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始まりの物語  作者: Ongaku
1/1

はじまりのはじまり

?(ここはどこだろう?どれほど彷徨っただろう?自分の名前も忘れた。何か辛い事があったのは覚えている。一人ぼっちになったのを覚えている。このまま何処へ向かうのだろう。真っ暗な空間にずっといる。周りに小さな光が無数にあるのに、手を伸ばしても掴めない。あれ?こんなに手が透けてたっけ?ん?何か手に当たった。なんだ?黒い塊?何かを感じる。)

黒い塊が謎の人型の生命体?に吸収された。

(これは人間だった頃の手?あー。そうだ。人間と言う生き物だった。この黒い塊のおかげか…周りにたくさんある。もしかしたら…。)


場面は変わる

少年が1人で木の木陰で本を読んでいる。そこに少年が1人やって来た。

「おーい!ディレン!遊ぼうぜ!」

ディレンと呼ばれた少年は本を閉じた。

デ「ケルト。もう家の手伝いは終わったの?」

ケ「もちろん!」

デ「それなら遊べるね!ケルトってさ、いつから記憶がある?いつ自我が芽生えた?」

ケ「何言ってんの?相変わらず難しい話するよな。全然分からん!」

デ「そうだよね!ちょっと前の記憶はあるのに、生まれた時から自我が芽生える所の記憶が全然ないんだ!不思議だと思わない?」

ケルトに歩み寄る。

ケ「うーん。考えたこともないなぁ。難しい事考えすぎなんだよ。それよりさ!見せたいものがあるんだ!きっと驚くぞ!おーい!こっちだ!」

2人の少女が近づいてくる。それに驚くディレン。

デ「ムーナ!ちゃんと家で休んでないとダメじゃないか!」

ム「お兄ちゃん。今日は調子がいいの。」

ケ「な?驚いただろ?」

デ「それは驚いたけど、ケルトもエメイラもムーナが体が弱い事知ってるだろ?」

エ「知ってるわよ。でも、可愛いムーナちゃんにお願いされたら断れるわけないでしょ?」

デ「でも!」

ケルトがポンッとディレンの肩に手を置いた。

ケ「まあまあ。ムーナが良いって言うんだし、お兄ちゃんばっかり外で自由に遊べるのはズルいんじゃないか?」

デ「…負けたよ。ムーナ。少しでも体調が悪くなったら変えるんだぞ?」

ム「うん!」

ケ「と言う訳で、今日は冒険に行こうと思います!」

エメイラとムーナは手を挙げて「賛成!」と声を上げた。その一方でディレンはため息をついて肩を落とした。

デ「どこに行くつもりなの?」

ケ「それは決めてないけど村の外かな。」

デ「村の外ってタイネさんとヤクさんが許可出してくれるとは思わないけど。」

ケ「ふっ。バレない様に柵の隙間から抜け出すだけさ!」

デ「バレたらなんて言われるか…。」

ケ「大丈夫大丈夫!」

4人は結局門番のタイネとヤクに見つからない所の柵を超える事にした。

ケ「よーし!行くぞ!」

?「よーし!行くぞ!じゃない!村を抜けてどこに行くつもりなんだ?」

ケ「と、父さん…冒険に行くんだ!見たことない景色を見たいんだ!村にいたらつまんない!」

父「村の外は危険なのは分かってるか?」

エ「鬼がうろついているんだよね?」

父「そうだ。エメイラの言う通りだぞ!鬼に食べられちゃうぞ?」

ケ「父さん…鬼なんていないのみんな分かってるから。」

父「え!?そうなの!?」

ム「うん!村の外には見たことない植物とか動物って言う生き物がいるんだってお兄ちゃんが。」

父「ディレンか…本当に物知りだな!ケルトにも少しは見習ってもらいたいな。」

ディレンの頭をなでながらケルトの方を見る。

デ「あはは…。」

ケ「勉強なんて俺には無理だよ。疲れるし。体を動かす方が好きだしね!父さん行かせて!」

父「だめだ。」

エ「しょうがない。諦めよっか。」

4人は落胆し、肩を落とした。

父「子供だけではの話だ。父さんがついて行こう。」

4人の顔がパーッと明るくなった。結局門番の2人に事情を説明して、5人で村の外へ行ける事になった。

父「いいか?絶対に父さんが目に入る距離にいる事!迷子になったら大変だからな。それと村周辺は大丈夫だろうが、世の中には危険な植物や動物がいるからな!むやみやたらに手を出すな。分かったな?」

