5.1
国防軍七竅駐屯地第一分館二階。倉庫にて、本日の東部方面隊の部隊当直らが、重火器装備の点検、補填、準備を行っていた。
「そういえばお前んとこ、明日、娘が誕生日だったろ?何プレゼントするんだ?」
細身の男が、筋肉質の坊主頭に言った。坊主頭は、にやっとさせながら、答える。
「もう決めているさ、クマのぬいぐるみをプレゼントするんだ。前から欲しがっていたやつがあってな」
「ちゃんとパパしてますね」
色白の男が、羨ましそうに言った。
「確か、五歳になるんだよな?」
細身の男が尋ねる。
「ああ、それが本当に可愛くて。娘の可愛さは絶大だ。いずれお前らも結婚して子供ができればわかるはずさ」
時刻は九時五十二分。見回りが始まるまで、残り八分だった。
「そう言えばよ、今日、十一時に物資の搬送があるんだろ?」
細身の男が、窓越しに駐屯地の北東方向を眺めながら言った。
「ああ、だからいつもより重武装で見回りに当たるようだ」
「その物資って、何だか聞いているか?」
「いや、俺は聞いてないな」
「そもそも私たちの管轄ではないですし、そっちの護衛は防衛省直轄の部隊が、北東エリアで行っているはずですよ。目立たず物資を運び出すそうなので」
「そういえば何か直轄部隊、いつもより多かったな」
「北東エリアの出入り口と言うと、地下か。だな。となると、普通の兵器じゃねぇな。戦車を運び出すなら、正門から運び出すだろうし」
坊主頭が武器のチェックを全て済ませて、装備をし、他の部隊員の終了を待ちながら腕を組んで考えている。
「まぁ、俺たち、曹士ごときには知られちゃいけないことなんだろうな」
「それは、ちがいない」
三人揃ってがははっと豪快に笑っていたその時、大地が鳴動し、衝撃が彼らの身を襲った。部隊当直らは床に叩きつけられ、窓ガラスが割れて、破片が弾丸となって飛んでくる。
細身の男の腕にその一つが突き刺さった。少しぐらい刺さっても軽い痛みなので抜かなければ失血せずに済んだ。
砂煙が充満する中、坊主頭は身体から砂をはたいて状況を確認する。
「一体、何が………?」
窓の外を見ると、北東エリアの方からは、天に届くかと思わんばかりの巨大な炎が上がっている。
「おい、まさかデミウルゴスか?」
すると、武器庫に一人の三曹が体当たりするように入ってきた。
「大変だ!北東エリアで爆発があった!何者かにここが攻撃されている!」
「数は……?」
細身の男が尋ねる。
「わからない、しかし、直轄部隊からの連絡では一人だ」
「たった、一人だと………」
坊主頭は絶句した。一体、何が起こったというのだろうか。




