悪夢
ううっ。。。
頭が痛む。
そして全身に気だるさを感じる。
このまま二度寝しよう。
辺りは真っ暗なので、二度寝に支障は無さそうだった。
カサッカサッ
周囲で何か物音が聞こえるが、気にしない。
カサッカサッ
カサッカサッカサッカサッ
何気に気配が多い。
これはヤバイかもしれん。
そう思い、俺は片目を開けた。
そこには、
そこには、、、
真っ黒のゴキブリがいた。
しかもとてつもなくデカイ。
ありえんデカさだ。
人間と同じぐらいのサイズとか。。。
うっぎゃあああああ!
俺は咄嗟に右手を出して、ゴキブリの顔面を殴った。
俺の右手が。。。
テンションがかなり下がってしまったが、これだけのデカさのゴキブリがいる異世界なのだ。
おそらく、ゴキブリ型のモンスターなのだろう。
こいつを殺して、命を守るためにはやむを得ない選択だ。
さっきの右フックで怯んだゴキブリを正面で捉えると、まるでゲームのようにカーソルがあたり、ゴキブリのステータスが表示された。
そうか。これが【鑑定】か!
種族:ベビーコックローチ
HP:2/3
すげえっ!
ステータスが見える!
俺の一撃でHPが減ったのだろう。
そう思い、俺はそのゴキブリに近づくと右左とワンツーパンチを叩き込んだ。
するとゴキブリが動かなくなり、表示がコックローチの死骸に変わった。
そして、その瞬間、俺の身体にオーラがみなぎるのが分かった。
これが経験値か。
異世界に来て、いきなりの戦闘。
運良く勝つことができたが、あのまま不意を突かれたら危うかったかもしれない。
呆然とする俺の前に横たわるゴキブリの死骸。
眺めていると、同じようなゴキブリが現れて、その死骸を食べ始めた。
Oh...
いや、これはチャンスだ。
死骸に夢中になっているゴキブリに、後ろから殴りかかった。
不意を突いただけあって、勝負は一瞬だった。
二匹目を倒したところで、ファンファーレが聞こえた。
レベルアップだ。
全身に力が溢れる感覚。
こりゃ凄い。
そうだ。
レベルアップの成果を知るためにも、俺は自分を【鑑定】しなければならない。
そう思い至って、俺は自分を【鑑定】した。
その結果に俺は愕然とした。
名前:田中山善光
種族:ベビーコックローチ
HP:3/5
悪夢だった。
俺はゴキブリに転生していたのだ。