と話しても4人は村の外へキラキラと目を輝かせて話を全く聞いている様子ではなかった。まったくっと呆れる気持ちと可愛い奴らだなと思うケルトの父であった。


エ「どこいこっか?海とかどう?行ったことないけど!」

ケ「いいね!海行こう海!」

デ「海は遠いから無理かな。」

ム「えー!それなら山かな?」

デ「山も遠いね。」

ケ「なんでそんなに詳しいんだ?」

デ「地図を見て覚えてるから大雑把な事は分かるんだ。行ったことはないけどね。」

うーんと考えてケルトが木の棒を拾ってきて、木の棒を立てて倒れた方向に行くことにした。木の棒は森の方に倒れた。ケルトの父はそっちには行かんぞと言ったが、4人はお構いなく進んでいった為ケルト父は渋々剣で草や枝を斬り進んだ。たまに出る開けた場所では知らない生物や植物に4人は興奮していた。

ム「あの鳥は確かハチドリ!なんて可愛いの!」

ムーナがハチドリを追いかける。

父「待ちなさい!」

4人はムーナの後を追いかけた。追いかけ、茂みを抜けた先の光景に4人は言葉を失った。そこには色々な花が咲き乱れた花畑があった。

エ「なんて綺麗なの?こんなの見たことない!」

ケ「すごいな!村の外に出てきて正解だったぜ!」

デ「本では見たことあったけど実際に見るとこんなに綺麗なのか…。」

父「こんな所があったとはな。ムーナ!あんまり離れるんじゃないぞ!」

4人の子供たちは和気あいあいと花畑で遊んだ。

ケ「いい事思いついたぞ!」

花をごめんなと言いながら茎の部分から摘み取って、花冠を作った。それをハチドリに夢中になっているムーナの頭にそっと置いた。

ム「え?」

ケ「どうだ?王冠みたいだろ?かっこよくしたかったけど、花だから可愛い感じになってしまった。だからそれムーナにやるよ。」

ム「あ、ありがとう。」

少し顔を赤らめた。エメイラとディレンが集まってきた。

エ「へー。やるね。これどうやって作るの?」

ケ「えっとね。」

テキパキと編んでいき、花冠を完成させた。ディレンとエメイラとムーナもそれぞれ作り、ケルトは父親に、ムーナはお返しにケルトに渡し、エメイラとディレンは自分で作った花冠を頭に着けた。

「ぷっあははは!父さん似合ってないな!」

父「うるさい!お前が作ったんだろうが!」

デ「そういうケルトは可愛くなったね。」

ケ「は!はぁ!?か、かっこいいだろ。」

腕を組んでほほを膨らませる。エメイラがケルトの頬をつついた。ケルトは空気を吹き出す。

エ「そういう所も可愛いね!ケルトちゃん!」

ケルトは「エメイラ!」と怒りながら追いかけまわし、エメイラは笑いながら逃げ回った。それをみんな笑いながら見ていた。

時は過ぎて夕方になり、村へと帰った。村へ着く頃には夜になっていた。解散しようとしていた時ふとムーナは空を見上げた。

空には満点の星空が広がっていた。星を見つめていると幾つもの流れ星が流れていた。

ム「みんな見て!流れ星!」

エ「ほんとだ!綺麗だね。」

ケ「すげー!って言うかなんか光がこっちに向かってきてないか?」

デ「確かにそんな気がする…てほんとにこっちに向かってきてる!」

父「お前ら伏せろ!」

ケルトの父親がみんなに姿勢を低くするように指示した。光は大きな音を立てて、村の上空を過ぎ去っていった。しばらくして遠くの方で光が地面から発光するのが見え、大きな音と共に地面が揺れた。そして、光は1つだけではなく幾つもの光が降り注いだ。幸い村はなんの被害もなく事なきを得た。


