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魔王の根城へ


 憎たらしい幼馴染のイケメンから手渡されたのは、幼女向け魔法少女アニメのヒロインのコスチュームだった。


「家賃は要らない。その代わり、家の中ではこのコスチュームを着て生活する事ーーこの条件で良ければうちに住んでもいいけど?ーー」


「は?なんで……コスプレ!?」


「いや、面白いから」





 まだ、少し肌寒さの残る四月半ばの夜。

 私、山田 美森は暗い表情を浮かべながら駅前を歩いていた。


 わずかな所持金とキャリーバッグだけを持って、路頭に迷っていた私は、近くに住んでいる幼馴染の住むマンションへ向かった。


 ちょうど、彼も、仕事から帰ってきたばかりだったのだろう。

 プライベートでは常につけているダサめの黒縁メガネ、ボサボサに崩された髪、着崩したスーツ姿で出迎えてくれた幼馴染の橘 律也は、久しぶりに会う私の顔を凝視しながら黙り込んでいた。


 律也は、昔から背が高くて、王子様風のイケメンで、頭もそこそこ良かったから、周りの女の子からキャーキャー言われてモテまくっていた。

 会うのは、地元での成人式以来かーー?そのイケメンさは健在だった。スーツというオプションも付いて、拍車がかかっている。


 幼い頃は天使だって呼ばれていた時代もあったが、私にとって彼は悪魔か、もしくは疫病神のような男の子でしかなかった。


 幼稚園から高校までずっと同じクラス、お互いの姉が大親友かつ家同士も家族ぐるみの付き合いがあった。


 女子人気の高かった律也と仲の良かった私は、幼稚園から、高校を卒業するまで、ずっーーと女子からは邪険に扱われて、時には嫌がらせやイジメのような行為も受けてきた。


 それなのに、災いの種である律也はずっと我関せずで、女子から攻撃されている私を見て他人事のようにケラケラ笑っていたっけ……、たまに親衛隊の女子達をわざと煽って笑っていた事もあった。


 ーー悪魔。


 ーーいいや、魔王か…?


 そんな、いけ好かない腐れ縁の幼馴染だったが背に腹はかえられぬーー。


 藁にもすがる思いで、姉から教えてもらった幼馴染の住所に突撃したのだ。


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