金目当てで嫁いだ私に、夫は毎日宝石を贈ってくる
結婚して七日目、夫から届いたのは花の形のブローチだった。
金の茎に翡翠の葉。花弁には薄紅色の石が嵌まり、角度を変えると朝の光が透けた。
素晴らしい細工だ。
私は心から喜び、胸元へ当ててみた。
「よくお似合いでございます、奥様」
褒めたのは執事だった。
贈り主の席は、今朝も空いている。
「モーリス。伯爵は?」
「すでに書斎でございます」
「あの方は書斎とご結婚なさったのかしら」
「いいえ。奥様とでございます」
分かっている。私も式に出た。
式に出た夫と、それ以来まともに話していないのだ。
婚礼の夜には紅玉の首飾りが届いた。
大粒の石を金の葉が囲み、その下に小さな真珠がいくつも揺れる。婚約中に私が店先で見とれていた品だった。
私のために選ばれた。そう思うと嬉しくて、すぐ身につけた。
夫は港の倉庫で起きた事故の知らせを受け、晩餐へ来なかった。
二日目は翠玉の腕輪。
私は緑のドレスへ着替え、夕食を待った。
事故の後始末で帰りが遅くなるという。
三日目は青玉の櫛。
髪を上げ直した私に、執事が告げた。伯爵は書斎で夕食を軽く済ませるという。
「奥様はどうぞ、お好きなものを召し上がってほしいとのことで」
そのとき初めて、鴨の焼ける匂いに腹が立った。
私が料理人と相談して選んだ献立だった。焼き加減もソースも申し分ない。
向かいに並んだ銀器だけが、一度も使われずに下げられた。
四日目からは、贈り物に合わせて着替えるのをやめた。
耳飾りも指輪も、その翌日の長い首飾りも、ちゃんと喜んで受け取った。
礼状も書いた。もらった物は嬉しいし、お礼を言わない女ではない。
ただ、伯爵の席に皿を並べるかと聞かれると、もう首を振るようになった。
六夜続けて一人で食べた私は、今朝、ついに空席へ文句を言っている。
新婚の朝としては、少々見栄えが悪い。
「お食事がご不満でしょうか」
「お料理は美味しいわ。銀器も綺麗。椅子の座り心地もよろしい」
ブローチを箱へ戻した。
「全部、結婚してよかったと思うものばかりよ」
モーリスは頷いた。
頷かれると、それ以上を言いにくかった。
私は金目当てで、この家へ嫁いだ。
そのことなら夫にも正直に申し上げてある。
◇
「で、望みどおりじゃない」
昼過ぎに訪ねてきたイザベルは、七つの宝石を眺めて言った。
古くからの友人は遠慮をしない。
「毎日これだけいただいて、不幸だとでも?」
「不幸とは言っていないわ」
「そうよね。そんなことを言ったら、この腕輪に失礼だもの」
私もそう思う。
翠玉を一つずつ細い金で留めた腕輪は、手首に沿って滑らかに動く。どこから見ても石の緑を邪魔しない。
飾り棚にしまっておくには惜しい品だ。
「ただ、一緒に夕食くらい食べたっていいと思うの」
「そう頼んだ?」
「お手紙に、早くお戻りくださいませと」
「戻ってはいらっしゃるのね。書斎に」
なんて腹の立つ理解のよさだろう。
私は茶を飲んだ。
「来てくださいと改めて頼むのも、何だか」
「何だか?」
「私の方だけ待っていたみたいでしょう」
「待っていたのでしょう?」
返事をせず、砂糖入れを少し遠くへ動かした。
イザベルは構わず手を伸ばす。
「あなた、縁談のときに何と言ったのだったかしら」
よく覚えているくせに。
「裕福な暮らしがしたいと」
「ほかには?」
「綺麗な物も美味しい物も好きです。結婚してまで欲しくないふりをするつもりはございません、と」
「立派ね」
褒めている顔ではなかった。
ロラン・ベルフォール伯爵は、船と倉庫をいくつも持っている。