父「お前たちは家に帰るんだ。父さんは村長の家に行ってくる。遅くなるだろうから先に寝てなさい。」

ケ「俺も行くよ!」

父「ダメだ!」

強くケルトに言い放った。ケルトはいつもと違う父に圧倒され「分かったよ。」と言った。父はしゃがんでケルトの頭をなでた。

父「ケルト。今回は何が起こるか分からない。とても危険なんだ。お前たちに何かあってからでは遅い。成人したその時は父さんに力を貸してくれ。」

ケルトはうなずいた。ケルトたちは解散してそれぞれの家に帰った。父は村の大人たちと話し合い、女子供老人を一か所に集め、成人男性が交代で見張りをした。結局その夜何も起きなかった。

朝には捜索隊を組み、村の外へと状況確認に向かった。調査の結果村周辺に何か変わった様子はなかった。次の日に光が落ちた場所へ調査に赴いた。そこはクレーターがあっただけで他には何もなかった。調査を終え、話し合いの結果問題なし。だが警戒は厳重にという事で、村人たちは解散して各々の家へ帰った。

村人たちは神の導きだとか怒りだとか天使の迎えだとかいろいろな噂が飛び交ったが、人の噂も七十五日と言うように徐々に日常へと戻って行った。

ある日の事

ベットで寝込んでいたムーナの前にディレンが椅子に座って本を読んでいた。

デ「これだ!これがあれば!」

ム「ごほっ。どうしたのお兄ちゃん?」

デ「ああ。それは」

と何かを言おうとした時ディレンの母からこっちに来て手伝ってと言われ、本を置いて何処かに行ってしまった。ディレンは本を閉じる気にしおりを挟む癖がある。ムーナがそのページを開くと片面には草の絵が描いてあった。もう片面には説明文が描いてあったが、ムーナは文字が読めるがあまり単語の意味を理解出来なかった。

ム(難しい事ばっかりで分からないけど、この草が欲しいって事だよね?お兄ちゃんの誕生日近いから体調がいい時に探しに行こう!)


それから数日後

ムーナは1人で村で薬草を取り扱っているお店に来ていた。

「おや。ムーナちゃん今日は調子がいいのかい?」と中年の女性がムーナに声をかける。この女性は店の亭主だ。

ム「はい!今日は元気いっぱいです!ソヤおばさんこの絵の草見たことありますか?」

ディレンが持っていた本を見せる。

ソ「そいつは良かったよ。どれどれ…うーん。見たことない草だね。なになに?えーっとこの本によると花畑に稀に生えるようだね。」

ム「花畑…あ!ありがとうございます!」

ソ「ごめんねぇ。うちにもあったら良かったんだけど…ってもういない。」

話も聞かずにムーナは店を飛び出していった。ムーナは門番のタイネとヤクと所へやって来た。外に出たいと頼み込んだが、2人は首を横に振った。

ム(やっぱりだめか。ケルトのお父さんも忙しいだろうし…前行った時は大丈夫だったんだ。夕方までに戻れば怪しまれないはず!ごめんなさい!私悪い子になります!)

ムーナは村の柵の隙間を抜けて村の外へと飛び出した。

(確か…こっち!)

迷いながらもみんなで来た花畑へとたどり着いた。

「相変わらず綺麗なところ…。」

そよ風で花が靡く。目を瞑り風を肌で感じ、花の匂いを花で感じ、大きく深呼吸をした。

「なんていい日なんだろう。」

少し思いにふけ、目的を思い出して本にあった草を探し始めた。

(これじゃない。これでもない。簡単には見つからないか…ってあ!)

「あったーーーー!!!」

ムーナは時間がかかったかが、本に描いてあった草を見つけ出すことに成功したのだった。それを摘み取り、持ってきていた袋に入れた。これで後は誰にも見つからず帰るだけだと思いながら帰っている途中の事だった。花畑から去り、森の中を歩いていると草むらがガサガサと動いた。ムーナは思わず立ち止まる。草むらから出てきたのは小さなウサギだった。

「うさぎちゃん。可愛いね!」

ウサギを抱きかかえてほっとしたのも束の間、何かが走ってくる音がしたと思ったら体高2メートルある巨大な猪が出現した。猪はムーナを見下ろし、睨みつけた。ムーナは恐怖で身動き取れなくなった。じりじりと猪が距離を詰めてくる。ムーナは呼吸をするのを忘れるほどに恐怖し硬直していた。その硬直を解いたのはウサギだった。抱きかかえていたウサギが腕の中から逃げだす為に暴れた。そこでハッと我に返ったムーナ。猪はムーナへ突撃し、それを間一髪で避けた。猪は木にぶつかったが、ピンピンしており木はなぎ倒された。一目散に逃げだした。なるべく追いつかれにくいようにジグザグに走り、猪に木を意識させるようにした。ぶつかれば減速、躱せば遠回りと瞬時にムーナは思考し実行した。


