料理は愛情
【火魔法】lv1の【ファイア】を唱えて、卵鞘を燃やしていうちに、徐々に余裕が出てきたので自分を【鑑定】すると最大MPが増えていた。
どうやら、MPを使いきると最大値が増えるシステムのようだ。
俺は、調子にのってどんどん魔法を使っていった。
◆◆◆◆◆
全部で十個あった卵鞘は全て燃えカスになり、俺は壁の隙間に潜り込んで、MPを自動回復する。
合間に【鑑定】をしまくっていたら、レベルが4になり、【ステータスオープン】よりも見えるようになってきた。
これは驚きだった。
名前:田中山善光
種族:ベビーコックローチ
lv:8/10
HP:13/13
MP:0/18
Exp:702/1024
力:8
体力:7
素早さ:32
スキル:【強奪】lv3、【鑑定】lv4、【獲得経験値上昇】lv-、【火魔法】lv2、【堅牢】lv2、【俊敏】lv2
加護:邪神コックローの加護
称号:異世界人、同族殺し
そうそう。なぜか【俊敏】も【強奪】できたんだよね。
たぶん、孵化直前のベビーコックローチから【強奪】したんだろうけど。
しかし、ステータスを見ながら、思わず悦に浸ってしまう。
転生直後の糞ステータスを考えると、雲泥の差だ。
やっと俺Tueeeee!が始まるのだ。
そう俺が考えた瞬間。
『スキル【気配察知】を獲得しました』
突如アナウンスが聞こえたかと思うと、全身を悪寒が走った。
俺は恐怖のあまり壁に身を寄せる。
ズドンズドン
強烈な衝撃を伴う足音が室内で聞こえる……。
隙間から足が見えたので【鑑定】をしてみた。
名前:ー
種族:マザーコックローチ
lv:38/45
HP:285/315
MP:26/26
力:98
体力:107
素早さ:532
スキル:【堅牢】lv5、【俊敏】lv8、【雑食】lv10
称号:同族殺し、子殺し
そのステータスは想像を絶するものだった。
俺は絶対に見つかることのないように、息を潜めた。
もし攻撃をされたら、俺は確実に死んでしまうだろう。
『スキル【隠密】を獲得しました』
突然アナウンスが響いたので、思わず飛び上がりそうになった。
このアナウンスは俺にしか聞こえないのだろうけど、心臓に悪いことこの上ない。
なんとか息を潜めていると、足音はさっき俺が山積みしていたベビーコックローチの死骸の辺りで止まった。
グチャグチャ
その音に呆然としてしまった。
アイツは、その巨大ゴキブリは、自らの子を食しているのだと理解した俺は震え上がった。