伯爵位を継いでから商いを広げ、父の代には傷んでいた屋敷を建て直した人だ。
若い令嬢の好む舞踏会には滅多に出ず、縁談も長く決まらなかった。
右の頬から顎にかけて、火傷の痕がある。
初めて会ったときには、私も驚いた。
けれど目を逸らすより先に、出された菓子の大きさを見てしまった。実家のお茶会で二つに切って出されるものが、丸ごと一つあったのだ。
伯爵は私の視線に気づき、皿を近くへ寄せてくれた。
無愛想だと聞いていたのに、その手つきは優しかった。
「ご存じだとは思うが、私はあまり面白い男ではない」
そう言うので、私は答えた。
「面白い話でしたら、私がいたしますわ。お聞きになるのもお嫌い?」
「いや」
「でしたら結構です」
それから暮らしの希望を聞かれ、お金と美しい物が好きだと申し上げた。
伯爵は困りも笑いもせず、承知したと頷いた。
気前のよさだけで選んだつもりだったけれど、あの短い返事も少し気に入っていた。
「あの方、私の話を聞くのはお嫌いではないそうなの」
「なら、宝石に向かって話していないで、ご本人に聞かせれば?」
イザベルは腕輪を箱へ戻した。
「私なら今日のブローチを着けて行くわ」
「あなたならね」
「ええ。あなたなら七つとも着けるかしら」
軽口のつもりだったのだろう。
私は並んだ箱を見た。
七つとも、まだ贈り主に見せていない。
友人が帰ってからモーリスを呼ぶと、彼は私の質問に少し驚いた。
「贈り物は、すべて旦那様がお選びになっております」
「お店に任せているのではなくて?」
「最初の首飾りは、婚約中に奥様がご覧になっていた品を取り寄せました。青玉の櫛は、留め具が髪に絡まぬものをと、二度ほど作り直させております」
私は髪に手をやった。
たしかに使いやすかった。外すときに引っかからない。
「昨日の首飾りも、重さを気になさって」
「あれで?」
「もう少し大きなものと迷っておいででしたので」
私は箱の中の宝石を見直した。
受け取った私は喜んだ。伯爵はそれを執事から聞き、次を選ぶ。
これでは私が店に注文し、執事が配達しているのと同じではないか。
「伯爵はいまも書斎?」
「はい。本日は来客もございません」
「では、後ほど伺います。少し準備が要るので」
私は七つの箱を自分の部屋へ運ばせた。
◇
紅玉の首飾りをつけ、その下へ長い首飾りを重ねる。
腕輪と指輪は問題ない。
耳飾りをつけ、髪を青玉の櫛で留め、最後に花のブローチを胸元へ置いた。
鏡の中がたいそう眩しかった。
一つずつなら自慢したくなるのに、七つ集まると互いに引き立てる気がまったくない。
紅玉は紅玉だけを、青玉は青玉だけを見ろと主張している。
「奥様、お着けになるのを少し減らしては」
「これは装いの相談ではないの。話し合いの準備です」
侍女は櫛の位置を確かめ、そっと手を離した。
立ち上がると、二本の首飾りが胸元で重なった。耳元にも普段はない重みがある。
歩くには歩ける。
ただ、途中で踊れと言われてもお断りしたい。
書斎へ向かう廊下でモーリスに会った。
彼は一瞬だけ目を大きくしてから、いつもどおりに扉を開けた。
立派な執事だ。笑わなかったことは覚えておこう。
「旦那様。奥様がお見えです」
ロラン様が書類から顔を上げる。
立ち上がりかけ、そのまま止まった。
「アデル。その……」
「いただいた物を、お見せしに参りました」
一礼しかけて、やめた。
櫛の先と耳飾りが触れたからだ。
「すべてか」
「ええ。一つも忘れておりませんわ」
彼は私を見て、口元へ手を持っていった。
肩がわずかに動く。
「お笑いになって構いません。ただし、椅子を先に」
すぐに椅子を引いてくれた。
