魔法
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俺は目眩を起こして倒れそうになったが、倒れることすらできなかった。
地面に臥しており、倒れることすらできないのがゴキブリなのだ。
カサッカサッ
カサッカサッカサッカサッ
こんな理不尽なことが許されていいのか。
なぜ、俺がこんな目に。。。
その瞬間、前世でベンチに座っていたときのことをふいに思いだした。
踏みつけようとして、自動販売機の下に逃げていったゴキブリ。
あの邪神の言っていたのは、ベビーカーを押していた母親ではなく、あのゴキブリのことだったのか!!
カサッカサッ
カサッカサッカサッカサッ
くそっ!
くそっ!!
果てしない怒りがこみ上げてきた。
とめどない怒り。
その怒りが、目の前の死骸に集るベビーコックローチ達に向けられるのに時間はかからなかった。
◆◆◆◆◆
さらに三匹倒すと、二回目のファンファーレが聞こえた。
レベルが3になったのだろう。
レベルアップで力が上がったからか、さらに攻撃力が上がり、ワンパンで倒せるようになった。
ちょっとした無双ゲーみたいだ。
目の前でベビーコックローチが殺されてるのに、全く警戒をしないので、どんどん狩ることができる。
ちょうど次のファンファーレが聞こえたときに、周囲には動くベビーコックローチはいなくなっていた。
目の前には、コックローチの山が築かれている。
【ステータスオープン】
俺はひとまず現状把握をすることにした。
名前:田中山善光
種族:ベビーコックローチ
HP:6/9
MP:2/4
Exp:64/128
力:4
体力:3
素早さ:16
スキル:【強奪】lv1、【鑑定】lv1、【獲得経験値上昇】lv-
加護:邪神コックローの加護
称号:異世界人、同族殺し
少しステータスが上昇していた。
このおかげで、楽にベビーコックローチを狩ることができるようになっていたのだろう。
目の前の死骸の山を呆然と眺めた。
同じように背中に白い線の入った、同じような個体。
きっと、いまの俺はコイツらと同じような外見なのだろう。
絶望が襲ってきた。
目の前のコイツらをとにかく消し去りたい。
そう思った瞬間、ある考えが思い付いた。
スキルを覚えることができるのでは。
そう思い、スキルを獲得するよう念じてみた。
すると、目の前にうっすらとツリー状のものが見えてきた。
【魔法】
複数あるツリーの始点の中に、その文字が見えた。
俺はツリーを開くと、その先に十個の分岐があった。
【火魔法】【水魔法】【土魔法】【風魔法】【光魔法】【闇魔法】【時空魔法】【召喚魔法】【回復魔法】【特殊魔法】
げぇっ!こんなに魔法あるのかよ。
俺は、どの魔法を習得すべきか考え始めた。