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夜に死す

昔に書いて放置していた作品を供養がてら投稿。

 

 ──人生というのは唐突に終わることがある。


 順風満帆これといった問題もなく万事が上手くいっているような人間であっても突然の事故で命を落とすことがあるし、それほど人生が上手くいっているとは言えない人間も突然、命を落とすことがある。

 その二つの人生の内、後者に属する人生を歩んできた神名火澄かみなかすみという名の少女の場合でも当然、同じことが起きうる。死というのは差別をしないからだ。

 つまり、何が言いたいかというと、この夜、神名火澄かみなかすみという少女は死んだ。


 神名火澄かみなかすみという少女は幸いと言い難い人生。

 そして、平凡とは言い難い人生を送ってきた。

 であれば、その終わりも平凡とは言い難いもので、彼女はその腹を貫かれて死んだのだった。


 少女の生き方は敵を作らざるをえないものであったため、恨みからこういう死に様は予想がついていたわけだが、彼女の死因に関して彼女のこれまでの行状は関係なかった。


 改めて何が少女を貫き、死に至らしめたのかその原因を見てみよう。

 見れば一目瞭然、少女の背中を腕が貫いていた。ということは拳で腹を突き破られ、内臓を破られ、背骨を粉砕され、死に至ったというわけだ。


 では、その腕は誰の物か、視線を辿っていけばすぐに分かる。

 腕の主は少年だった。黒い髪に黒い髪の整った顔立ちの大柄な少年である。

 その腕が少女の腹を貫き、命を奪っていた。


 腕の持ち主の少年の名は黒木侠一郎くろききょういちろう

 これから始まる物語の『主人公』である。


 侠一郎の物語を始める前に一人の少女の人生について語っておこう。

 といっても別にたいした話ではない、よくある話だ。

 世間一般では珍しいかもしれないが、これから語る物語の舞台の街においては珍しくもなく、そして陳腐な話だった。


 それは極めて簡潔に説明するならば、特別な力を持った少女が自分の宿敵を倒すためにやってきたというそれだけのことだった。

 少女の名は神名火澄かみなかすみ

 赤い影を帯びた黒髪を持ち、顔立ちは美しいと表現しても問題は無い程度に整っているが、些か眼差しが鋭く、刃のような雰囲気があり、近寄りがたい印象を与えるのが難点だった。

 その難点を除けば美少女と表現して何の問題もないだろう。

 もっとも彼女が美しかろうがそうでなかろうが、それは大勢には影響を与えないので気にしなくても良い情報である。

 ただ、身長が同じ年頃の女性と比べると若干高く、一目見ただけで何らかの武術を修めているのが分かる程度には鍛えられていることは付け加えておこう。

 これは彼女が歩んできた人生の結果であるので、気にしないといいうわけにもいかないことだろう。


 さて、彼女の外見についてはこの程度で充分だろう。

 では、ここから彼女がどんな人生を歩んできたかを語るとしよう。

 重ねて言うが、たいした話ではない。知ったところで、多くの人間がそんなものかと言うようなものだ。

 簡潔に語るとすれば、火澄は特別な血筋の生まれで、その血が原因で邪悪な者たちに狙われ、その結果として両親は幼い頃に殺され、自身は逃げ延び、両親を奪った邪悪な者たちを滅ぼすために秘密組織に身を寄せ、復讐の日々を送っていたというその程度の話だ。

 どんな悲惨な人生であっても、要約すればこの程度。両親との思い出や、玲緒奈の血筋の秘密、これまでの戦いなど話し始めればキリがないが、よくよく考えてみれば、この物語を語る上では必要もない。


 人生を語ると言っても、この物語の上で大袈裟に語らなければいけないような人生を持っておらず、道端で野垂れ死ぬ程度の存在、それが神名火澄かみなかすみという少女だった。





日付を見ると2、3年前じゃきかないくらい前に執筆してた作品。

その当時で既に学園異能バトル系は下火になってたのにそれを書いてたってことは、とことん流行りについていけない人間なんだと今になって自覚した。

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