私はゆっくり座り、首をまっすぐに保った。
ロラン様が窓際からもう一脚を寄せる。机を挟まず向かい合うのは、結婚してから初めてだった。
「綺麗だと思って選んだが、一度に着けるところは考えていなかった」
「私もです」
「重いだろう」
「ええ。これ以上は持てませんから、今夜の贈り物はあなたがよいのです」
彼の笑いが止まった。
私は指輪の向きを直し、もう一度その顔を見た。
「今夜、一緒に夕食を召し上がってください。私、あなたをお誘いしに来ました」
しばらく返事がなかった。
聞こえなかったはずはない。廊下へ聞こえたのではと心配になるくらい、はっきり申し上げた。
「……それでいいのか」
「それがよいのです」
「分かった。今夜は一緒に」
拍子抜けするほど、素直な返事だった。
私は膝の上で指を組み直す。
「それなら、どうして今まで」
ロラン様は私の顔を見た後、視線を少し下げた。
たくさんの石が目に入ったのだろう。けれど今度は笑わなかった。
「最初の二日は、本当に仕事だった。三日目には戻れたが、君が私に気を遣いながら食べることもないと思った」
「気を遣う?」
「この顔を見ないようにして、話を探して」
彼は右頬へ手を上げかけてやめた。
「以前、縁談の相手に言われたことがある。食事中は傷を隠してくれないか、と。君も同じだと決めたわけではないが……贈り物なら、喜ばせられると分かっていた」
私は耳飾りの揺れが収まるまで黙っていた。
それから言った。
「その方とは、ご結婚なさらなくてよかったですわね」
「ああ」
「私には気前のよい夫ができましたし」
彼が顔を上げた。
「贈り物は嬉しいです。本当に。でも、あなたは一度も見に来てくださらない」
首元の紅玉に指を添える。
「いただいた物に合わせて三日続けて着替えたのに、褒めたのはモーリスです。櫛を着けた日は、料理人まで私の髪を褒めました」
「モーリスから聞いている」
「私はあなたに見せたかったのです」
言ってから、頬が熱くなった。
七つも着けて押しかけたので、今さら取り繕えない。
「あなたの好きな料理も知りません。食堂の窓際と暖炉のそば、どちらの席がお好きなのかも。話さずに暮らすつもりでしたら、誰と結婚したって同じではありませんか」
ロラン様は唇を結んだ。
「寂しい思いをさせた。すまない」
言い訳が続かなかったので、私はかえって困った。
もう少し文句を言うつもりで来たのに。
「私も、来てくださいと申し上げればよかったのです」
「そう言わせる前に、私が顔を出すべきだった」
「ええ。それはそうですわ」
彼が小さく笑った。
笑うと傷のある側の頬が少し引きつる。それでも、目の端は左右同じように下がった。
私はその顔をもっと近くで見ようとして、首飾りを椅子の肘掛けに引っかけた。
「あ」
慌てて動きを止める。
ロラン様が身をかがめた。
「そのままで」
指が金具を持ち上げ、椅子の彫りから外してくれた。
顔が近い。
焙った珈琲と、紙のような匂いがした。
「いくつか外そう。首が痛くなる」
「なくさないでくださいませ」
「持ち主から借りるだけだ」
冗談らしかった。
私が髪を片側へ寄せると、彼は後ろへ回って長い首飾りの留め具を外した。
指先が首筋に触れる。
七日分の贈り物を受け取るより、その一瞬の方がよほど落ち着かなかった。
外した首飾りを置く場所を探し、私は机の方を見た。
重ねた書類の脇に小さな額がある。
中に白い雛菊が一輪、押し花になって収められていた。
「それ、私が飾った花では?」
婚約が決まって間もない頃、屋敷を案内されたことがあった。
庭の雛菊を一輪もらい、この部屋の小瓶へ挿したのだ。
