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10 勇者の本当の力2

 レイゼンが振り向く。


「だがな、ヴァイレン」


「絆は、人族だけのものではない」


「……何?」


「勇者は、周囲を巻き込み、絆を生む存在だ」


「誰かが関われば、そこに繋がりが生まれる」


「魔族であろうと、例外ではない」


 ヴァイレンの背筋が、わずかに粟立つ。


 その“誰か”に、自分が含まれる可能性を、


 言葉にされずに示されたからだ。


「だから、魔界に置いた」


「勇者を魔界に置いた理由は、ひとつ」


 レイゼンの瞳が暗く光る。


「絆の力を、魔族に引き込む」


「勇者が誰かを想えば、その感情はこの地に根付く」


「魔族は強い」


「だが、絆を知らぬ」


「だからこそ――」




「魔王は、勇者を拒まぬ」


「魔王とはな」


「勇者を殺す者ではない」


「受け止め、試す者だ」


「絆に溺れ、理不尽に振り回されるなら、それまで」


「だが、絆を制し、背負えるなら」


 レイゼンは静かに言う。


「それはもう、勇者でも人族でもない」


「新しい“王の器”だ」


 沈黙。


 ヴァイレンは、しばらくして口を開いた。


「……お前」


「ほんとに、性格悪ぃな」


 レイゼンは、わずかに笑う。


「賢王とは、そういうものだ」

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