうして面接を受けるに至った事自体が有り得ない事なのだが。そう優馬が思っていると、

「取り敢えず、私たちの会社の説明を言うけど大丈夫?」

春香が会社の事を説明しようと優馬に言った。

「は、はい。宜しくお願いします。」

優馬は改まって背筋を伸ばし春香が言う事に耳を傾ける準備をした。人事が昔の友人だとやりにくいのか、いつも以上に緊張していた。

「当社は企業、個人、それらクライアントから依頼を受けて仕事を行う会社です。業務内容も人探し、魔物退治、除霊、等と何でも行います。」

始めは頷きながら聞いていた優馬も、徐々に春香の言う内容に耳を疑った。クライアントから依頼を受けるまではいい。だが、聞き間違いでなければ、人探し、魔物退治、除霊等と言わなかっただろうか。百歩譲って人探しは善しとしよう。そういう企業もあるのだろう、世の中には。だが、最後の二つは聞き間違いであると思いたい。二十一世紀の日本にどこぞの漫画や小説のような事がある訳が無い。

「すみません。僕の聞き間違いでしょうか?」

「何が?」

「業務内容が、人探し、魔物退治、除霊と言いませんでしたか?」

「あ~」

優馬は冷静になれと自分自身に言い聞かせた。慌てるな、これは冗談に違いない。春香の返答は「いや~冗談に決まってるじゃない!優馬の緊張を解そうと思っただけだよ!そんな事あるわけないじゃない!」と喋るはずだ。そのように思い、優馬はそれならば自分が喋るべき内容はこれしか無いと意気込み、

「そうですよね、そんな事「ええ、そうよ。」ってええええええええええええええ?」

優馬は思わずテーブルを叩いて立ってしまった。周りの人がこちらに注目し始める。その視線を感じ取り、恥ずかしくなった優馬は、

「す、すみません。」

と、周囲に謝り、座った。その様子を見ていた春香は、

「なに興奮しているの?嘘だと思った?でも、事実です。私たちの仕事は主に様々な異変を解決する事です。それらの内容が魔物退治、除霊となる場合もあります。」

と、全てが真実である、と言った。優馬は空いた口がふさがらなかった。そんな優馬の様子にかまっていたらキリがないと思い、春香は、

「では、面接を始めたいと思いますけどよろしいですか?」

少々強引であるが面接に移行する事を伝えた。面接を行うと言われ、それまで無かった緊張感が優馬の体を駆け抜けた。

「は、はい。」

背筋を伸ばし、優馬は春香の問いを待った。そして、春香の口が開いた。

「あなたは霊、または人外の化物を観たことがありますか?」

先程の説明といい、第一声に対しても拍子抜けの声を出しそうになった。しかし、それでは相手の思うつぼである。何事も冷静に返せば良いのだ。優馬は何事も無かったかのように、

「いいえ、観たことはありません。」

と、答えた。その返答にただ頷き、春香は次々と質問を行った。その度に、

「なにか、超現象なる物を目撃した事は?」

「ありません。」

「銃、刀剣類を使用、または所持していますか?」

「使用した事も所持もしていません。」

「「・・・・・・・・・・・・・・・」」

優馬の頭の中には馬鹿げている、としか思えなかった。そして、優馬の返答が全て解らないとしか言わない事に春香も困惑しているようだった。そして、

「ええっと、優馬。あなた、私たちの会社の採用案内を見たのよね?」

「はい、もちろんです。採用案内を見て僕が電話しました。」

「じゃあ、何で全く霊も見たことも無い。化物も見たことが無い。あまつさえ保身用の武器にも触った事がないって人がうちを受けるのかしら?」

素直に答えたはずの優馬の返答は、春香に疑問を持たせるのに十分だった。春香の問い詰めは優しそうに見えるが、問い詰められる側になってみると本当に同じ歳なのか疑問を持つくらいに迫力を帯びていた。なぜ、自分はこんなに疑われなければならないのか?そのような思いが優馬の頭を過ぎっていった。

