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11 静かな策謀
――盤面
黒耀城、最上層。
戦の音はここまで届かない。
怒号も血の匂いも、すべて下だ。
宙に、光が浮かぶ。
戦況図。
魔界全土を抽象化した“盤面”。
黒は広がり、
金は消え、
赤は――まだ燃えている。
レイゼンは玉座に座らない。
盤面の前に立つ。
指先が宙をなぞる。
赤の領域。
ゆっくりと、黒の縁へ触れる。
「……急がぬ」
赤は叛いている。
だが滅ぼす必要はない。
怒りも義も、まだ熱を持っている。
削るのではなく、飲み込む。
そのほうが残る。
盤面の一角が、静かに色を変えた。
黒に近づく。
勝敗ではない。
移動だ。
「順調だ」
独り言。
視線が端へ流れる。
蒼。
紫。
まだ動かぬ点。
触れない。
今は見るだけでいい。
そして――
盤面のさらに外。
名もない、小さな揺らぎ。
印も色も、まだない。
レイゼンは、それを見ない。
見なければ干渉しない。
干渉しなければ、育つ。
「……よい」
短く息を吐く。
指を引くと、盤面は静止した。
世界は、予定通りに動いている。
まだ――語る段階ではない。
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