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間話 黒狼
まだ、金を討つよりも前のこと。
黒き二本角を掲げる武門ヴァーレス家。
その双子の弟は、巨大な魔狼を狩った。
魔界の深層に棲み、群れを率い、魔素を喰らう。
幾度も討伐隊を退けてきた、古き獣。
ヴァイレンは――
一人で挑み、
一人で仕留め、
血と泥にまみれて戻ってきた。
その毛皮と首級を、
弟は、兄の前に差し出す。
「持ってけ」
短い言葉。
レイゼンは何も言わず、それを受け取った。
黒く艶やかな毛皮。
まだ熱を残す、鋭い牙の並ぶ頭。
しばし見つめ、
そして、静かに言う。
「では、これはお前が持て」
差し出されたのは、尻尾。
ヴァイレンはそれを受け取り、腰に結びつけた。
理由は聞かない。
兄も、説明しない。
それ以来だ。
彼らは、
ヴァーレスの双子ではなく――
黒狼兄弟と呼ばれるようになった。
魔界で最初に名を刻んだのは、
王ではない。
まだ、二匹の狼だった頃の話である。
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