その頃村では

デ「ねえケルト。ムーナを知らない?」

ケ「今日は見てないな。エメイラと一緒なんじゃないのか?」

デ「それがエメイラも見てないって。どこ行ったんだろう?」

ケ「俺も探すの手伝うぜ!」

デ「ありがとう。」

2人は村の中を声を掛けながら探し回った。

エ「ちょっとムーナちゃんまだ見つかってないの?」

ケ「そうなんだよ。エメイラも手伝ってくれ。」

エ「分かったわ。心配だから私も探すわ!」

3人で探してもムーナは見つからなかった。

ケ「外にいないって事は誰かの家か?」

そこにソヤがやって来た。

ソ「あらみんな元気ね。何をして遊んでるんだい?」

ケ「それがムーナが見つからなくて。」

ソ「かくれんぼしてるのかい?」

デ「いえ。かくれんぼではなくて、朝から姿が見えないんです。」

ソ「そうなのかい!?それは大変だ!っとそういえば朝にうちの店に来たね。」

デ「え!?それで行き先とか言ってませんでしたか?」

首を横に振るソヤ。

ソ「残念だけどね。ただ、万病に効く薬草を探してるみたいだったね。本を私に見せて来たんだよ。」

ディレンはハッとした顔をした。

デ「ま、まさか!本がないとは思っていたけどムーナが持って行ってたなんて…あの時か!いや、それよりも…もしかして、場所を言ったりしませんでしたか?」

ソ「そういえば口に出したわね。花畑で…」

デ「やっぱり…。」

ケ「おいおい。俺全然分かってないんだけど。」

デ「簡単に言えばムーナはおそらく村の外、そして僕達が行った花畑に向かったんだと思う。」

エ「え!?1人で?」

デ「そうだろうね。ムーナはたまにとんでもない行動力を発揮するからね。」

ケ「それなら早く探しに行こう!」

ソ「待ちなさい!村の男達に声かけるからみんなは大人しくは待ってなさい!」

ケ「うーん。そうしたいけど、父さんは他の村に出かけてるから案内出来るの俺達だけなんだよね。」

ソヤは少し考えてから、村長の家に行きムーナの捜索隊を組んだ。そこに、案内役としてディレンが組み込まれた。案内役は1人でいい為、ケルトとエメイラは除外された。


デ「行ってくる。」

ケ「おう!絶対見つけて来いよ!」

互いに右手を出してハイタッチした。

エ「ディレンも無事に帰って来てね。」

デ「うん。ありがとう。」

2人に見送られてディレンは花畑へと向かった。ケルトがすんなりと引き下がったのが、少し引っかかりつつも花畑へと着いた。だが、そこにムーナの姿はなかった。

デ「ムーナ!ムーナ!どこにいるんだ!?」

村の男の1人がディレンの肩に手を置いて「もう夜だ。これ以上は危険だ。それにムーナも帰ってるかもしれない。」と告げた。ディレンの拳に力が入る。「そうかもしれません。」と言い、ひとまず村に帰ることにした。その道中少し道が外れた所で、木が倒れているのをディレンは発見した。村の男達は木の痕跡から今まで見たことないと口にした。ディレンは倒れた木の近くに本が落ちているのに気が付いた。それは間違いなくムーナが持って行った本だった。