立派な書斎だったけれど、茶色いものばかりで少し寂しかったから。
「そうだ」
「残していらしたの」
「捨てるには、惜しくて」
ロラン様は額を伏せようとして、途中で手を止めた。
私は見なかったふりをしてあげなかった。
「あの花も、私が選んだ物ですものね」
「ああ」
「宝石だけでなく、お花を選ぶ目もございますのよ」
「知っている」
短い返事が嬉しかった。
私は額の向きをそっと戻した。
「今夜は温室で食べませんか。夕方でも暖かいですし、花もよく見えます」
「用意を頼んでおく」
「私がいたします。あなたのお好きな物を教えてください」
「君の好きな物で」
「それはもう、六日続けて食べました」
彼は少し考えた。
「牛肉の赤葡萄酒煮が好きだ。汁にパンを浸すので、行儀はよくない」
「パンを多めに頼みますわ」
「君は?」
「鱒の香草焼き。骨を外すのが得意でしたら、なお嬉しいです」
ロラン様は初めて、少し得意そうな顔をした。
「それなら役に立てる」
私は今夜の献立を決めた。
◇
温室に小さな卓を用意し、料理人に二人の好物を頼んだ。夫は根菜も好むと教わり、煮込みへ加えてもらう。パンも多めにした。
自室で待っていた侍女に、紅玉の首飾りの箱を渡した。婚礼の夜に見せられなかったものだ。
耳飾りは小さな真珠だけにする。今夜は、顔を近づけても石がぶつからない。
七時より少し早く温室へ行った。
窓の外は青暗く、硝子にろうそくの火が映っている。葉の大きな鉢の間から、土と花の匂いがした。
私は椅子に座らず、並べた銀器の間隔を直した。
来ると言った。
あの方は来る。
料理を運ぶ使用人にも、モーリスにも、そのたびに顔を上げてしまう。
入口でまた足音がした。今度は、ロラン様だった。
仕事のときとは違う濃紺の上着を着ている。
片手には花束があった。
「待たせた?」
「まだ七時になっておりません」
「では、間に合った」
そんなふうに安心した顔をなさるから、私も安心してしまった。
差し出された花束は、白と淡い紫を集めていた。
「庭師に名前を教わった。好きな花を、まだ聞いていなかったので」
私は花束を胸へ寄せた。
「好きです。今度は一緒に選んでくださいませ」
「ああ」
「時間がかかりましてよ」
「今日も庭師をずいぶん待たせた」
花を受け取りに来たモーリスが、今回は少し笑った。
私は夫の腕へ手を置いて席へ向かった。
ほんの数歩でも、そうしたかった。
◇
夫は、魚の骨を外すのが本当に上手だった。
銀のナイフを入れて皮を開き、身を崩さず背骨を持ち上げる。
空いていた皿へ半分を移し、私の前に置いた。
「ありがとう。では、こちらを」
私は煮込みを取り分けた。人参は夫の皿へ多めに載せる。
「お好きだと伺いましたもの」
彼は私の皿を見た。
「それなら、その一つも欲しい」
私は匙を止める。
「一つくらいは、私にも残してくださいませ」
笑いをこらえる顔を見て、からかわれたのだと分かった。
ずるい方だ。私はいちばん照りのよい肉を自分の皿へ取った。
ロラン様が笑った。
私も笑った。温かいうちに口へ運んだ肉は、簡単にほどけた。
最初は少しずつ話した。
温室の椅子が意外に硬いこと。書斎では昼食を食べ忘れやすいこと。
夫が仕事で一番困るのは嵐ではなく、ある船長だという。良い知らせも悪い知らせも、途中から自分の自慢に変えてしまうのだそうだ。
「話を聞き終える頃には、いつ出港したか忘れてしまう」
「最初に日付を聞けば?」
「その日の朝、何を食べたかから始まる」
私は声を上げて笑った。
ロラン様は魚へ目を落とし、それからまた私を見た。