「ちょっと聞いてる?私は真剣に…」

優馬の心がここに無いと思い、春香はさらに言及しようとしたその時、春香の携帯電話の着信音が鳴った。春香は直ぐ様携帯を取り出し、

「はい、佐々木です。はい。すぐ近くですね。取り敢えず現場に移動します。」

と、言った。そして、電話が終わると急いで立ち上がり店を出ようとした。それに対し優馬は、

「ちょっと、何処に行くんですか?」

「話は後!優馬はそこにいて!」

それだけを言い残すと店から出て行った。ますます優馬の頭の中は混乱した。

「アホらしい。帰ろう。」

これまでのやり取りが馬鹿らしくなったのか、優馬はこの場を去る事に決め、席を立ち、店を後にした。
















 優馬が店の外に出ると、何か様子が変だった。先程まであんなに沢山の人がいたのに今は誰もいない。

歩いている人も、立ち止まっている人も、そこら辺の店にも人がいない。そんな街の風景を、

「なんで誰もいないんだろう?」

そう思いながら優馬は駅に向かい歩いた。歩いている途中に、獣の鳴く声が響いてきた。






「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」






優馬が驚いて後ろを振り返ると、そこにいたのは、二足歩行の牛のような生き物がいた。

手にこん棒らしきものを持ち、まるでミノタウルスのようである。

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」

優馬が唖然としていると、再び雄叫びを上げ、化物は優馬の元へ突進し始めた。優馬はそれを見るやいなやさっそうとその場を全速力で駆け出すのだが、

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」

化物はすぐ近くまで来ていた。そして、優馬の近くに追い付いた所で、化物は手に持っていたこん棒を振りかざした。

「うああああああああああああああ」

こん棒が頭を狙って下ろされた時、優馬は瞬時に体を左側に移動し、右手で化物のこん棒を持っている方の腕をいなし、なんとかこん棒を頭に受けずにすんだ。だが、右腕にその衝撃が伝わり、右腕が吹き飛ばされ、体も横に吹き飛んだ。だが、頭部を潰されずに済んだのは、優馬が少林寺拳法を幼少の頃からやっていた事が影響した。体が吹き飛び、二転三転と転がりながら次に優馬が取った行動は、

「逃げるしかないでしょうよ!」

その勢いのまま起き上がり、この場を逃げ出すという事だった。優馬が走りだしたと同時に、化物もこん棒が彼に当たらなかったのに気がついたのか、標的を探し、見つけるやいなやその方向に向かって走りだした。化物の地響きが聞こえたため優馬はあの化物が自分を追いかけているのだと気づいた。

優馬が必死に走った所でそんな物は意味をなさなかった。すぐ後ろには化物が既に追いついていて、そして、またこん棒を振りかざした。それを肌で感じ取ったのだろう、優馬はとっさに右に飛び、

「あたってたまるかあああああああああああああ!」

と叫ぶと同時に化物の攻撃をかわした。さらに、化物の後ろに回り、右足で化物の膝の後ろを蹴った。他の部位よりも足が細かったのが幸いして化物は立ち膝の状態になり、

「取り敢えず、倒れろ!」

優馬は左足で化物の背中を思いっきり蹴った。立ち膝の人を後ろからヤクザキックで前のめりに転ばすように。

優馬の狙い通り、体の全体重を載せた蹴りは、化物を前に二転三転と転がせた。

「少林寺拳法三段を舐めるなよ!」

優馬が優越に浸り大声で叫ぶが、直ぐ様化物は起き上がりこちらに向かって歩き始めた。

基本的にあっちには優馬の攻撃は蚊に刺された程度としか蓄積されていないのだろう。それに対して、優馬はスーツで革靴だ。いきなりの運動と身軽ではない服装が重なり、体力面が徐々に少なくなってきている。消耗戦をするにしても絶望的だ。こちらは一発でも当たればすぐにお陀仏だろう。逃げるにしても直ぐに追いつかれてしまう。まさに絶体絶命なその時、銃声が聞こえたと思ったら、化物が苦しみだした。

「え?」

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」

続けて、二発、三発と銃声が聞こえ、その度に化物が苦しみ四発目の銃声で化物は前乗りに倒れ消えた。

「なんか知らないけど助かったあぁ。」

優馬は安堵してその場に座り込むと後ろからヒールの音が聞こえてきた。

「なんで優馬がここにいるの?待ってなさいって言ったじゃない。」

振り返るとそこにいたのは…右手に銃を持った春香だった。

 読んで頂きありがとうございました!

え~、難しいですね・・・・・・所々、というより全直し状態で、かつそれでも全然なんで・・・もっと緊迫感とか出せるようにしたいんですけどね・・・頑張ります!では今回は読んで頂き誠にありがとうございました!

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