デ「みなさん!ムーナはこの先です!」

村の男たちは得体の知れない何かが危険な存在だと分かっている為、村に戻る事を提案した。

デ「尚更放っておけないじゃないですか!」

村男「そ、そうだが確証がないのにリスクは冒せない。だから村に戻るぞ!」

デ「嫌です!1人でも探しに行きます!」

走り出しそうなディレンの腕を村の男が掴み制止した。

デ「放してください!」

ディレンはその手を振り払って走り出した。村の男達は少し遅れて、ディレンの後を追いかけた。


その頃ムーナは絶壁に行く手を阻まれて、猪に追い込まれていた。

ム「いや!こっちに来ないで!」

ムーナは力なく地面に座り込み、地面にあった小石を猪に投げた。コツンと頭に当たり、猪の怒りを更に買った。

「誰か助けて…お兄ちゃん!お父さん!お母さん!ケルト!エメイラ!」

デ「ムーナ!ムーナどこだ!」

遠くからディレンの声がした。

ム「お兄ちゃん!こっち!」

必死に叫び居場所を知らせる。ディレンが草むらから飛び出した。

デ「ムーナ!」

ム「お兄ちゃん!」

お互いに声を掛け合った時だ。猪は無情にもムーナを突き飛ばした。勢い良く壁に激突し、その場に前から倒れ込み動かなくなった。頭からは出血している。

デ「え…ムーナ?」

とぼとぼと倒れたムーナに歩みを進める。猪がムーナに近寄る。ディレンは走り出して猪の前に両手を広げ立ちはだかった。

「ムーナに手を出すな!」

猪は怯むこともなくただ2人に近づいていく。ディレンは恐怖で体が震えていたが、目の灯は消えていなかった。そこに遅れて村の男たちがやって来た。瞬時に状況を理解して武器を構え、猪の後部目掛けて武器を突き刺した。痛みで奇声を上げる猪。後ろ足で村の男1人を蹴飛ばし、戦闘不能にさせた。武器が刺さった所は傷が浅かった。筋肉で奥まで刺さらなかったのだ。怒った猪は村の男たちの方に振り返って次々に返り討ちにしてしまった。


デ「そ、そんな…そんな事って…。」

ただただ、今の状況に絶望した。ディレンは時間稼ぎが出来れば村の男たちが倒してくれるという希望を持っていたからだ。だがその希望も潰えてしまった。それでも逃げ出さず、ムーナを守るように猪の前に立っていた。

「ごめんなムーナ。頼りないお兄ちゃんで。この猪を倒せるくらい強かったら…。」

猪が近づいて来た。覚悟を決め、目を力強く閉じた。

ケ「こっちだ化け物!」

ディレンは聞きなれた声に驚いた。

「ど、ケ、ケルト!?どうしてここに?そ、それよりも早く逃げるんだ!」

エ「友達を置いておけるわけ無いでしょ!」

そこにはエメイラの姿もあった。一瞬猪はケルトとエメイラの方に振り返ったが、ディレンの方に向き直った。

ケ「こっちだって言ってるだろ!」

地面に落ちていた剣を拾った。まだ子供の為、簡単に持ち上げることは出来なかったが引きずりながら猪の方に走った。そして、勢いに任せて剣を横に振るった。力が弱く、薄皮一枚切れた程度だった。それでも猪はうざいと思ったのかケルトを突き飛ばした。木に叩きつけられて痛みと呼吸困難で苦しむ。

エ「私だって!」

地面に落ちている剣を取り猪に攻撃する。これもダメージにはならず、エメイラも突き飛ばされた。エメイラも苦悶の表情を浮かべた。意識はかろうじてあるが動けなくなっていた。

デ「どうしてこんな事を?馬鹿じゃないか。勝てるはずもない相手に戦いを挑んで…今からでも遅くない!逃げろ!」

ケ「…どうしてかって?見捨てれるわけないだろ。どんな相手だろうとも、例え敵わなくても友達が困ってたら助けるもんだろ!」

なんとか起き上がり再び剣を拾い、猪に目掛けて走り出した。

デ「やめろ猪!こっちだ!」

ディレンはケルトの方を見ている猪の体毛を引っ張った。それでも、向かってきたケルトに体当たりをくらわせた。それをただ見つめることしか出来なかったディレンとエメイラ。体当たりされた衝撃で意識が薄れゆくケルト。

走馬灯の様にゆっくりと時が過ぎる中で3人はそれぞれ思った。もっと強ければみんなを守れたのにと。

吹き飛ばされたケルトは何かにぶつかった。

?「よくやったな。少年。」

顔には〇が描かれた仮面を着け、その他はフードマントで隠している謎の人物が立っていた。謎の人物はケルトを優しくキャッチしていた。そして次の瞬間に猪の体は真っ二つになりその場で絶命した。その場にいた誰もが何が起きたか理解できなかった。その光景を目の当たりにしながらみな意識を失ってしまった。

?「なぜこんな事に…。」



To be continued

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