「君はそうして笑うんだな」
「ええ。おかしければ」
「婚約中は、あまり見なかった」
「少しは大人しくしておりましたの。縁談がなくなったら困りますから」
正直に言いすぎただろうか。
けれど夫は頷いただけだった。
「いい条件だった?」
「とても」
「それはよかった」
その顔を見て、私はナイフを置いた。
「でも、いただいた条件には書かれていなかったことがございます」
「何だろう」
「魚の骨を取るのがお上手で、ときどき意地悪をおっしゃる」
彼の目が少し丸くなった。
「私は、その方と結婚できて嬉しいです」
窓の外から風の音がした。
ロラン様は何か言いかけ、一度口を閉じた。
待っていると、彼は自分の前の銀器を見て言った。
「私は君がこの家で笑っていると聞くだけで、しばらく満足できると思っていた。目の前で笑ってもらう方が、ずっといい」
「ええ。私も、聞くだけより褒めていただく方が好きです」
紅玉の首飾りへ視線を落としてみせる。
彼はすぐに気づいた。
「よく似合っている。婚礼の夜にも、そう言うべきだった」
「来られなかった二日分は、これから取り返してください」
「三日目からは?」
「そちらは、もう少し多めに」
私は葡萄酒を飲んだ。
喉へ落ちる温かさとは別に、頬が熱い。
「アデル」
呼ばれて顔を上げる。
「君が好きだ。会って話した頃から」
今度は私の方が、返事を忘れた。
「欲しいものを聞くと、いつもはっきり教えてくれた。私に気を遣って何もいらないと言われるより、ずっと嬉しかった」
「それなら、ずいぶん楽な妻でしょう」
「いいや。今日、何が足りなかったかを知った」
ロラン様は手を伸ばした。
私は自分の手を重ねる。
今夜つけなかった指輪の分だけ、握りやすかった。
「明日も一緒に食べよう」
「明後日も」
「ああ」
「お忙しい日には、書斎へ押しかけます」
「そのときは先に知らせて。二人分の椅子を用意しておく」
話してよかったと思った。
けれど、まだ私の方の返事をしていない。
「私も、お慕いしております」
彼の手に力がこもった。
私は少しだけ顔を背けた。繋いだ手は離さなかった。
食後、私は椅子を彼の隣へ寄せてもらった。
近くで見る火傷の痕は、ろうそくの光で陰影が深くなる。
顔を覗き込む私に、彼が少し身を固くした。
「何か?」
「どちらからがよろしいかと思って」
意味が伝わるまでに一呼吸かかった。
私は待った。宝石をねだるより、ずっと胸が騒いだ。
彼の手が頬へ添えられ、唇が触れる。
離れた後も顔が近かったので、私はそのまま上着を掴んだ。
「もう少し」
夫は、今度はすぐに望みをかなえてくれた。
◇
翌朝、食堂へ来た夫は小さな箱を持っていた。
私は椅子から身を乗り出した。
「今日の贈り物?」
「そうだ。昨日選んでおいた」
中には小さな青い石を連ねた耳飾りが入っていた。
今度の休みに着ようと思っていたドレスへ、きっとよく合う。
「お気に召すとよいのだが」
「とても。明日の午後、お店へ一緒に参りませんか。これに合うリボンが欲しいです」
「三時からなら」
「では三時に」
私は姿勢を戻した。
モーリスが二人分の茶を置いていく。
昨夜も使った銀器の横に宝石の箱を並べると、ロラン様が少し可笑しそうにそれを見た。
「贈り物は、続けていいんだね」
「もちろんですわ」
私はパンを一つ取り、夫の皿にも一つ載せた。
「贈り物もあなたも、両方いただきます」
「承知した」
最初の顔合わせでも聞いた返事だった。
今度は私も、遠慮せずに笑った。
「明日の分は、朝食のあとで。あなたから」
欲しかったのは、このくらい贅沢な暮らしだ。




